子ども達の運動の機会が減った結果、私たちが小さい頃では考えられないことが実際に起こっています。
例えば、跳び箱を跳ぶときに手首が反り返らず両手首を骨折した。
しゃがみ込むができずにそのまま尻餅をつく・転倒するなど、本来身体の柔軟性が最も高い子ども達ができない異常事態が発生しています。
子どもの時点で、ここまで身体が硬いとなると大人になったときどうなるのか想像するだけで怖いですよね。
今回はそんな「今の子ども達の運動機能の高齢化」について紹介します。
子ども達に何が起こっているの?
運動機能低下による事故事例
現代の子ども達の運動能力は、高齢者の身体の状態に非常によく似ています。
高齢になるに従って、筋力・体力・反射などさまざまな部分が老化により衰えていきます。
高齢者の場合は、自然なことです。
同じことが子どもたちに起こっています
①よく転倒する子ども達。
→転倒するということは、体幹のバランスや足腰の筋力の低下が関係しています。
②転倒した時に手が出ず歯を折ってしまう子ども達。
→高齢者に多く、顔面からこけてしまうことがよくあります。これは、反射が間に合わず手をつくことができないために起こってしまいます。
③長時間立てない子ども達。
→持久力の低下。
④しゃがむ姿勢がとれない子ども達。
→バランスがとれない。
など、挙げればきりがありません。
ちなみに、スキップができない。キャッチボールをして顔面でボールを受け止めてしまうだけでなく、目をつぶる反射が間に合わず眼球損傷の事例まであります。
2歳の息子でも、さすがに目をつぶることはできるのですが・・・
このように、自分のイメージ通りに身体を動かすことができない・反射的な動きができない子ども達が増えています。
*こういったことは、本来高齢になるほど起こりやすくなるものです。
運動機能の高齢化が進んでいる子ども達
高齢者が跳び箱や鬼ごっこをしている姿を想像してみて下さい。
跳び箱に手を付いたときに、手首に付加がかかり骨折するかもしれません。また、飛ぼうとしたときに踏み込みがうまくいかず跳び箱に突っ込むかもしれません。
鬼ごっこなら、こけて骨折するかもしれませんね・・・
もし、運動機能が正常に働けば柔軟性があるため手首が骨折することもなければ、こけた時に反射的に手がでます。
そもそも、こけたときは自然と受け身がとれます。
さすがに、高齢化は言い過ぎかと思いましたがこのように現実的にそうもいってられない現状があります。
厚生労働省の取り組み
H28年度から学校検診に運動器検診が追加されました。
というのも、子ども達の体力低下が指摘されている一方で実は、スポーツのやり過ぎによりスポーツ障害が発生しているという2極化が深刻化しているためです。
→スポーツ障害とは、同じ動作を繰り返すことで起こる筋肉・骨・腱の使いすぎにより、慢性的な痛みが生じる状態です。成長期の子どもや体力が低下している中高年が運動しすぎると起こります。
運動器検診
関節の可動域や片足立ちによるバランス測定などさまざまなチェック項目があります。
対象は小学校1年生~高等学校3年生までの全学年です。
詳しく知りたい方はこちら。
→jcoa作成 アニメ版・運動器検診マニュアル&マニュアル対応体操 平成28年1月18日作成
→運動器の健康・日本協会(運動器についての保健調査票の例)
まとめ
運動不足が運動機能の低下の原因といわれる一方で、スポーツをしていれば大丈夫といえないことも明らかになりました。
例えばサッカーを毎日やっている少年の場合はふくらはぎなど、一部の筋力が発達していきます。しかし、発達した筋肉がかえって邪魔になり柔軟性が奪われてしまいます。つまり、特定の運動ではなく身体全体を動かす必要があります。やり過ぎにも注意が必要です。
私たちの子ども時代も、「今の子どもはずいぶん体力が落ちた」と大人達からいわれていました。しかし、今度はその私たちが自分たちの子どもに同じことをいわなければならない事態になってしまいました。
子ども達がすくなくとも私たちの子ども時代ぐらいには成長して欲しいですね・・・
参考
子どもの運動機能と運動習慣の調査から見えてきた現状
─千葉県内のスポーツフェアを通じて─
→https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/33/4/33_631/_pdf/-char/en
医療法人順和会 京都下鴨病院
→https://www.shimogamo.jp/medical-treatment/sports-injury
jcoa作成 アニメ版・運動器検診マニュアル&マニュアル対応体操 平成28年1月18日作成
→https://www.youtube.com/watch?v=mek-XLUjK2A
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