「浮いてまつ」は川でも有効? 今年は川での水難事故が多発中・・・

 

新型コロナウイルスに日本中が振り回され、その状況は今も続いています。

さて、梅雨の季節に入り暑さが厳しい今日この頃ですが、実は河川での死亡事故が多発しています。

これは、「コロナの影響で本来なら学校や塾に行っているはずの子ども達が、暑さをしのぐために川で遊んでいるためだ」と考えられます。

今回は、「川と海の危険は違う?」についてご紹介します。

 

そもそも今年(2020年)は子どもの水難事故が多発中!?

警察庁が発表している「令和元年夏期における水難の概況」によると、子ども達の水難事故の現状は以下のようになっていました。

 

中学生以下の子どもの水難事故発生状況(7~8月の2ヶ月間)

  • 発生件数:62件
  • 水難者数:107人

死者・行方不明者数:14人

死者・不明者数は前年と比較すると同じですが、発生件数は19人・水難者は10人それぞれ減少しています。

全体で見ると、令和元年(2019年)の水難による死者・行方不明者は239人となりますが、昭和50年には3,000人以上もいたことを考えれば約1/5まで減少していることが分かります。

この一因としては、川に行かなくても学校などのプールが開放されたことが理由として考えられるでしょう。


ところが、今年はそもそも外出自粛により学校や塾が閉鎖され遊びにも行くことができなくなりました。となると、行き先は近くの「自然の中」ということになります。

まず、ここで注目すべき点は、そもそも令和元年の子ども達の水難による行方不明・死者の14人中5人は、河川により発生していたことです。

そして、死者・行方不明になった子ども達の半数の目的は、「水遊び」でした。つまり、特別な理由があったわけではなく、ただ水遊びに行っただけで11人の子ども達が命を落としています。

ところが、今年は事情が少し違います。

 

今年は発生状況が違う!

2020年5月1日~6月10日までで、中学生以下の溺死者はすでに全国で6人となっています。そもそも、平成30年ではそのほとんどが夏休みかその前後で発生していました。

ところが、今年の子ども達の水難死亡事故のうち4人が平日に引き起こされています。

これは、外出自粛で学校やプールなどあらゆる場所が閉鎖され、行き場を失った子ども達が川に遊びに行った結果だと言えるでしょう。

また、今は学校が始まっていますが、コロナの影響で「分散登校」や「短縮授業」を実施している学校もあり、これまで通りというわけにもいきません。

つまり、今後も「平日に空いた時間に川で遊ぶ子ども達がいる」と言うことになります。

それでは、川で溺れた場合どうすればいいのでしょうか?

 

川や海で溺れたら

消費者庁によると、様々な注意点が挙げられています。

そもそも、子ども達の水難死亡事故は川や海だけでなく、例えば「用水路」でも発生してしまっています。

当然、他にもプールや湖など水がある場所では注意が必要です。

例えば、「湖にいたカエル」や「用水路にいたカニ」を捕まえようとしての死亡事故がこれまでに発生しています。

そういう意味では、水のあるところはどこも危険であることは言うまでもありません。

それでは、川と海とで何が違うのでしょうか?

 

川と海の違いとは?

海の場合

例えば、海の場合なら監視員がいますよね。また、遊泳禁止の看板があったりと対策がなされていることが多いのではないでしょうか。

また、沖へ流れる海水の強い流れ(離岸流)が発生している場所もあり注意が必要です。

 

離岸流については、こちらの記事で紹介しています。

海での注意! 離岸流には誰も勝てない・・・ 

そして、海で流された場合は、「浮いて待つ(大の字)」という対処が有効とされています。

  • 大きく息を吸い肺に息を溜める。
  • 手は水面より下
  • 靴は履いたまま(軽い靴は浮輪代わり)
  • 手足は大の字に広げる

これは、海では基本的に流れが安定しているため、ライフジャケットもなにもないときの最終手段として利用できる方法です。

ところが、川では「浮いて待つ」を実践することは困難です。

 

