新型コロナウイルスの影響により、株価の大暴落や大暴騰が発生しました。
ただ、今回のように社会情勢の大きな混乱や事件などがあった場合に備えて、需要と供給のバランスが一方に偏らないように、株価には日頃から値幅が制限されています。
ですが、今回はロックダウンが世界中で実施され日本でもロックダウンのような強制力はありませんでしたが、緊急事態宣言により休業要請がだされました。
つまり、そもそも世界中の経済が大幅にストップした異常な状態が世界中で発生してしまいました。
今回は、「投資家を守るための値幅制限」についてご紹介します。
そもそも「値幅制限」ってなに?
株式を売買するときに、「株価の急騰や暴落といった急激な値動きを防ぐために設定される制限」それが、値幅制限です。
→株価の大幅な変動による損害から投資家を守るための制度。各証券取引所では、前日の終値を基準に当日の株価の変動幅を制限している。
もしも、株価が1日の間で上限なく上がったり・下がったりすればどうなると思いますか?
今回のコロナの場合なら、持っていた株のほとんどが下がっているため、1日で損失が何倍にも膨れ上がったでしょう。
中には、上場廃止の企業もありましたよね。
つまり、値幅制限があることで株価が底値へいくまでに「損切り」するための猶予が与えられることになります。
→損切り(ロスカット):損失が少ない段階で持っている株を処分すること。
*ただ、今回のように連日株価が大幅に下がり続けることになれば、いくら値幅制限があるとはいえ早い段階で損切りの決断は必要になる。
それでは、値幅制限について具体的に見ていきましょう。
値幅制限は細かく決まっている!
「値幅制限」ですから、当然、上にも下にも制限がかかることになります。
例えば、100円未満の株の場合なら「制限される上下の値幅は30円」となるため、90円の株を買った場合・・・
- 上限:120円
- 下限:60円
これが、90円株の1日の値幅となります。
つまり、90円の株の場合なら「120円」か「60円」になった時点で値幅制限がかかりそれ以上、その日はこれ以上株価が動かなくなるという措置です。
さて、せっかく株の話をしているので用語の解説をすると、この値幅制限の上限がいわゆる「ストップ高」・下限が「ストップ安」と呼ばれます。
そして、値幅を超えた注文は原則として発注できません。
*逆指値Sまたは逆指値Mで「執行条件」に「成行」を指定された場合は発注できる。(ライブスター証券などの場合)
ワンポイントアドバイス! 「逆指し値S」「逆差し値M」で「成行」を設定
- 逆指し値S(成り行き)
現在値を基準として、買いの場合は「以上」、売りの場合は「以下」の価格設定を行い、その価格に到達した時点で成行注文を発注する。
- 逆指し値M(成り行き)
現在値を基準として、買いの場合は「以下」、売りの場合は「以上」の価格設定を行い、その価格に到達した時点で成行注文を発注する。
こういった注文方法ができれば、値幅を越えていても注文が可能。それでは、具体的な値幅制限の価格についてみていきましょう。
値幅制限
私が使っている楽天証券からご紹介します。(全ての証券ロ取引き所で共通)
<表1> 値幅制限表
価格 | 制限値幅 |
~100円未満 | 30円 |
100円以上~200円未満 | 50円 |
200円以上~500円未満 | 80円 |
500円以上~700円未満 | 100円 |
700円以上~1,000円未満 | 150円 |
1,000円以上~1,500円未満 | 300円 |
1,500円以上~2,000円未満 | 400円 |
2,000円以上~3,00円未満 | 500円 |
3,000円以上~5,000円未満 | 700円 |
5,000円以上~7,000円未満 | 1,000円 |
7,000円以上~10,000円未満 | 1,500円 |
10,000円以上~15,000円未満 | 3,000円 |
15,000円以上~20,000円未満 | 4,000円 |
20,000円以上~30,000円未満 | 5,000円 |
30,000円以上~50,000円未満 | 7,000円 |
50,000円以上~70,000円未満 | 10,000円 |
70,000円以上~100,000円未満 | 15,000円 |
100,000円以上~150,000円未満 | 30,000円 |
150,000円以上~200,000円未満 | 40,000円 |
200,000円以上~300,000円未満 | 50,000円 |
300,000円以上~500,000円未満 | 70,000円 |
500,000円以上~700,000円未満 | 100,000円 |
