病院で、「血圧が高い」「内脂肪の数値が高い」「血糖値が高い」と言われた。それ以外にも、個人的に「ダイエットがしたい!」などなど・・・
若いときは大丈夫だったのに、年を取るにつれて健康診断でさまざまな指摘をされるようになったり体型の維持が難しくなったりしますよね・・・
子どものためにも健康には注意したいところですが、それに反して身体は衰えていきます。特に、晩婚化が進んでいるため健康意識はなおさら高い方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それでは、健康食品ときいてあなたはなにを思い浮かべますか?
今回は、「いわゆる健康食品」と「保健機能食品」の違いについてご紹介します。
*全3回として、以下の記事で「保健機能食品」の特集を紹介しています。
「いわゆる健康食品」と「保健機能食品」はまったく違う!
図1の「食品と医薬品の分類表」から説明します。
図1 食品と医薬品の分類
図1から、機能性(糖の吸収をよくするなど)の効果が表示できるとはいえ、そもそも保健機能食品は医薬品ではありません。あくまでも「食品」です。これは、「いわゆる健康食品」も同じです。
そして、食品は「一般食品」と「保健機能食品」の2種類に分類できますが・・・
- いわゆる健康食品:機能性(効果)が表示できないため、「一般食品」と同じ扱い。
- 保健機能食品:機能性(効果)があることを表示できるため、「一般食品」ではありません。
このように、いわゆる健康食品と保健機能食品はまったく違う物だといえます。もっとも大きな違いは、「保健機能食品」は国の制度として位置付けられていることです。
「いわゆる」健康食品?
「いわゆる」と付けているのは、「保健機能食品」も健康食品に分類されるためです。
ただし、「いわゆる」と付けることで「健康に関する効果や食品の機能等を表示して販売されている食品の中でも、保健機能食品ではないものと差別化する」ためです。
というのも、そもそも保健機能食品(機能性表示食品・特定保健用食品・栄養機能食品)以外の「いわゆる健康食品」は、法律上の定義がありません。
*機能性(特定の保健の目的が期待できる)が表示できる食品は、あくまでも保健機能食品だけということになります。
「いわゆる健康食品」の健康被害の報告件数
保健機能食品制度がうまれた背景に、食生活の乱れ・生活習慣病の増加などにより、消費者自身が食品の情報提供の要望の高まりがありました。そして、なにより健康食品の健康被害が深刻化していたことから、平成13年4月に「保健機能食品制度」が施行されました。
ただ、残念ながら保健機能食品制度が始まってからも「いわゆる健康食品」による被害は発生しています。
まずは、図2から厚生労働省が発表している「いわゆる健康食品」を摂取したことで発生していた、10年前の健康被害の状況を見ていきましょう。
図2 「いわゆる健康食品」の健康被害の報告件数
図2から、平成18年に一度被害報告が減少していますが平成19年には再び増加しています。また、健康被害件数のうち「報告件数」は女性が圧倒的に被害にあっていたことが分かります。
- 平成16年:36人中29人が女性
- 平成17年:39人中25人 〃
- 平成18年:15人中10人 〃
- 平成19年:30人中17人 〃
女性の方が健康意識は高いが、それにより「いわゆる健康食品」を摂取したことで毎年、肝機能障害・発疹等皮膚症状・消化器症状などにより入院する状況が続いていました。
*あくまで報告があった件数だけですので、実際はもっと多いでしょう。それでは、最近の状況はどうなっているのでしょうか?
健康被害は続出している!
最近では、個人輸入により個人が中国やタイなど海外から輸入した食品を摂取したことによる健康被害が後を絶たない状況です。
例えば、厚生労働省が平成18年7月12日時点で都道府県等から報告を受けた事例発表を確認してみます。
→中国製ダイエット用健康食品(未承認医薬品)による健康被害事例等
中国のダイエット食品を摂取して健康被害があったのは796人。そして、4人が亡くなっています。
このように、健康食品を食べて死亡することまであります。前述したように、健康食品は保健機能食品であっても分類は「食品」です。
ところが、この中国の健康食品は医薬品成分が検出されています。つまり、日本の分類でいえば死亡事例が発生した中国の健康食品は「食品」ではありません。
このように、海外製品では医薬品(医薬部外品)と食品の境界線がないのか?
また、過剰摂取や効果が強すぎるなどした結果、死亡事例にまでつながったと考えられます。
最近では、このような無承認無許可医薬品が健康食品として海外から輸入されている現状があります。
最後に
中国のダイエット食品を例にあげましたが、なにも輸入した食品だけが危険だということではありません。日本の保健機能食品は医薬品ではなく、あくまでも食品です。ですが、健康被害は起こっています。
「2012年の内閣府消費者委員会の1万人アンケート」と「2016年の東京都福祉保健局の都民1200人対象の調査データ」からこのような結果が紹介されています。
「健康食品(機能性表示食品・特定保健用食品・栄養機能食品)」の満足度調査で、「やや不満・不満」と回答した人(41.2%)の理由を見ていきましょう。
□「やや不満・不満」の理由は?
- 期待したほどの効果がなかった。
- 体調が悪くなった(悪くなったと感じた)→2.3%
□健康食品を利用して体調不良を感じたことはあるか?
ある(3.6%)・確信が持てないがある(8.2)と回答した理由
- 下痢・腹痛
- 吐き気・嘔吐
- 皮膚の痒み・発赤・発疹
などがあったことが挙げられました。
食べ過ぎは危険!
ただし、これらの調査結果は個人の見解であるため科学的に証明されたものではありません。消費者として意識すべきことは、「健康にいい!」といわれている食品は取り過ぎても効果がないことです。
それどころか、そもそも保健機能食品では「過剰摂取の注意喚起を表示すること」が義務づけられています。
保健機能食品を摂取したことによるものかどうかの因果関係は証明されていません。
そもそも医薬品ではないので、「副作用」という書き方も違うかもしれませんがあえて副作用という言葉を使うなら、保健機能食品であっても、体調不良が起こる可能性は知っておくべきでしょう。
例えば、アレルギーや服薬の相互作用・じんましんなど、アレルギー反応が起こる可能性もあります。100%安全な食品はありませんし、特定の人には毒になる場合もあるものが食品です。
健康を気にしている人の中には、健康診断で指摘されて保健機能食品を意識して摂取するようになったひとも多いでしょう。
また、糖の吸収を抑えるということは「ダイエットに効果がある!」と考える人もいるでしょう。
ですが、医薬品と併用する場合は、医師に確認することをオススメします。また、ダイエットのために食べ過ぎては意味がありません。最終的にバランスのとれた食事が健康の近道です。
食べ過ぎにはご注意下さいね。
参考
厚生労働省
→https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/index.html
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