次亜塩素酸水は万能の消毒液じゃない!? 関連商品にはご注意を!

 

この記事では、「次亜塩素酸水関連の商品で問題発生中・・・」についてお伝えしています。

 

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、さまざまな消毒液が注目を浴びるようになりました。

その中でも、次亜塩素酸水について国民生活センターから衝撃的な報告が発表されました。

今回は、「問題だらけの次亜塩素酸水を謳った消毒液」についてご紹介します。

 

次亜塩素酸水は消毒液として使えないの?

大前提として、「次亜塩素酸水に消毒効果がなかった?」ということではなく、「次亜塩素酸水を利用した消毒液に問題が見つかった!」というはなしです。

そもそも、次亜塩素酸水については厚生労働省でも2020年6月26日に発表された、「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」で新型コロナウイルスについても効果が認められています。

 

さて、そんな次亜塩素酸水は「次亜塩素酸」を主成分とする酸性の溶液のことです。

→次亜塩素酸は、菌やウイルスの表層だけでなく、内部まで浸透してすばやく作用するため・・・

  • 汚れやニオイなどの分解スピードが速い。
  • 除菌力・ウイルス抑制力に優れている。
  • 脱臭効果が高い。

例えば、「プールの除菌」・「水道水」・「食材の洗浄」などにもすでに利用されています。つまり、次亜塩素酸水の消毒効果に疑いの余地はありません。

それでは、どういった商品が売られているのでしょうか?

 

テスト銘柄の有効塩素濃度が実際とは違ったり、そもそも表示されていない製品が多数!

次亜塩素酸水は、正しく使えば効果があります。

ただ、次亜塩素酸水は保存状態次第では時間とともに急速に効果がなくなるため、取扱いは簡単ではありません。

また、次亜塩素酸水の効果は、例えば「 pH」 によって以下のように分類されています。

  • 強酸性次亜塩素酸水(有効塩素 20~60mg/kg、pH2.7 以下)
  • 弱酸性次亜塩素酸水(有効塩素 10~60mg/kg、pH2.7~5.0)
  • 微酸性次亜塩素酸水(有効塩素 10~80mg/kg、pH5.0~6.5)

次亜塩素酸ナトリウムを原料に、「酸を加えたり」・「イオン交換等をしたり」といった方法で、酸性に調整したものも「次亜塩素酸水」として販売されているが、これらには「規格」や「基準」がない。

つまり、「次亜塩素酸水」という名前だけでは、その商品の有効性は信用することができません。

そのため、例えば商品の「有効塩素濃度」を確認して購入することになるのですが・・・

 

 

「有効塩素濃度が違う」とはどういうこと?

国民生活センターが次亜塩素酸水の銘柄を調査した結果、14 銘柄中 8 銘柄は、購入時期によって有効塩素濃度が表示の 9 割以下のものがありました。

→有効塩素濃度は、数 ppm~ 500ppm を超えるものまで幅広かった。(1ppm=0.0001%)

それでは、仮に商品表示が正しかったとして、そもそもあなたはどの有効塩素濃度の次亜塩素酸水を購入すればいいか分かりますか?

 

厚生労働省では・・・

拭き掃除には、有効塩素濃度80ppm以上(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かした製品の場合は100ppm以上)の次亜塩素酸水をたっぷり使い、消毒したいものの表面をヒタヒタに濡らした後、20秒以上おいてきれいな布やペーパーで拭き取ってください。元の汚れがひどい場合などは、有効塩素濃度200ppm以上のものを使うことが望ましいです。

このように、次亜塩素酸水には最低でも80ppm以上の有効塩素濃度が必要なことが分かります。

さらに、汚れがひどい場合は、200ppm以上。

そして、「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム」を水に溶かした製品の場合は100ppm以上と、「消毒する物」や「製造方法」によっても有効塩素濃度が変わることが示されています。


つまり、売られている商品の有効塩素濃度が実際よりも低すぎる状態では、危なくて使えないことになります。(「消毒液」として売られているのに、実際は効果がない)

当然、有効塩素濃度の表示がない商品(15 銘柄中 5 銘柄)にいたっては、「拭き掃除に使えるのか?」・「汚れが強い物にも使えるのか?」など、そもそも使い方が分かりません。

そして、新品であっても取扱いが難しい状況が、テスト対象商品から確認されました。

 

商品の購入時期で、有効塩素濃度が変化!?

