どんな物にも致死量が・・・ 「水中毒」の危険性とは?

 

皆さんは、「水」についてどれだけご存じでしょうか?

水は命の源ともいわれ、私達にとってなくてはならないものです。

ですが、そんな水も飲み過ぎれば毒になります。

今回は、危険な「水中毒」についてご紹介します。

 

そもそも水の役割ってなに?

私達の身体は、水で満たされています。

  • 胎児 :約90%
  • 新生児:約75%(息子は4kgで産まれたので、約3.6㎏
  • 子ども:約70%
  • 成人 :約60~65%(60㎏の人→約36~39㎏)
  • 老人 :約50~55%(50㎏の人→約25~27.5㎏)

このように、体重に対しての水分量が年齢を重ねるごとに物理的に減っていくため、潤いがなくなっていきます・・・

さて、人体の中にこれほどたくさんある水分は、大きく分けて「細胞内液」「細胞外液」に分けられます。

 

《細胞内液》

体内水分の約3分の2を占めています。

  • 細胞外液が減少したときに細胞外に移動し補うことでリザーバーとしての役割を果たす。
  • 代謝反応に関係している。(エネルギー産生・タンパク合成など)

 

《細胞外液》

体内水分の約3分の1を占めています、

  • 循環血液量の維持
  • 栄養素や酸素を細胞へ運搬
  • 老廃物や炭酸ガスなどを細胞外に運び出す役割

 

このように、水は腸から吸収されて血液などの「体液」となって絶えず循環しています。

 

体液の役割

❶運搬の役割

  • 酸素や栄養分などを細胞まで運搬。
  • 代謝ででた老廃物を腎臓まで運搬。

人体にとってさまざまな働きがある水ですが、体内のすべての血液は、循環の過程で腎臓を通過し、ろ過されています。

ろ過することで、「必要なものや水分」と「老廃物」とに分けられ老廃物は水分として排出されます。

 

➋体温調節

水は、温まりにくく・冷めにくい性質があるため、恒温動物である私達は体温を一定に保つために適しています。

体温が上がれば汗をかき放熱することで、体温の上昇を防ぐことできます。こういった役割を果たせるものは、「水」以外にない!

というわけで、どれだけ水が大切なものであるか、分かっていただけたかと思います。

 

水はなぜ補充しないといけないの?

体液は、ため池の水などと同じで、循環しなければ淀んでいきます。

先程説明した排泄は、まさにこの「ろ過作用」なのですが、他にも呼吸をするときなど、さまざまな方法で体外へ放出されていきます。

普通に生活しているだけでも、1日に2.5Lも水分が失われていきます。

 

水分が不足!?

  1. 1%不足・・・喉の渇き(脱水の始まり)
  2. 5%不足・・・血液量が減り、血液が低下(脱水症状や熱中症などの症状)
  3. 10%不足・・・臓器の機能低下・筋肉けいれん・循環不全など
  4. 20%不足・・・意識がなくなり死にいたる

このように、水分不足が進んでいくと死にいたります。

つまり、水分はなにもしなくてもどんどん失われていきます。そして、放って置くと死にいたります。


ちなみに、20㎏の子どもなら70%が水分のため約14㎏が水分になります。上記の水分が不足している状態に当てはめると・・・

  • 1%不足→14✕0.01=0.14㎏
  • 5%不足→14✕0.05=0.7㎏
  • 10%不足→14✕0.1=1.4㎏
  • 20%不足→14✕0.2=2.8㎏

このように、特に子ども達はあっという間に脱水状態になることが分かります。

さて、水の必要性が分かったところで本題の「水中毒」についてご紹介します。

 

「水中毒」ってなに?

確かに水は、1日に約2.5㎏も排出されていきますがさまざまな方法で私達は補っています。

  • 食事(1日の食事で約600㎖)
  • 取り込んだ食べ物を分解しエネルギーに変えたときに、化学反応で水分ができる(「代謝水」または「燃焼水」と呼ばれる→1日:約200㎖)
  • 残り1700㎖を水分として補う。

こうして、体内のバランスを補うことができます。(もちろん、運動などをして汗をかけば、水として排出された分を補充する必要があります)

 

脱水症状のチェックポイント!

脱水状態になっているかどうかは、尿の色で判断できます。「寝起き」や「運動後」などのおしっこの色をみると分かりやすいです。

→水分が足りないときは、身体がおしっこの排泄量を調節するため濃い黄色の時は、脱水症状の疑いがあります。

さて、1日の水分補給は成人で普通に生活していれば約2ℓでいいことが分かりました。ところが・・・

 

多飲症

1日に、10ℓ以上の水をあおるように飲むこともあります。(水をたくさん飲むことを「多飲症」と呼ぶ)

この、「多飲症」の結果起こる病態が水中毒です。

水中毒は、精神疾患の方に多く見られます。とはいえ、「ストレス」や「ダイエット中に空腹を水で紛らわす」といった場合もおこります。

それでは、なぜ水を飲み過ぎることがそんなに問題なのでしょうか?

 

《症状》

「水を大量に飲む」ということは、血液がどんどん希釈され(薄められ)、腎臓の処理能力を越えてしまいます。つまり、水分補給に水だけを飲んでしまうと、体内のナトリウム血が低くなり、「低ナトリウム血症」になります。

 

~軽症の場合~

  • めまい
  • 頭痛
  • 頻尿
  • 疲労感
  • 浮腫

など。

 

~重症の場合~

  • 錯乱
  • 嘔吐
  • 意識障害
  • 呼吸困難
  • 脳浮腫によるけいれん
  • 肺水腫
  • うっ血性心不全

などの症状があり、命の危険にさらされることもあります。

 

《治療法は?》

水中毒の場合は、水分を制限することにあります。

腎臓の機能に何の問題もない場合は、水分を制限するだけで血清ナトリウム値が改善すると考えられています。

重症の場合は、輸液によるナトリウム補充が必要になります。(急速に補正すると、脳幹部の神経を損傷する恐れがある)

*塩分も、脳の損傷を防ぐために時間をかけて補充する必要があります。

 

《予防対策》

  • 水は少量ずつ回数を分けて補充する。
  • うがいなどで、口内を潤す。
  • 経口補水液(スポーツドリンクなど)を摂取する。

 

最後に

水は、確かに「命の源」です。

ですが、どんなものであれ大量に摂取すれば毒になります。

特に、ダイエットなどは誰もが陥いりやすいきっかけになるのではないでしょうか?

子ども達の水分補給には、くれぐれもご注意下さい!


参考

サントリー
https://www.suntory.co.jp/eco/teigen/jiten/science/11/

EPARK:水中毒を起こす5つの原因と、対策方法!https://epark.jp/epark-report/kusuri/water-intoxication-treatment/#i

 

 

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