音声で危険をお知らせ!? ~高速道路の安全対策が追加された!~

 

皆さんは、「指向性スピーカー」をご存じでしょうか?

実は、NEXCO中日本では交通事故防止のために「走行中の音声による注意喚起の方法」として取り入れられています。

今回は、「指向性スピーカーと高速道路」についてご紹介します。

 

普通のスピーカーとは違うの?

そもそも、これまでも音声による注意換気システムは、音の拡散が少ないトンネル内では一定の効果が確認されていました。

ところが、トンネル以外では音が拡散してしまいドライバーにうまく道路情報を伝えることができませんした。

そこで、拡散を抑えた「指向性スピーカー」が開発されトンネル以外の野外でも活用されるまでになりました。

 

《指向性スピーカーの特徴》

  • 騒音を低減できる。
  • 警告音が聞き取りやすい。(必要な人に的確に届く)

つまり、指向性スピーカーは音声を流したい範囲に制御することができるスピーカーです。

→防水。防塵シートが貼られ、屋外での耐久性も高められている。

 

街中ではすでにいたる所で利用されている!

例えば、横断歩道を渡るときのメロディーは歩道にいる人だけにしか聞こえないため、近隣住民の騒音にはなりません。

他にも、ショッピング中に気になった商品の前に立った人だけに聞こえてくる商品説明など、あらゆる場所ですでに利用されています。

まさに、「必要な人」に「必要な音声を届けるスピーカー」と言えるかもしれません。

 

高速道路では、NEXCO中日本が初の取組み!

実は、交通量の多いE1東名高速道路 横浜町IC(下り)のオンランプでは、速度超過によりカーブを曲がりきれない事故が多発していました。

→円を描くような構造の道路になっている場所は、横浜町ICに限らずどこの高速道路でもありますよね・・・

とはいえ、NEXCO中日本では様々な対応がなされていたようです。

  • 速度抑制対策(舗装・標識)
  • ドライバーの視線を誘導し壁面への衝突を防止(視線誘導灯など)

しかし、こういった対策をしても事故が後を絶たない状態でした。これは、どこの高速道路でも同じではないでしょうか?

指向性スピーカーの実力は?

そこで、視覚だけではなく聴覚(音声)情報からも注意喚起ができる対策として6基の指向性スピーカーをカーブの手前に設置することで、「この先、急カーブ」という音声をドライバーに聞こえるように設置されました。

私も別の高速道路で、かなりスピードを落としていましたが、想像以上の急カーブでヒヤッとした経験があります。(私がいつも使っているのはNEXCO西日本)

確かに、視覚だけでなく音声も加わればより注意するかもしれません。

そもそも、高速道路を走行中の音声による注意喚起は珍しいため、より注意するかもしれません。(逆に、スピーカーに慣れてしまった状態で注意喚起の音声がない場合、油断して減速が不十分になる可能性があります)

というのも、そもそも音声による注意喚起は一定の条件がそろわないと流れない仕組みになっているためです。

 

《音声による注意喚起が聞こえてきたら!?》

この音声は、一定の条件下でしか流れません。

  1. 車両速度が30km/h以下の場合は音声が流れない。
  2. 8~18時しか音声が流れない。

つまり、「カーブを曲がりきれないかもしれないスピード」「交通量の多い時間帯」にしか流れません。

そのため、そもそもスピーカーに頼った運転は危険ですし、スピーカーが聞こえてきた時点で、「自分は危険な走行をしている可能性が高い」ということになります。

音声による注意喚起に慣れてしまうことを避けるためには、確かにこういった使用のほうがいいのかもしれません。

実際、試行試験によりこのような結果が報告されています。

 

《2つの検証結果》

2019年8月から試行が開始され試行開始前後の速度変化が分析されました。

指向性スピーカー運用前と比較して・・・

  1. 車両速度が4%(42.2km/h→40.5km/h)低下⇒1.7km/hの差
  2. 2018年9月~12月の時点で3件の事故があったが、試行した同じ月の2019年9月~12月は事故0!

とはいえ、まだまだ始まったばかりの取組です。

今後も、「事故多発地点」「渋滞頻発箇所」「長期間の工事規制区間の手前」などで、注意換気の対策として設置されていくようです。

今後は、スピーカーによる注意喚起が全国の高速道路でも導入されていくことになりそうです。

 

最後に

自動運転により、人が運転することがない社会になればこういった事故対策も必要なくなるでしょう。

ただ、それにはまだもう少しかかります。

もしも、走行中に音声による注意喚起が聞こえてきたら十分にご注意下さい!

 

「自動運転」については、こちらの記事で紹介しています。

日本の自動運転技術はまだレベル2!? レベル5(完全自動運転)は実現するの?


参考

NEXCO中日本(中日本高速道路株式会社):屋外型の指向性スピーカーを用いた『音声』による注意喚起システムの開発 ~高速道路では初の取組み~
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/news_release/4732.html

DENTSU TEC:特定の人に音声を届ける「指向性スピーカー」の活用法
https://bae.dentsutec.co.jp/articles/speaker/

 

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