「勝手踏切」は存在しない踏切・・・ 危険な踏切は各地に!?

 

この記事では、勝手踏切の現状と危険性についてお伝えしています。

 

皆さんは、線路を横断するときは踏切を利用されているでしょうか?

こんなことを聞くと、まるで「踏切がない線路を横断している人がいるの?」って思いますよね。

というより、「そもそも踏切以外で線路を横断できるの?」と考えるのではないでしょうか?

 

普通、線路を横断しようと思えば踏切が設置されており、その周辺はフェンスで囲まれていて線路の中には入れないようになっているイメージがあるのではないでしょうか?

ですが、実は全国に少なくとも10,776箇所で日常的に住民らが踏切を横切って通行するいわゆる「勝手踏切」の存在が2021年1月時点の国土交通省の調査で明らかにされました。

今回は、この「勝手踏切」についてご紹介します。

 

そもそも「勝手踏切」は昔の名残・・・

踏切には種類がある!?

例えばの話しですが、もしも新しく線路が増設されたとして踏切もなにもないにも関わらず、人が横断できる空間を残すでしょうか?

今の時代で考えると、ありえないですよね・・・

とはいえ、実はこの踏切にもいくつか種類があります。

  1. 第一種踏切・・・遮断機・警報機あり
  2. 第二種踏切・・・一定時間を限り踏切保安係が遮断機を操作する。(現在、設置されていない)
  3. 第三種踏切・・・警報機あり・遮断機なし
  4. 第四種踏切・・・遮断機・警報機なし

このように、「踏切」と一言でいっても「第一・三・四」の3種類の踏切が現在も存在しています。

hpgruesen / Pixabay

ちなみに、遮断機のない第三・第四踏切は昭和36年に踏切改良促進法が施行されたことで、それまで7万件を超えていましたが、50年後の令和元年には3.3万箇所(約半数)にまで減少しました。

その結果、遮断機のない踏切は踏切道の1割ということになりました。

ただし、これはあくまでも「踏切」として認識されている場所に限っての話しです。ですが、実踏には踏切ではないいわゆる「勝手踏切」の存在が昔から問題になっていました。

それでは、どうして「勝手踏切」。つまり、踏切でもない場所を横断することができるのでしょうか?

 

勝手踏切の日常生活

そもそも、遮断機がない第三や第四踏切は「列車回数」や「道路交通量が比較的少ない」そんな場所に多くなっています。

つまり、その場所の見通しなどの地形的な条件や重要度を踏まえて、簡略化されてきた結果です。

ところが、さらに「交通量が少ない道」や「鉄道との交差地点」の中には、踏切標識だけでなく踏切道(人や車が線路を渡る路面)さえ存在せず、正式な踏切としては認知されていないそんな場所が存在しています。

その結果、「踏切」としては認識されていないため統計からも除外されるが、実際には人が日常的に通行し
実質的に踏切と同じ機能を果たしている場所が存在しているということになります。

これが、いわゆる「勝手踏切」です。

つまり、「勝手に踏みきりとして線路を横断している場所が、全国に1万7千箇所以上はある」という意味です。

言うなれば、勝手踏切は「存在しないはずの第五踏切」と呼べるかもしれませんね・・・

それでは、そもそもこの勝手踏切の横断は違法にならないのでしょうか?

 

勝手踏切の横断は違法?

第190回国会 国土交通委員会 第3号(平成28年3月15日(火曜日)では、勝手踏切について議論がなされています。

その中で、勝手踏切横断の違法性についても指摘されています。

勝手踏切、鉄道事業者が踏切道として認めていない横断通路を横断することは、鉄道営業法三十七条の規定に抵触するおそれがある

これは、停車場やその他鉄道地内にみだりに立ち入ることは、列車の往来の妨害となるおそれがあるので、そのような行為を処罰するための法律です。

つまり、「勝手踏切を横断すると逮捕される可能性がある」ということになります・・・

 

とはいえ、この勝手踏切を簡単になくすこともできないようです。

実は、勝手踏切を踏切として、第四種踏切に昇格させる、あるいは遮断機をつけるということが省令上できないことになっているためです。

「第三十九条 鉄道は、道路と平面交差してはならない。ただし、新幹線又は新幹線に準ずる速度で運転する鉄道以外の鉄道であって、鉄道及びこれと交差する道路の交通量が少ない場合又は地形上等の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。」

この省令により、例外は認められることはありますが、基本的にはできないことになっています。

 

最後に

勝手踏切は、例えば「スーパーマーケットに行く」・「学校に通う」など、日常生活と密接に関わっていることもあるため、「通行禁止にすれば解決」というわけでもありません。

ただ、勝手踏切による事故は2021年4月29日にも発生しており、小学1年生になったばかりの女児が電車にはねられ亡くなる事故が発生しています。

このように、勝手踏切は生活道路として利用されている背景もあります。

ただ、少なくとも子ども達が被害に遭うことは防ぐ必要があるでしょう。

あなたの身近に第五の踏切はありませんか?

もしもあれば、どんなに便利でも使ってはいけません。

勝手踏切の事故は後を絶ちません。

毎日使うのであれば、それだけ危険性も上がります。くれぐれも第五の踏切にはご注意下さい。


参考

国土交通省:1.踏切道の現状
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/fumikiri/fu_01.html

産経新聞:【衝撃事件の核心】横断禁止でも渡る「勝手踏切」は子供に悲劇もたらす
https://www.sankei.com/premium/news/210429/prm2104290001-n1.html

 

 

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