蜘蛛のような赤い虫が大量発生!? 噛むの?刺すの?毒は?

 

皆さんは、「タカラダニ」というダニをご存じでしょうか?

かなり身近な昆虫ですので、誰もが毎年見ていると思います。

タカラダニの特徴は、「体全体が赤い小さなクモみたいな虫」で、例えば温かくなった気候で洗濯物を干していると、よく見るとベランダの手すりに何匹も発生しています。

皆さんは、「クモみたいな全身が赤い小さな虫」と聞いて、見覚えはありませんか?

今回はこの「タカラダニは危険?」についてご紹介します。

 

そもそも「タカラダニ」ってどんなダニ?

以前、マダニについての記事を紹介しましたが、そもそも「ダニ」といえば吸血するイメージがある人も多いのではないでしょうか?

 

「マダニ」については、こちらの記事で紹介しています。

マダニは身近な存在!? 除去方法や対応を間違えると危険! 

ですが、実は「タカラダニ(「カベアナタカラダニ」の通称)」は、人を刺す・噛む・吸血するという報告はありません。

つまり、そもそも放っておいても人体に害がないことが知られています。

ただし、なにかの原因で押しつぶしてしまい赤い体液が食品や衣類・印刷物などに付着するといった被害はあります。

また、高知県が発表している環境トピックスによると、東京都で行われた研究では・・・

「(カベアナタカラ)ダニ幼虫・若虫・成虫を貝製ボタンでできた小容器に入れ、肌に6時間接触したところ、被験者に痒みや皮疹はほとんど生じなかった」

しかし、ダニを潰して24時間接触すると痒みはないが、皮疹を生じた被験者もいたということなので、ダニを潰した汁を皮膚につけないように注意が必要です。

とあります。

温かくなると、汗をかくためお風呂やシャワーを毎日使用する人も多いと思います。

ですが、もしも毎日体を洗う習慣がない状態で、体液が体に触れている状態が続いていれば、皮疹を生じるかもしれません。

あくまでも、「そういう人もいた」というレベルのようなので「人体の害」という意味では、直接そこまでの悪影響はなさそうです。

ただし、2008年に東京都健康安全研究センターが研究年報として、「カベアナタカラダニの生態に関する観察事例」を報告しています。

 

住民への被害!?

先程、「人体には直接そこまで大きな悪影響はない」といいましたが、建物やその周辺に大量に発生してしまうため、地域住民への被害は発生してしまっています。

実は、1980年以降から5・6月を中心にビルの屋上や壁・学校のプールサイド・一般家屋のブロック壁等に微少な赤いダニ(体調0.5~1mm)が多数徘徊する様子が見られるようになりました。

それでは、地域住民への被害は何だと思いますか?

私が住む賃貸マンションのベランダでも発生しており、記事の写真に使用している写真は先日(2020年5月)に撮影した写真です。

ベランダと言えば、洗濯物を干しますよね。

つまり、「洗濯物」や「布団等」に付着してしまうため実際、住民や建物管理者から保健所等へ「種名・刺咬性(しこうしょう)の有無・駆除方法について」といった相談が、5月・6月頃になると毎年あるようです。

→1970年以前までは、こういった苦情は全くなかった。

 

大阪府の場合

大阪府では、「タカラダニ」についてこのように紹介されています。

  • 人体への影響なし
  • 体調2mm程度
  • 発生時期:4月~6月頃まで
  • 発生場所:日当たりのいい屋外
  • 駆除方法:大量発生するため薬剤での駆除は困難。水で洗い流す。

梅雨の時期には、自然にいなくなる。

つまり、期間限定で大量発生する「赤いクモみたいな虫」それが、タカラダニです。ただ、まだ多くのことが分かっていない虫でもあります。

*正式には「ダニ目前気門亜目タカラダニ科アナタカラダニ属のカベアナタカラダニBalaustium murorum(Hermann)」という種です。

 

よく分かっていない?

例えば、タカラダニは花粉や小昆虫を食べている雑食性であることは報告されています。

それでは、発見されたタカラダニは「雄」と「雌」どちらが多いと思いますか?

答え.全て「雌(メス)」

つまり、雌側の遺伝子のみを受け継ぎ単為生殖を繰り返す不思議な虫です。

このように、「生活史」や「生態」がまだまだ不明な点が多く、「花粉や小昆虫を食べる」というのもあくまでも分かっている範囲の話しです。

コンクリート製の建造物にたくさん見つかるのは、「コンクリートなど多孔質の材質にたまり、くっついている花粉や有機物を食べているのではないか?」と考えられていますが、まだよくわかっていません。

さらに、活動は活発でコンクリートの壁をよじ登り屋内に侵入することもありますが、何を求めて屋内に侵入してくるかについても不明のままです。

→基本的に、見た目が「アレ」ですので、不安になって相談する場合が多いことが特徴。

 

最後に

タカラダニの由来は諸説ありますが、「昔、子供たちが捕獲したセミのカラダに、キレイな宝物のような赤いダニがついていて喜んだことから名前が付けられた」とも言われています。

そして、タカラダニは40種類以上いると言われています。

まだまだ不明な点が多いタカラダニですが、赤い体液に気をつければ見た目ほど危険な虫ではありません。

ただ、大量発生するため、屋内に侵入させないように洗濯物などを取り入れるときはご注意下さい。


参考

害虫なふろほ知恵袋:ダニの仲間、「タカラダニ」「マダニ」「ツツガムシ」の違いとは?
https://www.earth.jp/gaichu/wisdom/sonota/article_002.html

アース製薬:タカラダニ
https://www.earth.jp/gaichu/discovery/takaradani.html

京都府:タカラダニをご存知ですか?
http://www.pref.kyoto.jp/hokanken/oyakudati_takaradani.html

 

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