「ドライ⚪⚪」と言えば、例えば「ドライアイ」が有名ですよね。それでは、口が渇く「ドライマウス」についてご存じでしょうか?
口が渇くことは、誰でもあります。ただ、その原因を理解していますか?
今回は、「放っておくと危険なドライマウス」についてご紹介します。
「ドライマウス」ってなに?
「口が乾く」ということは、唾液の分泌が減少・分泌されなくなることで、口の中が乾燥した状態です。
そんなドライマウスは、「口腔乾燥症」とも呼ばれますが、残念ながら「たかが口の乾燥」とばかりもいえません。
そもそも、どうしてドライマウスになってしまうのかご存じでしょうか?
ドライマウスの原因はさまざま・・・
知っていましたか?
実は、唾液腺から分泌される平均的な唾液量は、1日当たり約1~1.5L
もあります。想像すると気持ち悪いですが、私達はこれだけの量の唾液を毎日作り出しています。
ところが、この唾液の量が口の乾燥により少なくなったり、分泌されなくなるのがドライマウスです。
つまり、これだけの唾液が少なくなったり、分泌しなくなるドライマウスの影響が、ない方がむしろ不自然ですよね。
それでは、唾液量に影響してしまう原因にはどういったものがあると思いますか?
- 脱水
- 口呼吸
- ストレス
- 薬の副作用
- 疾患
など、原因はさまざまですが、これらが複合的に関係している場合もあります。
特にこれからくる夏場は、脱水によりそもそも体の水分が不足しやすくなるため、唾液の分泌量が減ることは理解できるでしょう。
ほとんどの人がこれまで経験している口の渇きの原因と言えば、この「脱水」が一番にくるのではないでしょうか?
また、以前から言われていますが口呼吸をしてしまうと口の乾燥だけでなく、細菌やウイルスなども直接に肺に取り込んでしまうため鼻呼吸が推奨されています。(コロナ対策の1つとして、鼻呼吸が推奨されている)
そして、ストレスは万病のもと
として知られていますよね。
それでは、「薬の副作用」と「疾患」は、なぜドライマウスの原因の1つになってしまうのでしょうか?
「薬の副作用」と「疾患」がドライマウスの原因になる?
実は、「薬の副作用」として口腔乾燥の症状がでてしまう薬はたくさんあります。
- 抗うつ剤
- 抗不安薬
- 降圧剤
- 鎮痛剤
などが、挙げられます。
精神科に通っていたり、血圧が高い人や頭痛などに悩んでいたりと、特に日々の症状を改善するために服薬している人は、薬の副作用について知っておいた方がいいでしょう。
→生活習慣病などにより日常的に服薬をしている人は、特に注意する必要があります。
それでは、こんな症状はありませんか?
- 下痢
- 嘔吐
こういった症状があれば、脱水になりやすくなりますし、またストレスが強ければ体温調節などをしている自立神経が乱れるため、ドライマウスの原因になります。
精神的・体質的な原因以外にも、ドライマウスは以下のような疾患の原因になっている場合もあります。
- 糖尿病
- 甲状腺機能障害
- 尿崩症
- ジェーグレン症候群
などが挙げられます。
つまり、ドライマウスは身近な症状ですが、病気のサインになっている場合があります。それでは、なぜそもそもドライマウスが危険視されているのでしょうか?
ドライマウスはどうして危険なの?
もちろん、病気のサインになっていることも危険視される原因の1つですが、そもそも唾液の働きについてどれくらいご存じでしょうか?
「唾液の働き」と言えば、殺菌作用・嚥下を助ける働きなどが最初に思い付くのではないでしょうか?
ですが、他にも想像以上にさまざまな働きがあります。
- 口腔粘膜や歯を湿潤させ保護する
- 会話・食事の機能を高める
- 食べ物に水分を与え、咀嚼・嚥下しやすくする
- 食べ物の栄養素の吸収・味覚に影響する
- 口腔内の清掃や抗菌物質で健康を守る
→唾液の働きの1つとして、特に高齢者の場合なら「入れ歯の安定に役立つ」なんて機能もあります。
それでは、逆に唾液が分泌されなくなるとどうなるかご存じですか?
唾液が分泌されなくなると・・・
ドライマウスの症状は、想像以上に悪影響が出てきます。
- 口の中が粘つく
- ヒリヒリとした痛み
- 歯垢がたまりやすくなる
- 口臭が強くなる
- 水分の少ない食べ物が飲み込みにくくなる
- 声が出しにくい
- 味覚が低下する
- 舌のひび割れ
- 虫歯・歯周病にかかりやすくなる
- 感染症を起こしやすくなる
つまり、乾燥による口の痛みだけだけでなく、味覚などにも影響が出てきます。
そして、ドライマウスは感染症にかかりやすくなるため、特に新型コロナウイルスが問題になっている現状では、「ドライマウスを改善する必要性が高い」といえるでしょう。
オムロンのホームページを確認すると、「鶴見大学歯学部附属病院ドライマウス専門外来、ドライマウス問診票」が紹介されています。
・口の乾きが3カ月以上毎日続いている。
・あごの下が繰り返し、あるいはいつも腫れている。
・乾いた食べ物を飲み込むときに、しばしば水を飲む。
・水をよく飲む。
・夜間に起きて水を飲む。
・乾いた食品がかみにくい。
・口の中がネバネバする。
・口の中が粘って話しにくい。
・口臭がする。
・義歯で口の中が傷つきやすい。
当てはまる項目が多いほど、ドライマウスの可能性が高くなるようです。それでは、日常生活でドライマウスの改善はできるのでしょうか?
ドライマウスを改善するには?
そもそも、疾患が原因である場合は治療を優先する必要がありますし、副作用が原因なら薬を変えてもらうか無理なら対処療法(保湿成分を含んだスプレーやジェルを口腔内に使用するなど)が必要になります。
つまり、大前提としてドライマウスの原因を突き止めることから始める必要があります。「ドライマウス外来」もあるので、気になる方は検査してもらうことをお勧めします。
さて、そんなドライマウスは日常生活でも気をつけられることがあります。
日常生活で取り入れて見ませんか?
生活習慣の改善
- 口呼吸をやめる
- 脱水を防ぐ
- ストレス軽減
この中で、すぐにできそうなのは「脱水を防ぐこと」ではないでしょうか?
口呼吸は訓練が必要になりますし、ストレスは同じストレスでもそれぞれ感じ方が違うため、すぐに改善することはなかなか難しいかもしれません。
ただ、脱水は間違ったやり方をしなければ改善することができます。
脱水を防ぐ方法の1つとして、こちらの記事で「水分補給の注意点」について紹介しているので確認してみて下さい。
最後に
新型コロナウイルスの症状の1つとして、味覚障害が挙げられています。
ですが、味覚障害は今回紹介したドライマウスでも引き起こされるほど、とても身近な症状の1つです。
*「味覚障害=新型コロナウイルス」ではありません。
ちなみに、味覚障害を始め体のさまざまな異変は、さらに身近な思い込みの力(ノセボ効果)でも引き起こされます。
→「ノセボ効果」については、こちらの記事で紹介しています。
病気の判断は、医師にしかできません。
まずは、しっかりと検査を受け、必要に応じて治療を受けるようにして下さいね。自己判断は、危険ですのでご注意下さい。
参考
ドクターフィルム:口腔乾燥症(ドライマウス)
→https://doctorsfile.jp/medication/106/
大阪歯科大学付属病院:ドライマウス外来
→https://www.osaka-dent.ac.jp/hospital/drymouth.html
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