前回の記事で、完食指導の悪影響の1つに「会食恐怖症」があることをお伝えしました。ですが、会食恐怖症について知らない方も多いのではないでしょうか?
そもそも、自分が会食恐怖症とは思っていない人の方が多いのではないでしょうか?
今回は、「会食恐怖症」についてご紹介します。
「会食恐怖症」ってそもそもなに?
「会食恐怖症」は、神経症の1種である社会不安障害の1つに分類されています。
社会不安障害は、ある特定の状況や人前で何かをするときに緊張感が高まって不安や恐怖を感じ、次第にその場面を避けるようになる精神疾患です。
この疾患の怖い所は、発症年齢の多くが10代半ば~20代前半で「病気」という認識がなく長い期間1人で悩んでいるケースが多いことです。
例えば、コミュケーションが苦手なクラスメイトやあなた自身が人と接することが苦手と感じている人もいるでしょう。
◎社会不安障害による症状例◎
- 赤面恐怖症・・・人前に出ると緊張感が高まり、顔が赤くなる。
- 発汗恐怖症・・・緊張により発汗。ハンカチなどがないと落ち着かない。
- 対人恐怖症・・・周囲の視線が気になり、恐怖や震えめまいなどを感じる。自分に対する他人の評価に不安がある。
など・・・たくさんの症例があります。
このように、緊張が原因でさまざまな精神的な状態だけではなく、身体的にも症状が出てきます。つまり、このような状態になった原因から避けるようになります。
→社会不安傷害は、「本来あるべき社会生活が脅かされる」精神疾患です。
会食恐怖症が、この不安や恐怖を感じる「社会不安障害の1つ」ということは、精神的だけでなく身体的にも症状が現れてくるということです。
会食恐怖症の特徴は?
不安や緊張は誰にもありますが、その原因から回避する(逃げる)ようになります。会食恐怖症なら当然、「会食」から避けるようになります。
仕事・友人・恋人など、会食が必要な状況は多くの場面でありますよね。ただ、どうしても会食から逃げられない状況は必ずあります。例えば、自分の結婚式など・・・
- 「会食」=「人前での食事」
- 「恐怖症」=耐えがたい不安や恐怖を引き起こす疾患。
つまり、人前でご飯を食べることへの不安や恐怖心があるため、実際にその場にいくとなんらかの症状が出ることになります。
症状
- 吐き気
- めまい
- 動悸
- 体や手足の震え
- 胃痛
- 嚥下障害
- 口の乾き
- 吞気:どんき(空気を飲み込んでお腹が張る)→ゲップやおならが日常的にでやすい。
などなど、症状は人によってさまざまです・・・
会食恐怖症の深刻さが少しでも伝わったでしょうか・・・
つまり、「人前で食事ができなくなる」ということは、少なくとも外食ができなくなる可能性が高くなるということです。
例えば、「会社でのお昼ご飯をどこかで1人で食べる必要がでてくる」となると、仕事にも支障が出てくるでしょう。
状態は人それぞれ
というのも、そもそも「緊張」が原因になるため簡単に言ってしまえば緊張さえしなければ(リラックスできる環境であれば)会食ができることが少なくありません。
- 飲み会なら大丈夫。
- 家族・友人・恋人など信頼している相手なら大丈夫。
- 誰であっても1人でしか食べれない!
このように、「会食恐怖症」とひと言でいっても程度(レベル)はそれぞれで違います。
会食恐怖症の原因は?
日本会食恐怖症克服支援協会による当事者アンケート
学校や家庭における「完食指導」に影響があったと考えていますか?
- はい ・・・62%(240人)
- いいえ ・・・20%(75人)
- 分からない・・・18%(69人)
今回のアンケートで、会食恐怖症は家庭や学校意外でも引き起こされていますが、その割合は2割程度です。もし、「分からない」も含めるのならば8割が学校や家庭が原因ということになります。
会食恐怖症は、食事を強制させられることで発症します。そして、学校には昔から「完食指導」が行なわれています。
完食指導についてはこちらの記事で紹介しています。
*この記事の中で、子ども達に会食恐怖症が事故案件だとお伝えしているのは、以上のように学校指導の悪影響により発生した結果だからです。
会食恐怖症の治療は?
- 薬物療法・・・効果はでやすいが、再発しやすい。→薬による副作用などもある。
- 精神療法・・・時間はかかるが、将来的に自分のものになる。(4ヶ月・半年など)
最後に
会食恐怖症については、日本会食恐怖症克服支援協会からさまざまな情報が掲載されています。
会食恐怖症の治療には・・・
- 正しい手順で会食の練習をする
- 前向きな考え方を身につける。
- 「フロー」で過ごすための習慣を身につける。
ことが必要とあります。
*「フロー」とは、少し緊張があるもリラックスしており気持ちと目標の均衡がとれている状態。
そして、なにより「不安であることは誰もがあてはまること」としっかりと認識することが大切になるということでした。
いわれてみればそうですが、どんなに珍しい病気だったとしても、「自分だけ」ということはまずありません。それが、精神的な疾患であればなおさらです。
自分のその気持ちは、症状のでかたが違ったとしても他の人にも存在しているということです。まずは、そこから認識を変えることが第一歩になりそうです。
→自分が弱いのではなく、当たり前のことという「事実を認識」する必要があります。
参考
人前で過度に緊張する・・・社会不安障害
→http://www.myclinic.ne.jp/imobile/contents/medicalinfo/gsk/top_mental/mental_004/mdcl_info.html
日本会食恐怖症克服支援協会
→https://kaishoku.or.jp/qanda/
マイナビ:人前でご飯を食べるのが怖い
→https://news.mynavi.jp/article/20190428-kaisyoku/
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