私達は、お店の棚に並んでいる物は「新品」と認識していますよね。

そのため、「効果がある!」と考えて購入しますよね。

それでは、その「新品の状態」。つまり、購入する前からですでに効果がないとしたらどうでしょうか?

Viscious-Speed / Pixabay

 

実は、「商品本体」や、「販売者等のウェブサイトの情報」から、製造時期が推測できた 11 銘柄のうち 8 銘柄は、2 回の測定のうち製造日から測定日までの時間が短い場合の方が有効塩素濃度が高くなっていました。

つまり、製造日から時間が経てばたつほど消毒効果が落ちていく商品が大半だったことになります。

そして、すでに次亜塩素酸水による被害がでてしまっています。

 

次亜塩素酸水に関する相談とは?

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、2019年12月~2020年10月末までで「次亜塩素酸水」に関する相談が498件寄せられています。

→「安全・衛生」・「品質・機能」に関する相談が312件(62.7%)

それでは、どういった事例があったのでしょうか?

 

事例)「次亜塩素酸水」の消毒液を手に使用したところ手が痛くなった(40代:女性)

→商業施設の入口で消毒液を手にかけたところ、針で突かれたような痛みが生じた。すぐに水
で洗い流したが痛みが続くため、皮膚科を受診した。

商業施設に問い合わせると、「次亜塩素酸水」だといわれた。

 

さて、そもそもの話しになりますが次亜塩素酸水は「目に入ったり」、「皮膚についたり」しないよう注意しなくてはいけません。

なかには、「手指や口腔の洗浄等に使用できる」等の表示があるものもありますよね。

ですが、これらの表示は、化粧品の効能効果の範囲に酷似しており、消費者に誤認を与えることがあるため国民生活センターでも注意喚起がなされています。

なにより、次亜塩素酸水は「塩素に過敏な方は使用を控える」必要があります。

→事例の女性は、塩素に過敏な方だったのかもしれませんね。

*他にも、「商品本体には200ppm。ホームページには300ppmと、違う表示が記載されていた」という事例などがあった。

このように、次亜塩素酸水は使い方を間違えると効果がないどころか、健康被害につながることになります。

 

最後に

残念ながら、「販売する側」も「使用する側」も事実とは異なるイメージだけで次亜塩素酸水を取り扱っている現状が見てとれます。

少なくとも、次亜塩素酸水の取扱いを熟知していれば、そもそも効果のない商品は売られないでしょうし、安易に次亜塩素酸水を手指の消毒に使わないでしょう。

→次亜塩素酸水は、手指の消毒には推奨されていない。

 

現在、事業者に対して商品本体や取扱説明書等に・・・

  • 有効塩素濃度
  • pH
  • 使用期限
  • 使用方法

これらを表示することが、要望として出されています。

また、有効期限内は「有効塩素濃度」や「pH」が保たれることも同時に要望として出されています。

商品として販売する以上は、当たり前と言えば当たり前ですよね・・・

そもそも、効果がないにもかかわらず効果があるとして売ってしまえば、「詐欺罪」や「景品表示法」などで、今後は罰せられる可能性もあるかもしれません。

そうなれば、当然、損害賠償もありえます。

→実際、次亜塩素酸水の販売事業者6名及びアルコールスプレーの販売事業者1社に対する景品表示法に基づく措置命令が、2020年12月11日に消費者庁から出されている。

今後の早急な改善が求められています。

 

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