前回、警察庁とJAFが合同で調査した「チャイルドシート使用状況全国調査2019」の調査結果についてご照会しました。
結論からいえば、法律で規定されている6歳未満の全年齢でチャイルドシートの使用率は、「7割をやっと超えた!」ぐらいしかありません。
→チャイルドシートの使用状況については、こちらの記事で紹介しています。
ただ、年代によって使用率が全く違うことも指摘されています。
とはいえ、「チャイルドシートを利用しているから安全!」というわけではありません。実はチャイルドシートを正しく利用できていないことが指摘されています。
今回は、「せっかくのチャイルドシートを問題なく利用できているのは一握り?使いこなすにためのチェックポイントとは?」についてご紹介します。
取り付けが上手くできていない?
この調査の中で、うまく取付けられていない状態を「ミスユース」として示されています。
さて、そもそもチャイルドシートにはさまざまな種類がありますが、大別すると「ベビーシート(乳児用)」・「チャイルドシート(幼児用)」・「ジュニアシート(学童用)」があります。
それぞれのシートの目安
~ベビーシート(乳児用)~
- 体重:10kg
- 身長:65㎝まで
- 年齢:生後9ヶ月位まで
~チャイルドシート(幼児用)~
- 体重:9kg~18kg
- 身長:65㎝~100㎝まで
- 年齢:生後9ヶ月~4歳位まで
~ジュニアシート(学童用)~
- 体重:15kg~36kgまで
- 身長:100cm~140cmまで
- 年齢:4歳~10歳位まで
さて、それぞれの目安はこのようになっていますが、今回の調査では「乳児用」と「幼児用」のチャイルドシートが、正しく車両に取付けられているか調査されました。
*学童用のチャイルドシートは、座面をかさ上げするために使われ、基本的にはそもそも固定する必要がないため、調査対象外になったと考えられます。
乳児用の取付け状況はどうなっているの?
さて、乳児用のチャイルドシートを設置していた208人のうち、しっかり取付けられていたのは118人(56.7%)でした。
つまり、残りの90人(43.3%)が「ミスユース」の状態で取付けられていました。
ちなみに、2019年の調査では1歳未満のチャイルドシートの設置率は約90%です。つまり、10人に9人は設置していることになります。
→その半数近くが「ミスユース」の状態で使用している状態。
どうして「ミスユース」と判断されたの?
《ミスユースの原因》
「チャイルドシートの取り付けは難しい!」というイメージを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、そもそも座席ベルトの通し間違いは全体のほぼ1割しかありません。
それ以上に、せっかく説明書通りに設置できているにも関わらず、「腰ベルトの締め付け不足」が7割を越えています。
つまり、乳児用チャイルドシートの設置で気をつけることは、順番通りに設置することだけでなく、「しっかりと締め付けていくこと」だと分かります。
それでは、幼児用の取付け状況はどのようになっているのでしょうか?
幼児用チャイルドシートの取付け状況はどうなっているの?
さて、幼児用のチャイルドシートを設置していた225人のうち、「しっかり取付け」られていたのは88人(39.1%)でした。
つまり、残りの137人(60.9%)が「ミスユース」で取付けられていたことが今回の調査で分かりました。
ちなみに、幼児用チャイルドシートの対象になる1歳~4歳のチャイルドシートの設置率は約70%でした。
→10人に約7人はチャイルドシートを設置していますが、その6割以上がミスユースの状態でチャイルドシートを設置しているという調査結果でした。
「乳児用のチャイルドシートよりも設置率が低いにもかかわらず、ミスユースの状態で取付けられていることが多い」ということが分かりました。
このように、せっかくのチャイルドシートがミスユースの状態で設置されていることが目立っていました。
さらに、「そもそも正しくチャイルドシートに正しく座れているの?」については衝撃的な結果となっています・・・
多くの子どもがチャイルドシートに正しく座れていない!?
6歳未満の子どものチャイルドシート着座状況は、それぞれこのようになりました。
~乳児用の場合~
208人中、しっかり着座できていたのは88人(42.3%)。つまり、120人(57.7%)はミスユースの状態で着座させていたことになります。
《着座時のミスユース原因》
~幼児用の場合~
225人中、しっかり着座できていたのは74人(32.9%)。つまり、151人(67.1%)はミスユースの状態で着座させていたことになります。
《着座時のミスユース原因》
つまり、そもそも「チャイルドシートの取付け」と「着座」がミスユースの状態になっている可能性が高いことが分かります。
しかも、乳児用→幼児用と年齢が大きくなるにつれてミスユースが多くなっています。
~学童用の場合~
ちなみに、学童用のチャイルドシートの場合は、211人中110人(52.1%)がしっかり着座できていました。
つまり、101人(47.9%)は着座がミスユースの状態だったことが分かります。
《着座時のミスユース原因》
このように、乳児用シートの場合は、「ハーネスの不適切な使用」が多くの場合指摘されていました。
ところが、幼児用・学童用と大きくなるに従い、そもそも「体格にあっていない」チャイルドシートの使用が指摘されています。
このように、今回の調査から子どもの身体に応じたチャイルドシートを選ぶ必要があることが示されています。
それでは、チャイルドシートの設置はどうすればいいのでしょうか?
チャイルドシートの設置ポイント!
そもそも、チャイルドシートを座席に固定するシートベルトが緩い場合、衝撃によりシートごと飛び出してしまうこともあります。(着座がミスユースの場合は、子どもが飛び出していってしまう可能性が高くなる)
- チャイルドシートと座席の間に隙間を作らない。
→シートの座面に膝を乗せて体重をかけ、座席に沈み込ませた状態でシートベルトを巻き付ける。
(座席を少しリクライニングさせた状態でチャイルドシートを載せ、取付け後に戻すと隙間はより埋まる)
- 床に固定する脚がチャイルドシートに付いている場合(車の床に接地して安定させるための物)は、その脚をきつく伸ばさないようにする。
→付属の脚の高さが合わないと、シートから座席が浮き上がってしまい逆効果になる場合がある。
着座時のポイント!
~体重10kgぐらいまでの乳児の場合~
後ろ向きでチャイルドシートを設置するため、追突時に身体が浮き上がらないように、安全ベルトは肩より低い位置。
~体重10kg~18kgぐらいまでの幼児の場合~
安全ベルトがずり落ちないように肩の上から通す。
*どちらの場合も、「大人の指2本ぐらいがはいるきつさ」で締付ける必要があります。
最後に
チャイルドシートの設置は基本的に自分たちでしなくてはいけません。
とはいえ、最近では動画で取付け方を見ることができるようになりました。説明書を読みながら、動画で確認しながら確実に設置するようにして下さいね。
せっかく取付けたのに、衝撃でチャイルドシートや子どもが飛び出してしまっては意味がありません。
- チャイルドシートを設置する。
- 体格に合った物を購入する。
- 設置方法を確認する。
- 設置後、着座を確実にする。
将来的には、そもそもチャイルドシートが必要ない車が開発されるかもしれません。それまでは、チャイルドシートを確実に設置し、正しく使う必要があります。
そして、基本的なことですが安全運転でお願いします。
参考
JAF:チャイルドシート使用状況調査(2019年調査結果)
→https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/survey-report/2019-child-seat
ニッポンレンタカー:チャイルドシートのご案内
→https://www.nipponrentacar.co.jp/car_price/option/childseats.html
東京すくすく:チャイルドシート、半数以上が取り付けミス…しっかり固定するコツは?
→https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/health/988/
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