皆さんは、夏バテについてどれだけご存じでしょうか?
- 夏の暑さで・・・
- クーラーの当たりすぎで・・・
- 運動をやり過ぎて・・・
- 喉が渇いて・・・
なんて、夏バテになる理由は人それぞれ。
今回は、そんな「夏バテってそもそもなに?」についてご紹介します。
夏バテ?
そもそもの話しですが、夏バテとは「夏季に見られる慢性的な体調不良の総称」です。
つまり・・・
- やる気が出ない
- 体がだるい
- 食欲がない
- 寝不足
など、病名がつかないような物も含めて、夏に起こるこういった体の状態(異常)を夏バテと呼びます。
そんな理由から、夏バテは「万病の元」と言われることもあります。
*ちなみに、夏バテは「暑気中り(しょきあたり)・暑さ負け・夏負け」など、さまざまな呼ばれ方もします。
そもそも病名?
先程、説明したように「夏バテ」とは夏期に見られる慢性的な体調不良の総称です。言い換えれば、「症候群」ということです。
ただし、「西洋医学」と「東洋医学」では、夏バテの概念が違います。
西洋医学
そもそも「夏バテ」という病気の概念はなく、胃腸機能低下や自律神経失調症といった症状ごとに対応していきます。
受診すると、「食欲がないようなので栄養のある物を食べて下さいね~」とか、「自律神経が乱れているようなので、お薬を処方しておきますね~」なんて、よくある対処療法がこれに当たります。
つまり、夏バテを病気としてとらえることはしていません。
一方、東洋医学では「病気」として考えられています。
東洋医学
東洋医学では、夏バテのことを「中夏病や注夏病(ちゅうかびょう)」と呼び、病気の一種として考えられてきました。
東洋医学と言えば、漢方薬で知られていますが約800年前の中国の医学書に「注夏病に漢方薬を処方した」と言う記述があるほどで、現在でも夏バテの症状に漢方薬が処方されていますよね。
→夏は温かい物を食べるなどして、「外からも内からも体を冷やさない!」とだれもが聞いたことがあるこの常識。これは、東洋医学による*養生の知恵からきており、今も昔も変わっていません。
*養生(ようじょう)・・・健康に注意すること。
このように、「夏バテ」は立場が変われば考え方も変わります。それでは、なぜ夏バテになるのでしょうか?
なんで夏バテになるの?
❶自律神経の乱れ
そもそも自律神経は・・・
- 循環器
- 消化器
- 呼吸器
など、全身の器管をコントロールするために24時間働き続けています。
ですが、さまざまな原因で簡単に乱れてしまいます。
- 生活のリズム
- 過度なストレス
- そもそもストレスに弱い
- 環境の変化
- 女性ホルモンの影響
つまり、「夏バテ」はだれにでも起こりうるということです。
自律神経の乱れをチャンネル操作で例えると・・・
例えば、テレビのリモコンがうまく作動しないと、思ったようにテレビを見ることができなくなりますよね。
→チャンネルにある数字ボタンが反応しないため、替わりに1つずつ順番にチャンネルを変えていくボタンで操作することは一応できます。
このように、人間の体も1つの機能が不具合を起こしたとしても、別の部分が補ってくれます。ただ、本来の自分の仕事もしないといけないため、ずっと負荷をかけ続けることはできませんよね・・・
➋消化機能の低下・栄養不足
夏の暑さだけでも食欲不振になりますが、それに加えて冷たい物をたくさん飲む人もいるでしょう。
すると・・・
- 胃腸の温度が下がる。
- 胃液が薄まる。
といったことが起こり、消化機能が低下します。
→消化機能が低下することで、下痢・栄養の吸収が妨げられ栄養不足になります。つまり、「消化機能の低下」と「栄養不足」はきっても切り離せない関係があります。
❸水分不足
夏は汗を多くかくため、なにもしなくても体内から水分がどんどんなくなっていきます。そのため、気づかないうちに脱水状態を引き起こしていることも少なくありません。
このように、夏の暑さ対策を間違えたり、普段からの不摂生が重なったりとさまざまな原因で「夏バテ」という症状が引き起こされます。
それでは、夏バテ対策はどうすればいいのでしょうか?