 

川の場合

川の場合は、天候によって簡単に変化していきます。例えば、急な増水でその場所が水没する恐れがあります。これはキャンプをする人なら特に注意する点ではないでしょうか。

→台風が来ているのに、「バーベキューをして取り残された」なんて報道を見ることがありますよね。

また、海でも同じことが言えますが急に深くなる場所がありますし、岩などで滑りやすい場所もあります。

つまり、川の場合は穏やかに見えても刻々と変化していきますし、水中に気をつける必要があります。また、そもそも誰かが付き添いで行かないと誰も見てくれないため注意が必要です。

さて、そんな川ですが想像してもらうと分かると思いますが、上~下へ流れていますよね。つまり、「浮いて待て」を実践しようとすれば川下へどんどん流れていくことになります。

ただ、そもそも川は海と違って狭い場所などがあり、流れていく途中で岩にぶつかる可能性などもあります。つまり、物理的に大の字でいつまでも流されていくことは不可能です。

そのため、川で溺れた場合は補助浮力が必要不可欠になります。ただ、ライフジャケットを着用したとしても川では必ずしも浮くとは限りません。

 

ライフジャケットの効果が得られない!?

公益財団法人 河川財団では、水辺のハンドブックが紹介されています。

この中で、川でライフジャケットが無力化してしまう4つの条件が示されています。

 

①リサーキュレーション

川を横断するように設置されている堰堤(えんてい)の直下流では、越流した流れが上流側に反転する流れになるため脱出できなくなります。

 

 

②フットエントラップメント

川遊びでは、当然、川の中を歩くことになりますよね。ただ、川底の石に足を挟まれて転倒すると水圧で水中に体が押し込まれてしまいます。

この状態に陥ると、ライフジャケットを装着していたとしても水面に顔を出したり脱出することが難しくなります。

→無闇に立ち上がろうとせず、足を下流に向け、足先を水面まで持ち上げた背泳ぎの姿勢を取るようにする。

 

 

③ボディエントラップメント

水中の流木等に挟まれると、ライフジャケットを着用していても前進に水圧を受けることになり、脱出が難しくなります。

→無闇に立ち上がろうとせず、足を下流に向け、足先を水面まで持ち上げた背泳ぎの姿勢を取るようにする。

 

 

④ホワイトウォーター

白く泡だった流れの中では、浮力が小さくなりライフジャケットを着用しても水面上に顔を出すことさえ難しくなる。


つまり、川遊びをするときにライフジャケットは必須となりますが、上記のようにライフジャケットを着けていたとしても、危険な箇所をあらかじめチェックしておく必要があります。

もちろん、「その日の天候」や「もしもの時の救助ロープ(スローロープ)」など、事前準備をしっかりする必要があります。

*服・ズボン・ベルトなどをつなげれば、3~4m程になる。

そして、川の近くにある看板には注意事項が書かれているので必ず確認する必要があります。

 

最後に

「ただの川遊び、されど川遊び」です。

川で溺れた人を助けるときは、なんの準備もなしに自分まで飛び込んではいけません。

  • 周囲に助けを求める
  • 119に連絡
  • 溺れている人に「頭を上流に向ける」ように指示する
  • ペットボトル(2本)に水を少し入れて、溺れている人に渡す。(水を入れると投げやすくなる)→ロープがあればペットボトルに結びつける
  • バーベキューなどなら、もってきたクーラーボックスなど浮く物を渡す。

単独で水に飛び込むことは、レスキュー隊員ですら難しいと言われます。

2020年6月8日には、岐阜県でキャンプにきていた家族の父親が、川で溺れた子ども達2人(9歳と7歳)を助けようとして、そのまま川に流され亡くなってしまう事故が引き起こされました。

川に飛び込むのは、本当に最後の手段です。最悪、空のペットボトル2本は準備しておく必要があるでしょう。

 

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