「接触冷感」はなぜ冷たく感じるの!? 科学的な証明とは?

 

新型コロナウイルスの影響で、夏場もマスクをしないといけない状態になりそうですよね。ただ、蒸れてしまうため正直「マスクをしたい!」とは多くの人は思わないでしょう。

前回の記事では、マスクの代わりにバンダナでも代用できることをスポーツ庁が発表していることをお伝えしました。

ですが、実は「夏マスク」と呼ばれる商品がすでに発売されています。今回は、「夏に重宝する接触冷感」についてご紹介します。

 

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「接触冷感」ってそもそもなに?

例えば、夏にわざわざ「ヒートテック」を着て過ごす人はいないですよね。ヒートテックと言えば、ユニクロが販売している冬のあったかインナーですが・・・

 

ヒートテックの仕組み

  • 人間の体から発散されている水蒸気を利用し、体から蒸発されるエネルギーが繊維に吸着するとき、水蒸気の運動エネルギーを熱エネルギーに変えることで、素材自体が温かくなる。
  • 繊維と繊維の間にできる空気の層(エアポケット)が、断熱効果を発揮し、熱を逃がしにくい。

つまり、素材自体が温かくなりその暖まった熱を逃がさない構造になっています。このように、夏物には熱を逃がさない工夫がなされています。

それでは、冬物に利用される「接触冷感」とはどういった仕組みなのでしょうか?

 

「接触冷感」は、感覚だけではなく本当に温度を下げる!

ヒートテックの仕組みの中でもお伝えしましたが、人間は発熱することで体から水蒸気を放出しています。ヒートテックは、その熱を効率よく使うことで冬物として暖かさを維持しています。

つまり、夏物は逆にどれだけ熱を放出させるかが1つのキーワードになります。

 

接触冷感は熱移動!

人間も、1つの熱源体です。つまり、熱を発しています。

さて、そんな熱は「高温の物質」から「低温の物質」に移動する性質があります。

例えば、私の子どもはよく温かい私の背中を触ってきます。

私は、背中を触られる度に「子どもの手が冷たい!」と感じていますが、逆に子どもは「私の背中が温かい!」と感じていることになります。

これは、私の体温が子どもの冷たい手に移動しているためです。

逆に言えば、私の体温が子どもに奪われている状態です。そして、お互いの触れている部分の温度が同じになると、「子どもは温かさ」を「私は冷たさ」を感じなくなります。

さて、接触冷感というのは、その名の通り生地に手が触れたときに「冷たく感じる」ことをいいます。

 

接触冷感は、「値」として科学的に証明されている!

「冷たいと感じた!」ということは、手から生地へ瞬時の熱移動量が多いためです。早い話し、「触れている生地の方があなたの手よりも冷たい」ということです。

ちなみに、この接触冷感は熱移動(冷温感)を評価する数値として接触冷温感評価値(W/㎡)という物があり、科学的な実験により評価されています。

 

数値として計られている(温度差20度差の実験の場合)

例えば、室温20度の部屋に置いた試験布(生地)と、人の肌に見立てた40度のセンサーを接触させたときの瞬間的な熱の移動量を測定することで、接触冷温感評価値を計っています。

つまり、この数値が高いほど「冷たい」と評価されることになります。(0.2w/㎠以上が目安とされている)

 

接触冷感の条件とは?

接触冷感素材は、例えば「麻(レーヨン)」や「キュプラ」が優れた性質を持っています。

 

「接触冷感」を実現させるためには・・・

  1. 繊維中に水分を多く含む
  2. 熱伝導率・熱拡散率が高い
  3. 触ったときに少し硬く感じる(シャリ感)
  4. 生地内の水分を素早く吸収・拡散して「気化熱」を奪う

こういった機能が必要になります。


気化熱というのは、例えばお風呂上がりにそのままでいると体温がどんどん下がっていく経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?

子どもに、入浴後いつまでも裸でいると「風邪引くから早く着なさい!」なんて私達が子どもに注意するのも、原因はこの気化熱です。

液体が蒸発するためには、その液体が触れている体の部分から熱を奪う必要があります。お風呂上がりは、それこそ全身が濡れています。

つまり、全身の水滴が体温を奪って蒸発しようとするため、入浴後にそのままでいると体温がどんどん下がっていくことになります。

このように、液体が気体になるときに周囲から吸収する熱のことを「気化熱=気化するために必要な熱」といいます。

 

接触冷感の商品はどうやって選べばいいの?

先程、紹介した「接触冷温感評価値」から見ていきましょう。

そもそも、接触冷温感評価値は0.2以上なくては「ヒヤッ」とする感じはほとんどありません。

ちなみに、先程紹介した「麻」は、0.35~0.4。キュプラは「0.3~0.35」で、どちらも吸水性と吸湿性に優れているため、夏物としてよく使われています。

他にも「加工綿」や「シルク」は0.3です。そのため、夏物の天然素材としては「麻」が最も重宝されることになります。

ただし、注意点があります。

 

接触冷感は持続しない!

冒頭でお伝えしたように、熱は冷たい方へ伝わることになります。

例えば、衣類の場合は動いている状態なら同じ部分が接触し続けることは少ないかもしれません。ですが、例えば夏場に装着するマスクの場合、同じ部分が肌に当たりますよね。

つまり、せっかくの「接触冷感」も、人の体温を奪い続けることで触れている部分と同じ温度になってしまいます。

実体験としては、せっかく寝具として「クールマット」を購入しても、寝てる間は動きが少ないため同じ部分が接触してしまい、クールマットが生ぬるくなってしまいます。

さらに、クールマットの素材がポリエチレンのように吸水性や速乾性がなければ、蒸れることになります。

このように、接触冷感は万能ではなく「素材」や「速乾性」・「吸水性」などを考慮して用途に応じた選択をしないと、冷たいのは最初だけで「期待外れ」な状態になる可能性があります。

 

最後に

夏マスクの生地としては、「アイスコットン」が話題になっています。アイスコットンというのは、その名の通り「冷たい綿」のことです。

基本的に、これまで夏場にマスクをすることはありませんでした。ですが、これからはいつまで続くか分かりませんが、1年中マスクを付けるようになるかもしれません。

夏マスクの歴史は、これから本格的に始まるでしょう。

ただ、粗悪品には十分気をつけて、どんな素材が使われているか調べから買ってみてはいかがでしょうか?


参考

株式会社 アルテモンド
http://www.artemondo.co.jp/mame/knowledge/s-reikan.htm

快眠タイムズ
https://kaimin-times.com/cool-touch-10683#_q-max

 

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