世界的にみても医療先進国の日本がなぜ? ~OECDのレポート2019~

 

皆さんは、2019年11月にOECD(経済開発協力機構)が、「医療・健康に関するデータ」を国際的に比較したレポートを発表したことをご存じでしょうか?

国際的にみて、「日本の医療は高水準だ」と言うことが明らかな結果も指摘されましたが、大きな問題も指摘されています。

今回は、「OECDが発表したレポートから世界から見た日本」を医療の観点からご紹介していきます。

 

そもそも「OECD」ってなに?

OECDについて簡単に振り返ってみましょう!

 

OECDの歴史

OECDの本部は、フランスのパリに置かれています。

さて、そんなOECDは第二次大戦後、米国のマーシャル国務長官は経済的に混乱状態にあった欧州各国を救済すべきとの提案を行い、「マーシャルプラン」を発表。

  • 1984年4月:欧州16ヶ国でOEEC(欧州経済協力機構)発足。→OECDの前身
  • 1961年9月:欧州経済の復興に伴い、OEEC加盟国に米国・カナダが加わり新たにOECD(経済協力機構)が発足。
  • 1964年:日本がOECDに加入。

このように、日本がOECDに加盟してから50年以上の歴史があります。

 

OECDの目的は?

先進国間の意見交換・情報交換をすることで・・・

  1. 経済成長
  2. 貿易自由化
  3. 途上国支援

これをOECDの3大目的といいます。

 

《OECDの加盟国》

2019年時点で36ヶ国が加盟しています。

オーストリア ベルギー デンマーク フランス ドイツ ギリシャ
アイスランド アイルランド イタリア ルクセンブルク オランダ ノルウェー
ポルトガル スペイン スウェーデン スイス トルコ イギリス
アメリカ カナダ 日本 フィンランド オーストラリア ニュージーランド
メキシコ チェコ ハンガリー ポーランド 韓国 スロバキア
チリ スロベニア イスラエル エストニア ラトビア リトアニア

さらに、コロンビアが国内批准手続き中です。

このように、先進国だけでなく多くの諸外国が加盟しています。それでは、本題のOECD加盟国からみた日本の医療についてレポート結果を見ていきましょう。

 

日本とOECDとの比較!

日本は医療先進国!

OECD加盟国と日本を比較すると、日本人は健康的なことが分かります。

健康状態 日本 OECD
平均寿命 84.2歳 80.7歳
回避可能な死亡率(10万人当たり) 138人 208人
慢性疾患の罹患率(糖尿病の有病率) 5.7% 6.4%

❶平均寿命が長い。→OECD諸外国の中では最長。

➋回避可能な死亡率(医療サービスが整っていれば避けられた病気や事故で亡くなられた人数)も、圧倒的に少ないことが分かります。

❸糖尿病への罹患率も0.7%(1%近く)低くなっています。

これは、世界トップクラスの水準です。日本の医療が高水準である証明にもなります。さらに、「

健康的な危険要因」についても次のような結果が出ています。

 

日本の健康状態はトップクラス!

健康上の危険要因 日本 OECD
喫煙(毎日喫煙する人) 17.7% 18.0%
アルコール(1人当たりの消費リットル) 7.2リットル 8.9リットル
過体重/肥満(BMI≧25の人口) 25.9% 55.6%

喫煙率はほとんど変わりませんが、平均よりは少し低い程度に留まっています。特筆すべきは、肥満度がOECD加盟国平均の半分にも満たないことです。

これらの結果から、日本は世界トップクラスの健康優良児ならぬ「健康優良国」であることは間違いないでしょう。

ただ、大きな問題があります。それは、「自分が健康ではない!」と考えている人が多いことです。

 

日本人は自分の健康に自信がない人が多い!?

