突然ですが、健康食品は世間にあふれていますよね。
例えば、「これで痩せる!」なんてダイエットに効果がありそうな表示が商品パッケージに表示されていると、ついつい買ってしまう人もいるのではないでしょうか?
実際、テレビCMでも「これまでいろんなダイエットに効果がなかった人でも・・・」なんて何度も失敗していることが前提で宣伝がされていることもあります。
食品であるならば、国が機能性(効果)の表示を認めている「保健機能食品」なら過剰摂取の注意や医師に相談しながら摂取すれば問題ないでしょう。ですが、安全性が証明されていない健康食品「無承認無許可医薬品」が存在します。
今回は、「無承認無許可医薬品の危険性」についてご紹介します。
→「保健機能食品」についてはこちらの記事で紹介しています。
そもそも「無承認無許可医薬品」ってなに?
「無承認無許可医薬品」とは、医薬品に該当する物が薬事法に基づく承認・許可を取得せずに製造・販売されている物のことです。
そもそも、食品と医薬品・医薬部外品はそれぞれ違う分類です。
*医薬品に該当する食品を、健康食品として販売してはいけません。
「健康食品」と称して以下の食品を販売した場合
薬機法(旧薬事法)違反
- 医薬品成分を含む
- 医薬品と勘違いするような効能を表示・広告
食品衛生法違反
- 有害物質や異物を含む
- 微生物汚染
となり、当然取り締まりの対象となります。
このように、「医薬品であるかのような表示(機能性)が勝手に使われる」・「医薬品成分が勝手に配合されている」そもそも「食品に問題がある」といった危険な食品の可能性がある物が「無承認無許可医薬品」であり、こういったことがない安全な食品の証明として「保健機能食品制度」があります。
無承認無許可医薬品の危険性は?
そもそも、食品として食べても安全だと確認されていないことが問題なんですが・・・
❶「万病」もしくは「特定の疾病」に効果のあるような表示で消費者に信じ込ませることで、治療の悪影響やそもそも適切な医療の機会を奪い、疾病を悪化させる危険性。
➋不良品および偽薬品が製造販売されている危険性。
❸消費者の「医薬品」・「食品」という概念が崩壊し、医薬品の正しい使用が損なわれる。また、医薬品に対する不信感を生じさせる危険性。
❹「高価な成分を配合している」・「特殊な方法で製造している」といった表示をすることで高額な費用を設定している危険性。
といったことが考えられます。
ただ、例えば不治の病とされている場合は現状の医療では治療ができないため、「藁をもつかむ思い」で頼りにしてしまうことも無理はないかもしれません。
そうでなくとも、「手軽にダイエットができる」「生活習慣病が予防できる」と表示があれば手を出してしまうかもしれません。
ひょっとしたら、本当に効果のある健康食品があるかもしれません。
ただ、単純な話しとして例えば「バナナは健康にいい!」と言われて、それに由来する健康食品もたくさんありますが、腎臓の悪い人にとっては高カリウム血症になる可能性があります。
つまり、そもそも万病に効く薬がないように、全ての人に効果がある健康食品もなく、それぞれに合った食品を探す必要があることは知っておいたほうがいいでしょう。
そもそも事業者にリスクはないの?
無承認無許可医薬品は毎年あとを立ちません。というのも健食市場は、2017年で1兆2,270億円という巨大な市場になっており、今後も拡大していくことが見込まれているためです。
そのため、健康被害は人ごとではありません。
特に、最近では子ども用のサプリメント(身長を伸ばす成長サプリメントなど)まであります。効果の有無は不明ですが、もしその健康食品が違法だと判断されれば事業者は逮捕されることもあります。
なにより、最近ではインターネットの普及により個人でも簡単に健康食品を販売できるようになってしまいました。
それでは、どういったことが薬機法の違法となるのでしょうか?
食品には、それぞれ登録された種別により効果効能を表現できる範囲が明確に決まっています。
→先程説明した保健機能食品は、「栄養機能食品・特定保健用食品・機能性表示食品」の3種類がありそれぞれ表示できる内容は異なります。
また、栄養機能食品以外は、消費者庁長官への届出が必要です。(特定保健用食品はさらに厳しい審査がありあます)
このように、健康食品に「売れそうなキャッチコピーを付ければいい!」というわけではありません。
- 保健機能食品制度:機能性を表示したいなら、国の基準にクリアしなくてはいけません。
- 食品衛生法 :食品を製造・販売するさいは取り扱う食品の種類によって許可等が必要。
- 特定商取引法 :訪問販売や通信販売など、特定の販売形態については必要な表示事項や禁止行為等が定められている。
- 健康食品を輸入する場合は、そのつど厚生労働大臣に届出なければならない。
など、さまざまな細かいルールがあります。
《事例》
「癌が治る健康ドリンク!」と標ぼう(販売のために行なわれる広告や資料、演説などすべての説明)
↓
この時点で医薬品とみなされる
↓
医薬品販売業の許可が必要
*インターネットで医薬品を販売するなら、「特定販売届けの提出」や「薬局開設許可」・「店舗販売業許可」が必要になります。
→違反していれば逮捕されるかもしれません。
➋効果効能の表示
自身のホームページに効果効能を表示していなくても、委託や提携している広告会社がネット広告やチラシなどに表示している場合。
❸体験談サイトを立ち上げリンクがあった場合
体験談のサイトなどを別に立ち上げて、その体験談の中に効果効能が示されている。(体験談サイト内に商品リンクを張っていた。)
などなど、そもそもホームページの作成1つとってもひとことで言ってしまえば素人が「健康食品」を売ることはリスクが高いことが分かります。(業者に依頼した場合でも、広告は自身でチェックしないといけません)
違反が発見されたら?
- 製品や広告の回収
- それによる多額の経費や時間
- 信用がなくなる
- 健康被害が生じれば、損害賠償
など。
罰金や刑罰
- 無許可の製造販売 :3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金。
- 無許可の製造 :1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金。
- 無承認医薬品の製造販売:3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金。
- 無許可の医薬品販売 :3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金。
- 承認前の医薬品の広告 :2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金。
となっています。
*ちなみに、逮捕された人は「知らなかった」という人が多いそうです・・・
最後に
保健機能食品でもないのに機能性が表示されている。医薬品でもないのに「肝機能を回復させる」「便秘解消」「アトピーが気になる方に」など明確な効能・効果が示されているといった健康食品は、特に注意が必要です。
ちなみに、海外の健康食品を個人輸入して自身に健康被害があっても自己責任となるため、国内法は適用されません。
「健康食品」=安全ではありません。
参考
無承認無許可医薬品の指導取り締まりについて
→https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/dl/torishimari.pdf
東京都健康安全研究センター
→http://www.tokyo-eiken.go.jp/kj_shoku/kenkounavi/point/
ネットショップ担当者フォーラム
→https://netshop.impress.co.jp/node/3520
コメントを残す