こんな話しを聞いたことがありませんか?
「10年以上なにもしていない銀行通帳の口座残金は国に没収される!」
私自身、そう思っていたのですが実はそう単純な話ではありません。
今回は、「休眠預金等活用法」についてご紹介します。
「休眠預金」ってそもそもなに?
10年以上、入出金等がないなど通帳をまったく使っていない(異動がない)状態の銀行通帳が対象になります。「私は、通帳記帳をしているから大丈夫!」と考える人もいるかと思います。ですが、通帳記帳をしただけでは、「異動」したことにならない銀行もあるのでご注意下さい。
*定期的に預金には金融機関から数円でも利子が付きますよね。ですが、これは所有者が通帳を使ったわけではありません。そのため、異動したことにはなりません・・・
このように、休眠預金の対象になるのは所有者が10年以上放置していた「預金等」に該当するものになります。
すべての預金が休眠預金になるわけではない!?
休眠預金の対象になる「預金等」とは?
預金等に当たる物
- 普通・通常預貯金
- 定期預貯金
- 当座預貯金
- 相互掛金
- 別段預貯金
- 定期積金
- 金銭信託(元本補填のもの)
- 金融債(保護預かりのもの)
となっています。「普通預金」や「定期預金」をされている方が多いのではないでしょうか?ご自身や親の通帳を確認することをオススメします。
「預金等」に当たらないもの
- 外貨預貯金
- 譲渡性預貯金
- 金融債(保護預かりなし)
- 郵政民営化より前(2007年10月1日以前)に郵便局に預けられた定額郵便貯金等
- 財形貯蓄
- 仕組貯金等
- マル優口座
正直、聞いたことがないものが多いので一般の人にはあまり関係ないのではないでしょうか・・・
*金融機関により、商品名や呼称が異なりますのでご注意下さい!
郵政民営化時の預貯金については最後に説明します。→こちらの方が深刻です。
「休眠預金等」と判断されたらどうなるの?
休眠預金等活用法は、2018年1月1日から施工。2019年1月1日から実際に休眠預金が発生しています。つまり、ここでいう10年とは2009年1月1日から異動がなかった預金等になります。
勘違いしてはいけないことは、2009年よりも前の預金等は対象になりません。例えば、2019年時点で15年以上・20年以上異動をしていない預金通帳などは休眠預金の対象外になります。あくまで、2009年以降の預貯金等が今後、異動もなく10年経てば休眠預金の対象となります。
ただし、結論から言えば「休眠預金等」になった預金も「それ以前の預金」も金融機関では通常引き出しに応じています。
それでは、休眠預金と判断された場合なにがどうなるのでしょうか?
休眠預金の特徴
そもそも、「休眠預金」に該当する10年間取引き(異動)のない預金は、年間約1,225億円(2013~2017年の平均)にものぼります。ただし、先程もお伝えしたように休眠預金に移管されても国庫へ没収されるわけではありません。
さて、この個人の多額なお金を使えるようにするための法律が「休眠預金等活用法」です。この法律は、行政では対応が難しい課題の解決に向けた民間団体の活動を支援するための制度です。
*休眠預金になったとしても、基本的には預金者に払い戻す努力は継続されます。
ただし・・・
休眠預金等活用法により休眠預金は特定の民間団体に使われることになります。対象となる民間団体は・・・
- 子ども若者支援
- 生活困難者支援
- 地域活性化
1~3に取り組む民間団体への助成金貸付金などに活用されることになります。
休眠預金を発見した預金者がすることは?
- 窓口で手続き
- 通帳・印鑑・キャッシュカードがなくても、免許証など本人確認ができれば払い戻しができる。
- 1万円以上の残高がある預金者に限り、最後の取引きから9年以上が経過すると10年6ヶ月までに「郵送」「電子メール」による通知がある。
- 金融機関のHPで休眠預金にされる前に電子公告がおこなうこととされています。
本当に預金は引き出せるの?
①10年前(2009年)といえば、たくさんの銀行が乱立していた時代です。
あなたが利用していた銀行はおそらくもうないことが多いでしょう。そのため、窓口は統合された銀行窓口に行く必要があります。
例えば、私は「びわこ銀行」を利用していましたが今では「関西アーバン銀行」という名前に変わっています。さらにいえば、関西アーバン銀行は平成31年9月に「近畿大阪銀行」と統合されます。
このように、現在も銀行の統廃合は続いています。
まずは、こちらの「全国銀行業界のHP」からあなたの通帳に書かれている銀行名を検索することからスタートです。(検索すれば、銀行名が表示されるので、「詳細」をクリック→「後継銀行」を確認して下さい)
②民間団体があなたの休眠預金としてあなたのお金を使うのに、あなたが申し出ればいつでも払い戻しができる?
この部分が、私自身意味が分かりませんでした。不思議に思いませんか?休眠預金は、民間団体がその人の預金を使うわけですからなくなります。ですが、「預金者から申し出があればいつでも払い戻しができる」とあります。
【金融庁の休眠預金等活用法等のQ&Aより】
移管された休眠預金等のすべてが活用されるわけではなく、「預金保険機構」において将来の引き出しに備えた準備金が積み立てられることになっている。
→預金保険機構は、「当面の間、各金融機関から移管された休眠預金等の5割を準備金として積み立てる」こととしており、「これまでの長い間お取引のない預金等の引き出し実績からみても十分な水準だ。」と結論づけられています。
確かに、すでに亡くなって相続人もいない場合もあるので全額負担の準備は必要ないようにも思います。ただ・・・
❶想定外が起こった時、個人の資産を国が新しく作った法律を根拠に返すことを前提に使っておいて、返せない状況にならないか?
➋今後、自己責任のもと年金のように休眠預金に対する全額保証もあきらめることにならないか(年金のように、かえってくるがかなり少ない額にならないか)
といった不安が残ります。
*訂正すると、年金は自分たちの積み立てではなく現在の高齢者のための分配金です。表現として、思った以上(想定外)に少なくなった現在の年金額にあてはめて「年金」を例に説明しています。
→今のところ、休眠預金の元本と利子(元の預貯金契約通り)の額が支払われるとされていますので今のうちに通帳は再整理した方がいいかもしれません。
最後に
郵政民営化前の預貯金について紹介します。
郵政民営化前の2007年9月30日以前に預けられた・・・
- 定額郵便貯金
- 定期郵便貯金
- 積立郵便貯金
- 住宅積立郵便貯金
- 教育積立郵便貯金
などが該当します。これらは、預入期間満了日の翌日から20年2ヶ月間払い戻し等の取り扱いがない場合に、権利消滅していきます。→国庫へ。
これは、現在は廃止さている「旧郵便貯金法」が適応されてしまうためです。
住所が分かれば、対象者には権利消滅前に通知がおこなわれますが休眠預金同様、住所不明の方も多くいらっしゃいます。
通帳の管理は、くれぐれもご注意下さい!そして、使っていない通帳が見つかれば窓口へ!
参考
金融庁
→https://www.fsa.go.jp/policy/kyuminyokin/kyuminyokin.html
ゆうちょ銀行
→https://www.jp-bank.japanpost.jp/mineika/mn_index.html
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