皆さんは、「エシカル消費」という言葉をご存じでしょうか?
新型コロナウイルスの拡大により、外出自粛が出され、もはや影響を受けていない人はいなくなりました。これは、仕事の面でも同じことがいえます。
さて、そんな中、さまざま支援プロジェクトも打ち出されています。
今回は、「聞き慣れない言葉:エシカル消費」についてご紹介します。
「エシカル消費」は、消費者の新しい行動規範!?
そもそも、「エシカル消費」は1989年にイギリスで専門誌「エシカルコンシューマー」(エシカル消費を行う消費者のこと)が創刊されたことがきっかけで広まりました。
その後、日本では2014年に「日本エシカル消費推進協議会」が設立され、2015年には消費者庁にエシカル消費の研究会である「倫理的消費調査委員会」が設置されるまでに至りました。
つまり、この言葉が大々的に「エシカル消費」として発表されたのが約30年前で、日本ではまだ6年程の歴史しかありません。
エシカル消費に通じるサービスとしては、例えば以前紹介した、Gigi株式会社が提供している「さきめし」というサービスがあります。
「さきめし」は、アプリを使うことで応援したい飲食店のメニューを先払いし、お店が再開したときに利用できるサービスです。
ただし、消費者には手数料の10%が上乗せされることになります。まさに、消費者の安さを追及してきたこれまでとは、真逆の取組みです。
このサービスの根底にあるのは、応援するのは自分が閉店して欲しくないお店であり、お店は支援される側だということです。
新型コロナウイルスにより、180度考え方が変わったサービスだと言えるでしょう。
→「さきめし」については、こちらの記事で紹介しています。
さて、エシカル消費も広義では同じような意味になります。
「エシカル消費」ってなに?
エシカル協会では、「エシカル」についてこのように定義されています。
エシカルとは英語で、直訳すると「倫理的」という意味です。
一般的には、「法的な縛りはないけれども、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範」であると言えます。
私たちが普及活動を行なう際の「エシカル」とは、根底には一般的な定義が流れているものの、特に「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」のことを指します。
→例えば、「地域の活性化や雇用などを含む、人や地球環境、社会に配慮した消費やサービス」も、「エシカル消費」とされています。
つまり、エシカル消費の考え方の1つとして、「社会問題を解決するために、それに貢献している商品を積極的に購入する」という考え方があります。
例えば、「ゲーマーの聖地」とも呼ばれるゲーセンミカドでは、新型コロナウイルスの影響で4月以降に予定していた事業計画の資金計画に必要な資金を、クラウドファンディングで募っただけではありません。
返礼品として、プレイ回数券や横断幕に名前を付ける権利などが用意されました。
つまり、私がもらっている株主優待のように消費者にとっても、応援することでメリットがあります。
購入する理由は人それぞれですが、これも「社会貢献を解決するためにそれに貢献している商品を積極的に購入」していることには間違いありません。
国や自治体も「エシカル消費」を普及中!
消費者庁では、2015年5月から2年間、「倫理的消費(エシカル消費)」調査研究会が開催され、人や社会・消費行動に配慮したエシカル消費の普及に向けて、幅広い調査や議論が行われました。
「エシカル消費」という考え方は、本当に広い意味があります。例えば、東京都では私達が取り組める「エシカル消費」の行動例がまとめられています。
エシカル消費の行動例
- マイバックの持参
- 必要な物だけ購入する
- リサイクル素材や省エネ商品を購入する
- 地元産品の購入・被災地の産品を購入
- エコマークなどエシカル消費関連したラベル・マークのが付いた商品の購入
→食べ残しを減らす・マイボトルを持参・省エネや節電を心がけるなど、こういったことも「エシカル消費」に含まれます。
さらに、京都府ではこのように紹介されています。
- 人や社会に配慮した消費・・・寄付付商品の購入など
- 環境に配慮した消費・・・自然エネルギーの使用など
- 地球に配慮した消費・・・伝統を大切にした商品
- 動物福祉
このように、「エシカル消費」というのはこれまでの「エコ活動」や「もったいない精神」と同じような意味合いがありますが、その言葉の意味はどうのようにも解釈できてしまいます。
最後に
日本には、「もったいない」という感謝すると同時に捨てることに対してに申し訳ないという気持ちを込めた言葉が昔からあります。
ケニアの副環境大臣だった(故)ワンガリ・マータイ氏が、植林活動を通じて環境保護と民主化へ取り組んだ功績が評価され、環境分野として初、またアフリカの女性としても史上初のノーベル平和賞を2004年に受賞しました。
そんなマータイ氏は、2005年に来日し日本語の「もったいない」が自身が取り組む資源の活用3R(Reduce・Reuse・Recycle)を一言で表わす言葉として「MOTTAINAI」としてMOTTAINAIキャンペーンの提唱者として世界に発信した人物でもあります。
さて、まだまだ完全ではありませんが、今は簡単に機械翻訳ができるようになりましたよね。
ただ、翻訳はあくまでも翻訳で、その言葉の概念を表わす言葉を選択することが不可能なこともあります。
なぜなら、その国にはその言葉を説明する言葉、つまりその言葉の意味する概念がないかもしれないからです。
例えば、英語で「もったいない」を翻訳しようとすれば、「waste」という単語があります。
→waste:無駄遣い・浪費するといった意味。
「Whate a waste!=なんてもったいない!」と訳すことができます。ですが、「もったいない」の概念がどこまで伝わっているのかは分かりません。
例えば、もったいないには、「感謝する」という意味も込められているため、上記の「資源を無駄にしてもったいない」という意味だけではうまく伝わりません。
それぞれの国にある言葉で、こういった活動ができればもっとスムーズに進むかもしれませんね。
私見ですが、少なくとも消費者庁が調査委員会を実施していたことから、日本で「エシカル消費」というブランディングが国の政策として進められていることは間違いないでしょう。
ただ、新しい言葉をどんどん取り入れてしまうと、微妙に意味合いが違う言葉が乱立してしまうことで、混乱してしまいます。
→そもそも、言葉は「相手に伝える」ことが役割です。
少なくとも、日本で「エシカル消費」といった場合、その意味は地球規模にもなれば一般市民レベルにもなります。
何が言いたいかといえば、「エシカル消費」と付ければ、それがブランドになり「結局お金儲けに利用されているだけではないか?」という疑問が残ります。
もしも、儲かったお金が例えば地産地消を守ることにつながるのなら、エシカル消費の1つの目的は達成されたことになります。
今後、エシカル消費の影響がどのように拡がっていくかは、今後の取組次第だと言えるでしょう。
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