私はちょうど、ゆとり教育前後の狭間世代で小学校に通っていました。そして、現在では「脱ゆとり」の名の下に教育改革がおこなわれ、ランドセルの重量がどんどん上がっています。
そして、文部科学省が「置き勉」の通知を出す自体にまでなりました。
今回は、「ランドセルの重量」についてご紹介します。
置き勉
そもそも置き勉とは、「教科書や道具類などの荷物を学校に置いて帰ること」です。私が小学生の頃は、国語辞典や英語辞典といった辞書以外は全て持って帰っていました。
さらに、ランドセル以外の荷物として体操服なども合わせれば結構な重量になっていました。
さて、そんな置き勉ですが私の時は基本的に、全て毎日持って帰るように教師から指導されていました。ところが、今その置き勉が解禁されてきているようです。
私が小学生の時もかなりランドセルが重たかった記憶がありましたが、私達の時よりも今はさらに教科書の重量がかなり増えているようです・・・
ランドセルの重さ
教科書はどれだけ重たくなったの?
◎教科書協会より◎
- 小学校1~6年生の教科書→合計6,518ページ(2015年度)
- 中学1~3年生の教科書 →合計5,783ページ(2016年度)
それぞれ、10年前と比べて約3割増加しています。
アンケート結果
◎ランドセルメーカー:セイバンがおこなったアンケート結果より◎
小学生1~6年生の母子2,000組を対象に、インターネットで2018年3/28~3/29で調査されました。
その結果・・・
- 1週間のうち、ランドセルが最も重い日の荷物の重量は、平均で約4.7kg。(ランドセルの重さも加えると約6kg)
- 平均通学時間は片道約15分。(通学に、20分以上かかる小学生は約3割)
- 小学生の約3割がランドセルを背負って痛みを感じる。
という結果が発表されました。
もう少し細かくアンケート結果を細かく見ていくとかなり衝撃的な結果が見て取れます。
1.ランドセルの重量
1週間のうち、ランドセルに入れる荷物が最も重たい荷物の量
*学期末におこなわれたアンケートなので、普段より重たい可能性があります。
図1 小学生のランドセルの重量アンケート結果
さて、この図1グラフを見ると・・・
①ランドセルの重量平均が4.7kgというだけで、それよりも軽い子どももいれば、さらに重たい子どもがいることが分かります。
②ランドセルの重さを把握していない親が約3割(不明:28.8%→約576人)いることになります。
親は、忘れない物がないように子どもに注意することはあっても、なかなかその荷物をいれたランドセルの重さまでは意識していないということが分かります。
つまり、忘れ物なく学校に行くことは親にとって当たり前のこと過ぎて、ランドセルの重さまでは見過ごしていることになります。
③5kg以上のランドセルを背負っている小学生は26.8%(約536人)
④10kg以上の小学生が1.8%(約36人)存在しています。
私が小学生の時もそうでしたが、禁止はされていましたがそれでも置き勉をしていた友達はやはりいました。つまり、真面目に約束を守っている小学生ほど負担が大きいことが分かります。
2.平均通学時間
◎通学手段◎
図2 子どもの通学手段
図2から分かるように、小学生の通学手段は「自家用車・バス・電車・自転車・その他」と通学手段もさまざまあります。ただ、徒歩通学が94.9%です。
つまり、ほとんどの小学生が重たいランドセルを背負って通学していることが分かります。
◎通学時間◎
図3 子どもの通学時間(方道)
小学生の通学時間の平均は、確かに片道約15分かもしれません。ですが、図3からみてとれるように、通学時間が5分未満の小学生もいれば、1時間以上かかる小学生もいます。
ちなみに、「通学に30分以上かかる」と答えた小学生は8.9%(約178人)でした。
人数としてはとても少ないです。ただ、仮に・・・
- 6年間
- 約10kgのランドセルを背負って
- 1時間以上まじめに徒歩で通っていた
小学生が過去にいた可能性があったと想像できませんか?
そして、そのことに気づかなかった(考えもしなかった)大人が大勢いるのではないでしょうか?
3.ランドセルを背負って痛みを感じる部位
図4 ランドセルの重量により痛む部位
図3から見て分かるように、約7割の小学生は特に異変を訴えていません。ただし、小学生1年生~6年生までが対象のアンケートのため、高学年の内訳だけでみるともっと増えているかもしれません・・・
さて、図4からみてとれるように、重たいランドセルを背負うことで上半身の痛みが目立っていることが分かります。特に、首周辺の痛みに集中しています。
このように、すでにアンケートで答えた小学生の3割以上がすでに体の異常を訴えていることがアンケート結果から分かりました。
図1~4のアンケート結果から、そもそもみんなが一律に重たいランドセルを背負って登校すること自体にかなりの無理があることがわかります。
そして、ここには男女差もなければや身長や体重、それぞれの体の状態などもまったく考慮されていません。
これまで、「一律に続けてきた小学生が逆にすごかった!」のではないかと考えさせられます。
しかし、「小学生は置き勉せずに通学する!」という長年続けられてきた伝統?に対して文部科学省が以下のような通知を発表しました。
文部科学省の通知とは?
平成30年9月6日「児童生徒の携行品に係る配慮について」と言う内容で、携行品の工夫例も挙げて適切に対応する旨が通知されました。
平成30年9月6日「児童生徒の携行品に係る配慮について」より
授業で用いる教科書やその他教材、学用品や体育用品等が過重になることで、身体の健やかな発達に影響が生じかねないこと等の懸念や保護者等からの配慮を求める声が寄せられていることから、今般、各学校における実際の工夫例を別紙のとおり作成いたしました。
とあります。
つまり、これまで学校側で努力してもらっていますがまだまだ解決には至っていないので「こんなやり方もあるので参考にして下さいね!」といった内容です。
私見ですが、上記のリンクをみてもらえれば分かりますが「すでに多くの学校が実践しているのではないか?」とおもえる内容が多いです・・・
確かに、文部科学省は児童生徒の携行品の重さや量について改めて検討するように呼びかけていますが残念ながらそれだけです。
2019年5月14日に政府が出した「2025年までの6年間で70代人口に占める認知症高齢者の割合を6%減らす!」といった案にあった数値目標のように、例えば小学生のランドセルの重さは5kg未満にする!といった目標もなにもありません。
そもそも、通知にもあるように通知の理由は「保護者等から配慮を求める声があったから」とあります。
最後に
冒頭でもお伝えましたが、10年前と比べると約10kg教科書の重量が増えています。さらに、2020年度からは小中高校で順次、「新学習指導要領」に伴いさらに教科書が重たくなることが予想されています。
「置き勉禁止」の校則がまだまだのこっている学校もあるようですが、そもそも時代に合っていない。というより、すくなくとも小学生に6年間毎日持たせるには、物理的に限界だと言えるでしょう。
すでに、10kg以上のランドセルを背負っている小学生・片道1時間以上かかる小学生がいます。これ以上の負担は体を壊すだけだと考えるのは私だけではないでしょう・・・
また、仮に校則に従って置き勉を禁止するとしても一律に「置き勉禁止」ではなく、生徒に合わせた指導が必須になるでしょう。「ランドセルが原因で事故や病気になった・・・」では本末転倒です。
親としては、まずは子どものランドセルを確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか?
参考
朝日新聞デジタル:文科省が置き勉を認める通知 重いランドセル解消へ
→https://www.asahi.com/articles/ASL953TYRL95UTIL012.html
セイバン:小学生の荷物の重さとランドセルに関する調査結果
→https://www.seiban.co.jp/news/pdf/news_release20180606.pdf
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