中国依存の打開策!? 「国内回帰」と「多元化」とは?

 

今回の新型コロナウイルスの影響で、中国への依存度の高さが深刻化しましたよね。

例えば、マスクや消毒液といった医療品ですら中国での生産が多くを占めていたため、日本では品薄の状態が続いていました。

それに伴い、「エリエールブランドを展開する大王製紙」や「アイリスオーヤマ」など、さまざまな企業が日本でのマスクの生産開始を始めるまでに至りました。

今回は、そんな供給が破綻した教訓から「マスコミがあまり報道しない政府の取組」についてご紹介します。

 

そもそも、中国はどんな役割をしていたの?

そもそも、中国と言えばその安さにより主に「世界の工場」として・・・

  • 製品の原材料・部品の調達
  • 製造
  • 在庫管理
  • 配送
  • 販売
  • 消費

こういった「仕入れから出荷まで」の一連の流れをサプライチェーン(供給連鎖)と言いますが、中国はこのサプラーチェーンの生産拠点として重要な役割を担ってきました。

つまり、そんな中国の生産が今回のコロナ騒動で大部分が停止してしまったため、各国の供給を補えなくなり、世界中で様々な物が品不足になりました。

これは、日本で流通している8割は輸入品(特に中国)である「マスク」だけではありません。

例えば、100均のように安価な商品の多くは中国製ですよね。

他にも、アパレル業界ではインナーやアウターなど中国で生産されている衣類などもあります。また、化粧品にも影響が出ています。(ノズル・ポンプ・ラミネートチューブなどの多くが中国で生産されているため)

つまり、例えば化粧品を売ろうにもそもそも容器がないため発売できません。ですが、こういった容器に入れる商品は化粧品だけではなく、多岐にわたりますよね。

このように、中国依存による影響が各国で発生してしまいました。それでは、日本政府はどのような方針を示しているのでしょうか?

 

サプライチェーン改革

「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として、2020年4月7日にすでに閣議決定されています。

この対策の中でも、「感染症の拡大の影響により寸断し、ダメージを受けたサプライチェーン」とはっきりと明言されており、いかに大きな影響があったかが示されています。

今回は、「中国依存の回避」に焦点を当ててどんな対策がなされるのか見ていきます。

 

2つの大きな取組!

  1. 国内回帰・・・日本国内での製造を増やしていく
  2. 多元化・・・中国だけに頼らない

それでは、そもそもどうして企業は海外に進出するのでしょうか?

 

企業はなぜ海外に進出する?

そもそも、日本は世界4位の貿易大国です。そんな日本の企業は、そもそもなぜ海外進出をするのでしょうか?

  • 国内の市場規模の縮小・・・少子高齢化により人口が減少しているため、国内で競争しても限界がある
  • 市場規模・・・日本の人口は約1億2,000万人ですが世界人口は約75億人と規模が全く違う
  • 人件費の安さ・・・発展途上国の方が、人件費・材料費を削減できる
  • 取引先企業が海外へ進出・・・そもそも取引先が海外進出してしまったことで追随する

理由は様々ですがこのように、「海外で商売をした方が利益を出しやすい」と考えた企業が海外進出を行い、それに伴い取引先との関係を継続させるために進出する日本企業も数多くあります。

つまり、そもそも企業がこのような海外進出をするメリット以上のものを政策としてあげる必要があります。それでは逆に、どんなデメリットがあるのでしょうか?

 

~海外進出のデメリット~

例えば、海外進出をするデメリットは文化の違いなどもありますが、そもそも設備投資に莫大な費用がかかります。

まずは、現地の情報収集に始まり、市場調査費や法人設立費、通訳依頼料、事務所家賃料など単純に挙げただけでも多岐にわたります。

また、日本ではやっと転職が当たり前になってきましたが、海外ではそもそも「1つの会社でいつまでも働く」という意識が低いことが普通です。

つまり、技術者として一人前になっても報酬面などで不満があれば、すぐに辞められることは珍しくありません。

これらはほんの一例に過ぎませんが、海外進出には例えばこういったリスクがあります。そのため、企業にとって本来なら日本国内で利益を上げられるのであれば、それに越したことはありません。

それでは、具体的にどういった対策がなされるのでしょうか?

 

「国内回帰」や「多元化」を通じた強固なサプライチェーン!?

国内回帰政策

  • 一国依存度が高い製品・部素材について生産拠点の国内回帰等を補助

→中小企業への補助率:3分の2
→大企業への補助率:2分の1

  • 国民が健康な生活を営む上で重要な製品等(マスク・アルコール消毒液・防護服・人工呼吸器など)の国内への生産拠点等整備の補助率を引き上げ

→中小企業への補助率:4分の3
→大企業への補助率:3分の2

  • 海外依存度が高い医薬品原薬等の国内製造拠点の整備

→補助率:2分の1

つまり、国内生産を強化するための取組み。

 

多元化政策

①日本に供給される製品・部素材で、一国依存度が高い物についての対策

  • ASEAN諸国等への生産設備の多元化を支援

→中小企業への補助率:3分の2
→大企業への補助率:2分の1

②サプライチェーンの強靭化に資する技術開発

  • 一国依存度が高い部素材の「代替え」や「使用量低減」
  • データ連係を通じた迅速・柔軟なサプライチェーンの組替え

さらに、レアメタルの確保・備蓄を進めることも決められています。

以上の事業を、以下のように取りまとめられています。

・ サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(経済産業省)
・ 医薬品原薬等の国内製造拠点の整備のための製造設備の支援(厚生労働省)
・ 海外サプライチェーン多元化等支援事業(経済産業省)
・ サプライチェーン強靱化に資する技術開発・実証(経済産業省)
・ 東アジア経済統合研究協力(サプライチェーン強靱化・リスク管理等)(経済産業省)
・ 生産拠点の国内回帰等を踏まえた企業のRE10021等に資する自家消費型太陽光発電設備等の導入による脱炭素社会への転換支援(環境省)
・ 希少金属(レアメタル)備蓄対策事業(経済産業省)
・ 中小・小規模事業者への感染症対策を含むBCP(事業継続計画)策定支援(経済産業省)

このように、国策として展開されていくことになります。

つまり、今回のような全世界を巻き込むような予測不可能な自体に陥ったとしても、日本の供給を止めないための政策です。

 

最後に

観光業をみると、分かりやすいかもしれません。

これまでは、2020年に開催される予定だった東京オリンピックの影響もあり、海外からの観光客をいかに呼びよせるかに重点が置かれました。

ところが、コロナ騒動によりそもそも各国が昔の日本のように鎖国状態に陥りました。

つまり、各国は基本的に自力でなんとかしなくてはいけなくなりました。ところが、例えば中国人の観光客便りの地域は、次々に廃業に陥りましたが、これは日本も例外ではありませんでしたよね。

昔から、こういったリスクは指摘されてきましたが、今回のコロナ騒動をきっかけに日本も少しずつ変わるかもしれません。

仮に変わられなければ、「100年に一度」と言われるパンデミックにまた翻弄されるでしょう。そうでなくとも、災害大国と言われる日本では国内回帰と多元化は必要不可欠と言えるでしょう。

政府のこういった対策も、もっと取り上げて欲しいですね。


参考

LIFE PEPPER:日本企業が海外進出を進める理由とは?【グローバル化の波に乗る】
https://lifepepper.co.jp/abroad/reason-merit/#i

 

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