先日、新型コロナウイルスに感染したことが分かっている人の中で、「実際に人に感染させてしまう人は約2割程しかいない」ことを厚生労働省が発表しているとお伝えしました。
つまり、新型コロナウイルスに感染しても約8割の人は他の人に感染させていないということになります。
感染させやすい環境としては、「換気が悪い」「人が密に集まって過ごすような空間」「不特定多数の人が接触する恐れが高い場所」こういった環境で集団感染が発生していることが指摘されています。
それでは、「換気が悪い」とはどういうことなのでしょうか?
今回は、「正しい換気できてますか?」についてご紹介します。
→「約2割の人が感染させている条件」については、こちらの記事で紹介しています。
「換気が悪い」ってどういうこと?
換気と聞くと、「とりあえず、窓を開ける!」というイメージがあるのではないでしょうか?
ただ、「窓を開ける=正しい換気」とは限りません。
確かに、換気というのは屋内の空気と外の空気を入れ換えることをいいます。ですが、間違った換気をしてしまうと効果が半減どころか、換気の意味がなくなるかもしれません。
そもそもどうして換気は必要なの?
新型コロナウイルスに限ったことではなく、感染症やアレルギーなどの予防には換気が欠かせません。というのも、部屋の空気には例えば、屋内にある様々な物から発生する揮発性の化学物質が含まれているからです。
そこで、換気することで屋内に溜まってしまった化学物質の濃度を低下させることができます。
《化学物質を含む身近な製品例》
- 油性・水性マーカー
- 新しい本
- ワックス
- 防虫剤
- 芳香剤
- 消臭剤
など、こういった物を使った後は特に換気が必要になります。そもそも、建材や家具などからも化学物質が発生しています。
特に、冬は窓をあまり開けないでしょうし、夏場も防犯の観点から夜間は窓を閉めっぱなしにする人も多いのではないでしょうか?
つまり、換気をしない時間帯である夜間は特に化学物質の濃度が高くなることになります。
「正しい換気」のやり方は?
さて、普段から換気が必要なことは分かっていただけたかと思いますが、それでは窓を開ければ換気になるのでしょうか?
実は、換気口が一箇所しかない場合、空気の出入り口が1つしかないため、換気が効率よく行われません。そのため、効率よく換気をするためのポイントがあります。
《換気のポイント!》
- 換気の窓は、空気の「入り口」と「出口」を意識して2箇所開ける。
- 空気の「入り口」と「出口」になる場所は、なるべく離れた窓を開ける。
- 部屋の真ん中を通り抜けるように、体格にある窓同士を全開にする。
- 換気は1時間に1回約5分間(朝・昼・夕の3回が目安)
*特に、朝は夜間で溜まった空気を出すために朝の換気は必須!
とはいえ、「冬場は、換気をすると寒くなるから窓を開けたくない!」と思いますよね・・・
ただ、暖かい空気は上にあがっていきます。
つまり、大きく窓を開けて短時間で部屋の空気を入れ換えることができれば、暖房で暖まった部屋は確かに一時的には室温が下がることにはなりますが、天井や壁など、屋内じたいは暖まった状態になっていることになります。
つまり、比較的早い段階で元の室温まで戻すことができます。(冷房も同じ)
《換気の悪い例!》
近くの窓を開けてしまうと、部屋の空気が入れ替わりません。これは、換気扇を使う場合も同じで、換気扇を使う場合も、換気扇から離れた窓を開ける必要があります。
こういったことを意識して換気すると効率よく換気することができます。
それでは、花粉やウイルスなどに当てはめて見ましょう!
ウイルスや花粉と換気の関係は?
先程の化学物質の話しは、基本的に内部からの発生源についてでした。
それでは、外部から侵入するウイルスや花粉などは換気することで、どういった効果があるのでしょうか?