夏バテ対策
改めて「夏バテ対策!」といわれても、すでに多くの人が知っていることだと思います。
問題は、実践できるかどうかですよね・・・
食事
栄養価の高い食べ物として「土曜の丑の日」なんてありますが、高価なので個人的には無理です。一人暮らしで、ウナギを1匹食べるのもしんどいですしね。
ウナギに限らず例えば・・・
- タンパク質が多い食品→肉(特に豚)・魚・大豆・チーズ・卵など。
- ビタミン・ミネラルが多い食品→緑黄色野菜(ニンジン・トマト・ほうれん草)、果物・豆類・海藻類・貝類など。
*ニンニクチューブを使えば、安価で気軽にスタミナ料理が作れます。
他にも夏バテ対策としては・・・
- 入浴は浴槽に入る。
- 早朝や夕方の運動。
- 外気温との差を5℃くらいに調整する。
- 涼しい屋内では温かい飲料。
- 睡眠時は、氷枕で首筋を冷やす。
夏バテ対策は、食事以外にも普段の生活でできるため、どんどん実践していければ体が楽になります。氷枕を使うことなら、今日からでも実践できるのではないでしょうか?
*氷枕は、血液が冷えすぎてしまい脳が体温が低くなったと勘違いし、結果的に体温を下げにくくしてしまいます。そのため、水だけを入れて使うなど冷やしすぎない工夫が必要になります。(冷やしすぎると放熱が少なくなり、深部体温が下がりにくくなる)
→深部体温については、こちらの記事で紹介しています。
それでは最後に、子育てでこんなことしていませんか?
子どもと体温調整
例えば、夏バテになりやすい環境として、エアコン完備の環境で小さい頃から育ったとします。
これは、熱中症の危険を少しでも減らすために、確かに有効な安全対策でしょう。
ただ、例えば「体温調節」という意味では、必ずしも正しい行動とはいえません。
能動汗腺(汗を分泌する汗腺)の数は、2歳半位までに育った環境に影響されます。
例えば、熱帯で育った人は日本人の能動汗腺の平均数よりも多くなります。ですが、日本人でも2歳半まで熱帯で育てば、熱帯で育った人の能動汗腺の数はほぼ同程度になります。
つまり、体の免疫機能を高めるためには快適過ぎる生活はむしろ悪影響になってしまいます。これは、殺菌消毒をしすぎている人が風邪をひきやすいことと同じだといえるでしょう。
快適すぎる生活は、免疫力を落とす原因になるためやり過ぎには気をつけたいですね。
*ちなみに、汗を分泌しない汗腺は、不能汗腺と呼ばれます。
まとめ
夏になれば「夏バテ」は当たり前ですよね。ですが、体調を改善していくことはできます。
夏バテの原因からみても、いつ誰がなってもおかしくありません。そして、体調を崩していけば本当に病気になってしまいます。(東洋医学では、夏バテも病気の1つ)
このように、夏バテは「万病の元」だと思えば、夏バテ対策が1つでも多くできるようになるかもしれませんね。
また、人間の体はこれだけ繊細にできている反面、回復することを考えると「とても辛抱強い」という特徴もあります。
自分ができるところから、夏バテ対策を行ってみてはいかがでしょうか?
「冷たい物を控える?」「お肉を食べる?」「氷枕を使う?」「エアコンで室温を下げすぎない?」「趣味を見つける?」「湯船に浸かる?」
あなたが実践できそうなことはありますか?
参考
養命酒
→https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/trivia/140828/index.html
注夏病
→http://maruoka.or.jp/wp/wp-content/uploads/2016/06/advice3.pdf
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