赤ちゃんが産まれると食事の準備をしなくてはいけません。赤ちゃんの食事と言えば何でしょう?
答えは、「ミルク!」ですよね。失礼しました・・・
さて、この「調乳」には注意事項がたくさんあります。
今回は、知っているようで知らない調乳のお話です。
「調乳」ってそもそもなに?
粉ミルクにお湯をいれて、ミルクを作ることを「調乳」といいます。私も、子どもが二人いるので現在進行形で2年以上調乳を続けています。
厚生労働省のHPでは、調乳時の注意点はこのように書かれています。(清潔な場所で、きれいに洗った手で調乳し、その後放置しないことは大前提です。)
《調乳時の注意点》
- 70℃以上のお湯を使用。
- お湯は沸騰させてから30分以上放置しない。
とあります。
これらは、世界保健機関(WHO)が発表したガイドラインがもとになっています。それでは、調乳について見ていきましょう。
粉ミルクは授乳のたびに調乳
例えば、「病院などでは多くの乳児のために調乳する必要があるため大型の容器でたくさん調乳し、個々のコップや哺乳瓶に「分注」することがある」と2007年に発表された厚生労働省のガイドラインにも書かれていますが・・・
①大型で蓋のあいた容器にはいっているほど汚染されやすい。
②大量の粉ミルクは冷めるのに時間がかかり細菌が増殖しやすい。
という特徴があります。
さて、現在では調乳時は70℃以上のお湯を使うことになっています(従来では、40℃~50℃や60℃とされていました)
それでは、なぜ70℃以上のお湯を使うことになったのでしょうか?
お湯の温度
実は、粉ミルクの病原菌を殺菌するために「70℃以上」に変更されました。
というのも、ごく微量とはいえ「粉ミルクそのもの」や「溶かした粉ミルク」に下記のような細菌が入っていることがあり問題視されるようになったためです。
【サカザキ菌】
・・・粉ミルクの製造環境により多く存在していることが分かっています。
→乳児(1歳未満)・未熟児・免疫不全児・低出生体重児を中心に「敗血症」「壊死性腸炎」を起こすことがあり、重篤になれば「髄膜炎」を併発することもあります。
【サルモネラ菌】
・・・サカザキ菌のように粉ミルクの製造過程ではほとんど混入することはありません。
→「粉ミルクの開封後」・「粉ミルクを溶かすとき」や「溶かした後」に混入することがあります。
さて、このサカザキ菌やサルモネラ菌は乾燥した粉ミルクのなかで増えることはありませんが、生存することはできます。
そのため、低い水温で調乳してしまうと増殖していきます。(5℃以下に保つと増殖を抑えることができる)
→つまり、調乳後使わないミルクはすぐに冷やして冷蔵庫で保存する必要があります。(口を付けたミルクは捨てる)
温度が高すぎるとダメなの?
「温度が高すぎるとミルクの栄養素が壊れる!」と書かれているブログなどもありますが、私が普段使用している森永乳業が発売している「はぐくみ」の調乳温度について調べてみると公式HPにはこのように書かれています。
栄養素については、熱に弱いビタミンやラクトフェリンなど影響を受けるものはありますが、必要量は十分配慮していますので高温調乳により栄養成分が不足する心配はありません。調乳の際はやけどにご注意ください。
ということで、私の場合はケトルを使っているので必要な水を沸騰させて熱湯のまま調乳に使っています。
さて、ここまでは調乳する時の注意点です。それでは、調乳後の使い方はどんなことに気をつければいいのでしょうか?
引き続き、厚生労働省が2007年に発表したガイドラインより紹介します。
保存したミルクの使い方は?
- 保存した粉ミルクは、必要とされる直前にのみ冷蔵庫から取り出す。
- 15分を越える再加温はしない。
- 電子レンジは加熱が不均等になるため、温め直しには絶対に使用しない。→湯せんで温める。
- 2時間以内に飲まなかった再加温した粉ミルクは全て破棄する。
湯せん後は、授乳温度を確認する必要があります。
これまでのことを整理すると・・・
調乳は、70℃以上のお湯→使わないミルクはすぐに冷まして冷蔵庫→再加温時は15分以内で湯せん→再加温したミルクは2時間以内に破棄
が正式に指示されているやり方となります。
個人的な主観にはなりますが、作り置きして再加温するよりも、その都度調乳した方が細菌などのリスクが低く時短になり簡単だと思います。
→外出時も、レストランなどお湯がもらえる場所はたくさんあります。
*冷蔵庫に保存したミルクは24時間以内に破棄する必要があります。
まとめ
ミルクの調乳は誰でもできますが、正しい知識をもってできている人は意外と少ないのかもしれません。なぜなら、新しいことが発見されたり技術の進歩により、これまでの手間が必要なくなったりと常識が変わっていくためです。
現在の、正しいミルクの作り方や使い方は確かに大切です。ただ、もし子どもの様子がおかしいと感じた時に相談できる小児科があるかどうかがさらに重要となります。
今回は、調乳の仕方によるリスクの紹介でしたが、子育てをしているといろいろな失敗や想定外が毎日のように起こります。(親としては、分かっているリスクは少しでも回避できるようにしていきたいですよね・・・)
そして、どんなにリスクを抑えても、想定外は必ず起こります。そんな時のために、相談できる医療機関(主治医)を早目に見つけて下さいね。
参考
厚生労働省:乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインの概要
→https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/dl/070604-1a.pdf
森永乳業
→https://ssl.hagukumi.ne.jp/CGI/qa/search.cgi?mode=detail&seq=601
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