あなたの近所に危険な用水路はありますか?
生活をする上で用水路(インフラ)は絶対に必要となるので地下に埋まっていたり用水路の溝には蓋がしてあったりと普段は落ちないようになっているかもしれません。
ですが、蓋もなにもない簡単にはまってしまう用水路(溝)が全国にはたくさん存在しています。
かくいう私の近所には畑が点在していたり、蓋のない側溝が住宅街にもあったりと以外とたくさん見受けられます。
子どもが散歩中に近づいて落ちそうになったこともありました。
*子どもには、迷子ひもを付けることでいざというときの対策はしています。
今回は、そんな「危険な用水路事情」についてご紹介します。
用水路ってそもそもなに?
用水路は、私達の日々の生活を支えてくれる水の通り道。
ウィキペディアより引用
農業(灌漑)、工業、水道(飲料水を含む生活や消防)、水車や水力発電の動力など、主に人間の経済活動に用いるための水を用水(ようすい)と呼ぶ。この用水を川などの水源から離れた場所に引くために人工的に造られた水路が用水路である。
とあります。
つまり、用水路は私たちが生活する上で絶対に必要不可欠なものです。
ただ、その用水路にはまるという死亡事故が多発しています。
どんな事故?
幅の広い水路にはまる事故もありますが、大人の頭が入るぐらいの幅で、水深も足首程しかない溝でも事故が発生しています。
そんなどこにでもあるような溝(用水路)で、しかも日中にも発生しています。
解決は簡単じゃないの?
溝や川にはまるわけですから、「蓋をして落ちないように対策すればいい!」と思うかもしれません。
実際、転落防止のために水路の蓋が金具などで固定されているところもあります。
それでは、その用水路はどこが管理しているかご存じですか?
国?当道府県?市?
実は、管轄が細かく分かれています。
例えば、川の場合は管轄がある程度はっきりしています。
川の場合
国道・都道県・市区町村道・一級河川・二級河川・準急河川のいずれかに隣接している場合・・・
- 国が直接管理している区間の国道・一級河川は、関東では関東地方整備局に所属する事務所(出張所)が管理。
- 道路・河川はそれぞれの管理者が管理している可能性がある。
中国地方の岡山県を例に挙げると・・・
《一級河川》
- 旭川の一部と百間川、吉井川→国土交通省が管理
- 旭川水系倉安川・大堀川、吉井川水系永江川の3河川→岡山市が管理
- 旭川の上流部や旭川水系砂川など、国土交通省と岡山市以外の管轄→岡山県が管理
*同じ一級河川でも、管轄が国・県・市と場所により変わります。
ちなみに他の河川の管理は・・・
《二級河川》
市内を流れる22の二級河川すべて→岡山県が管理
《準用河川》
12の準用河川はすべて岡山市が管理
《普通河川》
河川法の適用を受けない普通河川は→岡山市が管理
と管轄が決まっています。
水路(法定外公共物)の場合
法定外公共物とは、道路法や河川法などの適用を受けない国の土地のことをいいます。
例えば、昔からあったあぜ道や用水路などほとんどの場合は地番がなく、法務局に備え付けの旧公図では、里道は赤色・水路は青色の線で表示されています。
里道や水路(法定外公共物)の場合・・・
市区町村で管理している可能性があります。→市区町村へ連絡。
↓
市区町村では、「管理していない!」といわれた場合・・・
↓
財務省で管理している可能性があります。→管轄する財務事務所へ連絡。
↓
財務省では、「管理していない!」といわれた場合・・・
↓
都道府県の財産管理部署へ連絡
となっています。
このように、そもそも管理者を探し出すのが一苦労です。
簡単に蓋をすることができない!
管轄が分かっても、危険な水路に蓋を設置できるとは限りません。
そもそも水路には、雨水を集めて川に流すという役割があります。そのため、水路に蓋をすると雨水が蓋の上を流れて集水能力が低下するため、道路側溝とは違い蓋をしていないことが多いです。
また、雪が多い地域では溝に雪を捨てやすくするために蓋をしていないなど、溝に蓋をしない理由は、普段の生活事情に直結しています。
かといって、勝手に水路に蓋をしてはいけません!
- そこに住むのは、あなただけではありません。他の住民の賛同がなければトラブルに発展して終わりです。
- 最初に記述したように、そもそもあなたの土地でもない限りその用水路の管理者はどこかにいます。
*蓋をしようと思えば、管理者へ届け出が必要になります。
→まずは、市役所へ相談することになるでしょう。
注意すべき用水路は?
- 道路脇の水路で街灯がなければ夜間は道路の水路の境目が分かりにくく、バイクや自転車ごと転落。
- カーブや交差点に水路があり、カーブしたときに自転車やバイクの車輪がはまりそのまま溝に転落。
- 水路の溝が続いていると勘違いし転落。→基本的に、水路は管理状蓋をしていません。ですが、家の前だけは水路に蓋がしてあります。
用水路への転落が多発するため、「人食い用水路」といわれる所まであります。
それもそのはず、用水路で亡くなる人は年100人を超えています。
高齢者だけでなく、子どもも犠牲になっています。
死亡事故でこれほど多いということは、用水路に転落している人はもっと多いことになります。
死亡事故がもっとも多い岡山県が取り沙汰されることが多いですが、危険な用水路の位置は普段から把握しておく必要があります。
注目すべきは、用水路に落ちて亡くなる人が多いにも関わらず対策が思うように進まず用水路に落下する被害者が今も増え続けていることです。
*危険度の高い、優先順位の高い用水路から整備が進められているそうですが・・・
なぜ対策が進まない?
- 転落防止対策として、柵や蓋の整備をするための多額の予算が出せない。
- また、農地などにある用水路の多くは各土地改良区が管理しており県の意向だけではどうにもならない。
- 住民合意が必要。
といった問題がニュースでも取り沙汰されています。
しばらくは、個人で注意することが一番の対策になりそうです。
危険な用水路では、「用水路に落ち内容に気をつけましょう!」
とポスターなどで呼びかけるしかないのが現状のようです・・・
2018年に起こった岡山県で発生した死亡事故例
- 軽トラック・・・18歳の男性(外傷性窒息)
- 自転車 ・・・60代の男性2人(頭蓋損傷と脳挫傷)
- ミニバイク・・・60代の男性1人(出血性ショック)
- ベビーカー・・・0歳(溺死)
- 歩行者・・・70代の男性2人(溺死)
- 不明・・・50代の男性
岡山での死亡事故の特徴
- 男性に多い。
- 高齢者に多いですが、0歳の乳児も犠牲になっている。
- 自転車やバイクなど、乗り物ごと用水路に落ちると衝撃が強くそれが致命傷になる。
- 歩行時に落ちても、そのまま溺死してしまうことがある。
まとめ
- 用水路に落ちて亡くなる人が年間100人を超えている。
- 用水路の対策には費用・管轄・住民合意といった問題がありなかなか進まない。
- 高齢者が多いとはいえ、年齢に関係なく多くの人が用水路に落ちている。
参考
国土交通省関東地方整備局
→http://www.ktr.mlit.go.jp/nyuusatu/nyuusatu00001373.html
車のニュース:3年で転落死79人の岡山「人食い用水路」 事故多発理由や対策例を岡山市に直撃!
→https://kuruma-news.jp/post/203662
読売 ONLINE
→https://www.yomiuri.co.jp/local/kagawa/feature/CO028671/20180912-OYTAT50018.html
コメントを残す