例えば、換気をしない状態でいると空気中に埃が多くなったり、ひどく乾燥した状態では、咳やくしゃみにより、この埃にウイルスが付着することになります。
ちなみに、ウイルスが付着した埃は空気中を2~3時間浮遊することがあります。さらに、汚れた空気は器官や粘膜を痛めるため体の抵抗力も低下しやすくなっていきます。
さらに、冬場は暖房の使用や寒さ対策のための毛糸や保湿効果の高い化学繊維の衣服の着用によって、より埃が出やすい環境になっています。
そのため、やはり正しい換気を行うことで、「ウイルスに汚染された空気」や「ウイルスが付着する可能性がある埃を多く含んだ空気」を入れ替える必要があります。
とはいえ、賃貸の場合だと窓が1つしかない場合もありますよね。そういう時は、換気扇だけでなく玄関ドアを少し開けるだけでも効果があります。
それでは最後に、勘違いしやすい「換気扇」と「空気清浄機」の違いについてご紹介します。
換気扇と空気清浄機
換気扇の機能は?
- 屋外から新鮮な空気を取り入れて、屋内の汚れた空気と入れ替える。
- 呼吸で発生する二酸化炭素やストーブ・ガスレンジの不完全燃焼で発生する一酸化炭素と、屋外の新鮮な酸素とを交換し、酸素濃度を維持する。
→ただし、汚れた空気を希釈できても清浄する機能はない。
空気清浄機の機能は?
- 屋内の空気を機械に取込んで、フィルターなどでろ過し屋内に戻す。
- 換気扇では除けない空気の汚れ(タバコ・ペット・生ゴミなどの臭いを除去、埃・チリ・ダニの死骸・花粉といったアレルゲン)などを集塵する。
→ただし、酸素濃度を維持する機能はない。
つまり、換気扇と空気清浄機は「それぞれの機能を補いあっている」ということができます。
ということは・・・「換気扇と空気清浄機があれば換気は必要ない!」と考えてしまうかもしれませんが、そういうわけではありません。
冒頭でお伝えしたように、空気の通り道は2つ必要になります。
仮に、換気扇を1日中運転したとしても外気を取り入れる換気口がなければ空回りするだけでなんの効果もありません。
例えば、キッチンの換気扇には調理時の排気ガスを適切に処理するために、近くに換気口が設置されています。
ですが、どんなに換気扇をまわしても「キッチンの空気」という限定的な場所の空気が何度も入れ替わるだけで、キッチンから離れた居間や寝室の空気は動きません。
このように、部屋の換気は必要で換気のやり方も工夫が必要になります。
最後に
今回は、「正しい換気」についてご紹介しました。
とはいえ、季節によって換気には注意が必要になります。
- 春・・・花粉:2月下旬~4月下旬(レースカーテンをしたまま換気すると有効と言われている)
- 光化学スモッグ注意報:5月~9月
このように、季節や空気の状態によって換気するタイミングには気をつける必要があります。
ちなみに、梅雨の時期に気になるカビですが、湿度だけでなく空気が動かないことも大きな要因だとされています。
そのため、梅雨時期は「晴れ間」や「湿度が低い」昼過ぎの時間帯に換気をする必要があります。
このように、換気1つとっても時期によって注意点はたくさんあります。ちなみに、冬場は「2時間に1回!」と言われるほどこまめな換気が必要になります。
「換気をしなくてもいい季節」は、残念ながらありません。「正しい換気」は一朝一夕にできることではありませんが、少しずつ生活習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考
厚生労働省:国民の皆様へ
→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html
homes:正しい換気の方法とは? 通気口と窓の関係を知って効率よく換気しよう
→https://www.homes.co.jp/cont/living/living_00482/
倉敷平成病院だより:正しい換気で寒さに負けずに健康維持!
→http://www.heisei.or.jp/blog/?p=46
グランスイートシリーズ:住まいの空気の質を高める
→https://www.marubeni-sumai.com/club/column/8
東京福祉保健局:換気の方法が知りたい
→https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kankyo_eisei/jukankyo/indoor/pamphlet.files/myrule.pdf
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