親なら誰もが経験している
子育てをしていると、イライラしてしまうことはよくあります。そして、子どもへのしつけのはずが「暴言」になることはありませんか?実際、子育てはきれいごとではすまないことの連続です。しかも、その状態がずっと続きます。イライラは、人間なら誰でも普通にあることです。でも、子どもはやっぱりあなたが好きなので一緒にいようとします。これも普通のことです。
ただし、暴言はお互いを傷つけてしまいます。そこで今回は、子どもへの影響と子どもに対して暴言を吐いてしまった時の対応について紹介していきます。それを知ることで、お互いの傷を絆にかえられるようにすこしでもお手伝いができればと思います。
そもそも暴言とは?
礼を失した乱暴な言葉。無礼で、むちゃな発言。「逆上して暴言を吐く」
goo辞書より引用
つまり、感情をそのままぶつけることをいいます。この中に、「親」は存在しません。
- 叱る→しつけ(親の行動)
- 怒る→感情をぶつけること(理性は残っている)
- 逆上する→暴言を吐く(親ではなく動物)
例えば、こんな風に分ければわかりやすいかもしれません。
だから、暴言を吐いたあとに我に返ったなんてニュースがあったりします。たまに、逆上した振りをする方もいますがそうではなく本当に我を忘れてしまう場合です。また、単純に口が悪いのも別の話です。その理由は、本文中で紹介します。
子どもへの暴言は・・・
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暴言:脳の聴覚野が変形
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DV目撃:視覚野が委縮
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体罰:脳の前頭前野が委縮
このように、それぞれの機能が直接及ぼす脳の部位がそれぞれ変形・委縮することが脳科学の研究で分かってきています。
あなたも経験ありませんか?
本当に見たくないものを見てしまった時や聞いてしまったとき。しかもそれが逃れられない場合、自分の中でなにかを強く抑え込もうとした経験はありませんか?実際、小さい頃から暴言を聞き続けた子どもは心因性難聴(しんいんせいなんちょう)になりやすいことが分かっています。
*心因性難聴とは、「こころの問題」が難聴の原因になっている場合。つまり、耳には何の異常もないのに耳鳴りがしたり、本人や周りが気付かなくても健診で聞こえ方がおかしいことが分かり耳鼻科を受診するように言われたりします。
暴言は取り返しがつないの?
こころの問題が脳にまで影響することは分かってもらえたかと思います。それでは、暴言を吐いてしまえば全て取り返しがつかなくなるのでしょうか・・・
そもそも子ども(相手)が暴言だと思わなければ、それは暴言ではありません。
口が悪い親に育てられれば、それが普通の話し方なので子どもには影響がないことがあります。方言で説明すると分かりやすいでしょう。
例えば、語彙の強い方言と言えば関西弁でしょうか。本人は普通だと思っていたのに地元から離れた大学に行くと「話し方が怖いと言われた!」なんてよく聞く話です。それこそ大学は、全国から生徒が集まるので方言の宝庫です。逆に言えば、相手の意識に関係なく受け手が「暴言だ!怖い!」と思えば、それは暴言になってしまいます。
有名な話をすると、関西と関東では「アホ」「バカ」のニュアンスがまったく違います。関西で「アホ」は話し言葉ですが「バカ」は暴言と取られても仕方ありません。関東ではこの逆です。関東では、「バカ」が話し言葉「アホ」は暴言に取られたりします。
ここでは、一言で「暴言」といっても受け取り方はみんな違うことをまずは知ってください。仮に、自分が暴言を吐いているつもりでも、相手はなんとも思ってないこともありえるということです。
アイメッセージを意識する
皆さんも聞いたことがあるかもしれません。普段私たちは、知らず知らずに「あなたはどうしてできないの!」と全て相手の責任にしがちです。そのほうが楽だから。もっと言えば、「私はこんなにあなたを見ている!」と気持ちよくなれる。ようは、自己満足が得られるからです。ですが、人は命令されても気持ちよく動けません。「仕事だから仕方ない」と大人は指示に従いますが、子どもの場合は違いますよね?あなたも奥さんに怒られていい気はしませんよね?
それでは、暴言の話しに戻ります。言ってしまったことはなかったことにできません。かといって、掘り返して「あの時はごめんね・・・」なんて言うと子どもはかなり動揺してそのときの気持ちを繰り返し追体験してしまいます。つまり、1度しか経験しなかったことを頭の中でなんども経験してしまいます。それを防ぐために「私は、〇〇をされると嫌い!もうしないでね」といった方法で伝えます。
最初はかなり難しいです。すぐに「お前の○○が嫌!」ってなると思います。全て相手のせいにするにはとても都合のいい言葉ですから。なんどもなんども「お前は・・・!」を繰り返して疲れてしまったときに、「私はそれをされると嫌!もうしないでね」「私は○○してくれるとうれしい」と言ってみてください。最初は、子どもの反応がいつもと同じかもしれません。でも、何度も繰り返していくうちに変化が見られます。伝えるのは自分の感情。それは変わりません。でも、伝え方は「あなたは・・・」ではなく、「私は・・・」です。
*「あの時はごめんね」と言うのは、あなたに暴言がなくなったときです。そうしないと、謝られたのにまた繰り返される恐怖を子どもは受け入れてしまう危険性があります。子どもは「どうせまた繰り返すだろう」と思ってしまいます。順番を間違えないでくださいね。
→アイメッセ―についての内容は、私の子どもの時の体験と現在子育て中の体験から学んだことです。
アイメッセージは、使い方を間違えるとただのわがままに!
これまで、「あなたは・・・」としか子どもに言って来なかったならすぐには届かないでしょう。「あなたは・・・」は強制的ですが、「私は・・・」は、子どもに自分が困っていることを伝えるだけです。「誰かのためにしようというこころ」が育っていない子ほど、最初は無反応といっていいぐらい反応がないでしょう。なので、何度も繰り返す必要があります。
ただし、使い方を間違わないでくださいね。
以下に、間違った使い方を紹介します。
トーマス・ゴードン著「親業」(おやぎょう)より引用
:1962年アメリカの臨床心理学博士。
経歴:カリフォルニア州心理学会会長、
①悪口を含んだ言葉に「私はこう思う」だけを付け加える。
②「あなたは・・・」に「私は・・・」を組み合わせる。
→「(あなたが)あんなことをしたからこうなったと私は思う」
③感情だけをぶつける
→「私はあなたが宿題をやらないから嫌いなの!」
④自分の都合だけを指示
→「私は早く仕事に行きたいからさっさとご飯を食べて!」
これらの使い方では、結局なにも変わっていません。相手に考えて行動してもらうことが目的なので、「こうしてもらったら自分は嬉しい!」と伝えるようにしてください。
冗談でもこれだけは言わないで!
『子どもがずっと覚えている聞きたくない言葉』
・お前は川で拾ってきた!(本当の子どもじゃないという意味):実際、私が親から言われて今でも少し不安になります。
・産まなきゃよかった!(逆に、「生まれてこなきゃよかった!」と言われたらかなり傷つきます)
・明日からよその子にするよ!(これはただの脅しです。無抵抗な子どもにはかなり酷な言葉)
→親の場合だと、奥さんから離婚届けをちらつかされる状態に似てるかもしれません。
いかがだったでしょうか?自分の子どもの時を思い出してみると言われて嫌だったことを少しは思い出せたでしょうか?暴言は仕方がないとはいえ、ずっと続けてしまえばお互いが不幸になります。たまには、「私は〇〇してくれたら嬉しいな~」と正しいアイメッセージを使ってみてはいかがでしょうか?
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