OECDが発表したレポートによると、このような結果になりました。

 

《自己評価で健康状態の悪い比率》

  • 日本→14.1%
  • OECD→8.7%

なぜか、世界トップクラスの医療水準があり、しかも実際に健康優良国の私達日本人の健康状態は、自己判断ではOECDの平均よりも「悪い」という結果になりました。

これは、さまざまなストレスが影響していることはいうまでもありません。

確かに、体は健康かもしれません。ただ、精神的には果たして健康なのでしょうか?

 

《心の健康》

当たり前のように「うつ」になる日本社会。実際、「厚生労働省自殺白書H30年度版」によると、日本の10歳~39歳の死因第1位は「自殺」となっています。

日本の問題は体の健康ではなく、「心の健康」にあることは言うまでもありません。

 

《大気汚染》

さらに、先程紹介した健康上の危険要因として「大気汚染(10万人当たりの死亡数)」に関してはこのような結果になっています。

  • 日本→42.9人
  • OECD→39.6人

以外かもしれませんが、日本での大気汚染は深刻化しています。

確かに、高度経済成長期のような大気汚染による健康被害は激減しています。ですが、「越境大気汚染」と呼ばれる「黄砂」や「PM2.5」など、海外からの大気汚染が日本にも飛来しています。

また、国内であっても「自動車の排気ガス」など、まだまだ大気汚染対策が不十分であることも指摘されています。ちなみに、桜島の噴火も大気汚染の1つです。

このように、日本の問題も浮き彫りになったレポートでもありました。それでは最後に、もう一つ分かった問題点についてご紹介します。

 

医療という「資源」

  • 現役医師(人口千人当たり)→日本:2.4人/OECD:3.5人
  • 現役看護師(  〃   )→日本:11.3人/OECD:8.8人

看護師の数はOECDと比較すると2人以上多いことが分かりますが、医師の人数を見てみると1人以上少ないことが分かります。

日本の医師不足の現状が垣間見えるのではないでしょうか?

 

《豆知識!》

ただし、日本の病床数は最も多く1,000人当たり13.1床(OECD平均:4.7床)もあります。ちなみに、「入院日数が短くなった!」と日本ではたびたび問題になりますが、日本の在院日数は2番目に長いことが示されています。

→在院日数というのは、対象の患者さんが平均して何日間で退院することができたかが反映される指標です。

ちなみに、平均在院日数が短いほど急性病院の治癒能力を反映している可能性があるため、「優秀な病院」という指標になるようですが、社会的入院など治療して終わりではありません。

  • 日本の在院日数→16.2日
  • OECDの在院日数→7.7日

退院後の生活基盤が気になる所ですが、OECDの平均は1週間程で退院しているようです。

stux / Pixabay

 

最後に

勘違いしてはいけないことは、それぞれの国で文化も生活環境も違います。

つまり、OECDのレポート結果は絶対的なものではなく、あくまでも「たくさんある指標の中の1つ」だと言うことです。

ただ、世界からみた日本の現状を知ることは今後の取組みに役立つことは言うまでもありません。

なぜ、OECDの加盟国は平均1週間程で退院できてしまうのか?

なぜ、日本人の健康意識はここまで低くなってしまったのか?

少なくとも、お金だけがあってもダメなように、資源だけが整っていてもうまく活用できなければ意味がないことが分かっていただけたのではないでしょうか?

そして、子ども達は今後ますます「世界からみた日本」を意識して生きていくことになります。なぜなら、物理的に5G・6Gと通信サービスが格段に上がっていくため、世界とこれまで以上に簡単につながるようになるためです。

テレビとネットの境界線がなくなっていくように、国境も身近なものになっていくでしょう。そして、今後ますますさまざまな分野で数値目標が作られ、「世界の平均化」がはかられていくでしょう。


参考

図表で見る医療2019
http://www.oecd.org/japan/health-at-a-glance-japan-JA.pdf

アピステ:日本の大気汚染の原因と対策
https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4527

外務省:OECD(経済協力開発機構)の概要
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oecd/gaiyo.html

 

 

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