700,000円以上~1,000,000円未満 | 150,000円 |
1,000,000円以上~1,500,000円未満 | 300,000円 |
1,500,000円以上~2,000,000円未満 | 400,000円 |
2,000,000円以上~3,000,000円未満 | 500,000円 |
3,000,000円以上~5,000,000円未満 | 700,000円 |
5,000,000円以上~7,000,000円未満 | 1,000,000円 |
7,000,000円以上~10,000,000円未満 | 1,500,000円 |
10,000,000円以上~15,000,000円未満 | 3,000,000円 |
15,000,000円以上~20,000,000円未満 | 4,000,000円 |
20,000,000円以上~30,000,000円未満 | 5,000,000円 |
30,000,000円以上~50,000,000円未満 | 7,000,000円 |
50,000,000円以上~ | 10,000,000円 |
(平成22年1月4日から適用)
このように、値幅制限は株価によって細かく決められているため、購入しようとしている株がいくらになっているのか確認しながら売買する必要があります。
*個人投資家であれば、信用取引でもしない限り1株で数万円以上の株式を買うことは基本的にないと思います。
→1万円✕100株=100万円が必要になる。
ただし、この値幅制限が解除されている株もあります。
値幅制限が解除!?
例えば、2020年6月16日に上場廃止となった「レナウン」は57年におよぶ上場企業としての幕を閉じました。
そんなレナウンは、2020年5月18日に値幅制限の撤廃が発表されていました。
①上場廃止が決まった銘柄は、東証が値幅制限を撤廃することがある。
→何が起こるかと言えば、最悪一気に1円まで下がることもありえます。他にも、こういった場合は解除されます。
②株の売買が行なわれず(出来高なし)に、3日連続で「ストップ高」や「ストップ安」になった場合、値幅制限が規定の2倍に拡大。
- ストップ高の時は、上限のみ拡大。
- ストップ安の時は、下限のみ拡大。
*比例配分をするには、各証券会社に最低限振り分けられるだけの注文数が必要。そのため、配分する株数が足りない場合は比例配分が行われず、「出来高なし」になる。
→比例配分とは、「買い注文や売り注文が殺到している状態で、値幅制限(ストップ高、ストップ安)いっぱいの水準でも取引が成立しない場合に、終値で各証券会社の注文数に比例して配分されること。」
このように、値幅制限には注意が必要ですので、株を購入する場合は「ストップ高」や「ストップ安」を意識して売買する必要があります。
最後に
それでは最後に、値幅制限の問題を準備しました!
①500円の株が、翌日1,000円になることがある?
→株価が500円の株は表1より値幅制限が100円となっています。(株価が500円以上~700円未満の場合)
- 株価が翌日(1日目)どんなに上昇したとしても600円(ストップ高)まで。
- 2日目もストップ高まで上がれば700円が上限。
- 3日目は、株価が700円以上となるため値幅制限は150円となり、850円(ストップ高)まで上がることになります。
つまり、基本的には500円の株は翌日どんなに上がっても600円までしか上昇しません。
*ただし、出来高なしで、3日連続のストップ高の結果500円になっていた場合は、4日目の値幅制限が2倍になるため、株価500円の株なら値幅制限は上限200円となるため、翌日のストップ高は700円になる。
→どちらにしても、翌日に株価500円の株が1,000円になることはない。
②株価が5,000円の株を「株価6,000円になったときに100株購入(60万円)する」と間違って指し値注文を入れたら成立する?
この場合、売買は成立してしまうのでしょうか?
表1の値幅制限表を確認すると、5,000円以上~7,000円未満の株価の場合は、制限値幅は1,000円となっているため、5,000円の株価なら4,000円~6,000円の間の株価なら成立することになります。
つまり、仮に間違って注文したとしても、株価を6,000円で指し値注文することができてしまいます。このように間違って注文した場合は、すぐに訂正する必要があります。
自分が買おうと思っている前日の株価の終値がいくらだったのか、確認してから売買するようにして下さいね。
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