子どもを乗せて車を運転する場合は、チャイルドシートは必須ですよね。
それでは、実際に100%の人がチャイルドシートを利用しているのでしょうか?
今回は、警察庁とJAFが合同でおこなった「チャイルドシート使用状況全国調査2019」から、「チャイルドシートをどれだけの人が実際にしているのか?」についてご紹介します。
どんな調査だったの?
調査結果を見ていく前に大前提として、そもそも日本では2000年より6才未満の子どもを乗せる場合、チャイルドシートは「義務」になっています。
さらに、違反した場合は運転手に違反点数1点が加算されることになります。
さて、そんなチャイルドシートの使用状況に関する調査が2019年6月1日(土)~6月16日(日)の間、聞き取り調査が行なわれました。
全国99箇所:調査対象者:13,112人/10,500台
このように、大規模な調査が毎年実施されています。
チャイルドシートの使用率はまだ、7割越え!?
図1 《6歳未満全体のチャイルドシートの使用状況》
図1から、2008年まではチャイルドシートの設置状況は、50%前後を上下していることが分かります。そして、2008年以降は50%を毎年越えています。
その後、毎年少しずつ増減し2019年で初めて70%を越えて使用するようになったことが見てとれます。
個人的には、厳しく取り締まれている現状で、30%近くの人がいまだに使用していないことに驚きましたが、年代別でみると、また違った見え方があります。
年代別で使用状況が全く違う!?
図2 《年代別に見たチャイルドシートの使用状況》
~1歳未満の使用状況~
図2より、1歳未満に限って確認すると2002年の時点ですでに使用率が7割を越えています。その後増減はありますが、2019年には88%の使用率となっており9割に迫ろうとしています。
~5歳の使用状況~
一方、5歳に限って確認すると6歳未満全体の使用率や1歳未満、1歳~4歳未満までなど、どの使用率と比較しても圧倒的に低いことが分かります。
例えば、5歳以外は、どの年代を見ても低くても50%に近い割合があります。ですが、5歳の使用率は2002年の30%代から始まり、さらに2007年には25%となり、30%を割り込んでしまっています。
そして、2019年にやっと48%となり2002年からの調査と比較して最も高い使用率になっていますが、5歳の半数以上がチャイルドシートを使用していない状況が示されました。
つまり、6歳未満すべてのチャイルドシートの使用率が低い理由は、5歳の使用率が圧倒的に少ないことが原因だとわかりました。
~1歳~4歳未満の使用状況~
ちなみに、1歳~4歳未満のチャイルドシートの使用状況は6歳未満全ての使用状況と比較すると、ほぼ平均となっています。
それでは、チャイルドシートを使用せずに、いったいどこに子どもを座らせているのでしょうか?
「チャイルドシートを使わない?」ということは・・・
2019年の調査結果より、チャイルドシートを利用している6歳未満全体の使用率は70.5%(9,241人)でした。
つまり、30%近くの人(3,871人)は、チャイルドシートを使わずに車に乗車させていたことになります。それでは、どうやって子どもを乗車させていたのか確認していきましょう。
図3 《チャイルドシート不使用時の乗車状況》
6歳未満全体のチャイルドシート不使用の状況は、このようになりました。
チャイルドシートを使用していない・・・
- 47.9%の人は、車両シートにそのまま座らせ。
- 20.8%の人は、大人用シートベルトをそのまま着用させ。
- 17%の人は、チャイルドシートが設置したあるのにそのまま座らせ。
- 14.3%の人は、保護者が抱っこしている。
こういったことが、分かりました。
驚いたのは、1歳未満の赤ちゃんのチャイルドシート不使用の状況です。
1歳未満の場合
1歳未満は、88%の人(1,612人)がチャイルドシートを着用していました。つまり、残りの12%(219人)が不使用ということになります。
図4 《1歳未満のチャイルドシート不使用時の乗車状況》
図4より、保護者の抱っこが170人(77.6%)と圧倒的に多くなっています。
昔は、この乗り方が当たり前でしたよね。ですが、これでは事故の時、赤ちゃんを守ることができないことが知られています。チャイルドシートが義務になっている理由の1つです。
さて、他にも6歳未満全体の統計でもありましたが、せっかくのチャイルドシートにそのまま着席させてしまっているケースが26人(11.9%)。
ただ、これで終わりませんでした・・・
衝撃的だったのが、車両シートにそのまま着席22人(10%)。
さらにありえないと思ったのが大人用シートベルト着用1人(0.5%)。
いったい、どんなやり方をすれば赤ちゃんが大人用シートベルトを着用できるのか不明ですが、これではベルトの意味がないどころか、急ブレーキ1つでバランス崩してベルトが首に締まるのでは・・・?
どういった状況でこうなったのか分かりませんが、赤ちゃんの命に関わるので絶対ダメ!
そして、5歳になると身体もある程度大きくなり、車両シートにそのまま乗せてしまうことが増えていくようです。
このように、チャイルドシートの使用状況はさまざまで、せっかく設置しているのに使っていない状況だけでなく、ただただ危険な乗車をさせてしまっている親御さんがいることも分かりました。
最後に
チャイルドシートは、1歳未満では80%を越えていますが、5歳になる頃には使わなくなることが増えていきます。
ただ、ベルトが首に掛からないことが基本ですので、一概に年齢だけで区分できる物ではありません。というのも、そもそもシートベルトは140㎝以上を基準に設計されているためです。
つまり、遊園地などの身長制限と同じで、本来は年齢制限ではなく、身長制限の方が重要となります。
仮に、6歳になっても140㎝未満なら、やはりチャイルドシートは必要です。
もしもの時、シートベルトにより首を痛めたり内臓を痛めたりといった場合があり、「交通事故の致死率はチャイルドシートの有無で16倍も変わる」と言われることもあります。
くれぐれも、おかしな乗車はさせないで下さいね。毎回、運転のたびに子どもに命がけのドライブを強要しないようにご注意下さい。
→「せっかくのチャイルドシートがしっかり取付けられていない!?」についてはこちらでご紹介しています。
参考
JAF:チャイルドシート使用状況調査(2019年調査結果)
→https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/survey-report/2019-child-seat
くるまのニュース:使用率約7割!? チャイルドシート未使用時の事故で子供に起きる悲劇とは
→https://kuruma-news.jp/post/180774
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