防災無線にポケベル? 新旧一体で新しい技術に生まれ変わる!?

 

携帯電話が普及し、「ポケベル」はほとんど使われなくなりました。ですが、実はつい先日までサービスは続いていました。

そして、今このポケベル電波を使った新しい取組みが行なわれています。

今回は、「ポケベル電波と防災無線」についてご紹介します。

 

「ポケベル」ってそもそもなに?

ポケベル(ポケットベル)は、数字や文字などのメッセージを受信するための小型受信端末です。

液晶画面に数字列や簡単な文字列などが表示させることができます。

ただ、今のスマホのように双方でやり取りができるわけではなく、あくまでも電話から相手のポケベル番号にダイヤルすることで文字を送ることしかできない、一方通行の連絡手段でしかありませんでした。

ただ、携帯電話がない時代は、「伝えたい短い文字」が送れるだけでも画期的な技術でした。


さて、このポケベル。

実は、2019年9月30日までサービスは継続されていました。つまり、10%に増税される前日まで続いていたんです。

ちなみに、最後の契約者は1500人程度で、そのほとんどが病院関係者だったようです。

精密機器への影響がないポケベルを使って、先生や患者さんを呼び出すのに使っていたのだとか・・・

*病院内のwi-fiをつかって同じようなシステムを作るので、サービスが終了しても問題はないようです。

さて、そんなポケベルですが、すでに防災無線に活用されています。

「捨てる神あれば拾う神あり」とはよく言ったもので、なんでも使う日本人らしさが垣間見えた瞬間と言えるかもしれません。

 

防災無線に利用ってどういうこと?

そもそもポケベルは、「無線呼び出し」という特定の手順によって、電波で小型受信機に合図を送るシステムです。

 

京都市の取組み

ポケベルの電波を防災無線に役立てる取組みが、京都市ではすでに行なわれています。

冒頭でお伝えしたように、ポケベルは文字情報しか受け取ることしかできませんでした。ですが、音声合成技術の進化にともない、文字情報を音声に変換できるようになりました。

こうして誕生したのが、ポケベルの電波を受信できるように開発された屋外拡声器や住宅にもおけるラジオ型の無線機です。

StockSnap / Pixabay

つまり、「文字の防災情報を読み上げることで、防災無線として活用しよう!」という取組みです。

 

ポケベル電波の防災無線はなぜ考えられた?

電波の有効性!

そもそも、何かあれば行政で防災無線の呼びかけは行なわれていますよね。

ですが、こうした防災行政無線は「電波が回り込みにくい」という特徴があります。

つまり、山間部などでは電波が遮断されてしまい、「無線が届かない!?」ということが発生。それにより、必要な情報を受け取ることが難しいという弱点がありました。

ところが、ポケベル電波の防災無線は障害物があっても回り込みやすく、出力も高いためより広範囲に情報を届けやすいという特徴があります。

 

コスト削減

そもそも、ポケベル電波の防災無線は福島の原発事故により、京都市が福井県の大飯原発に近い北部の150世帯のために、防災行政無線の設置が検討されたことが始まりです。

この地域は山に囲まれているため、従来の行政無線では電波を届けるために、基地局をいくつも建設する必要がありました。

ただ、そうなればコストも時間も大幅にかかることになりますよね。

予算:約7億1,200万円

 

《大きな差!》

ところが、ポケベルの電波を使えば必要な基地局は2箇所だけ。

予算:3億9,000万円

までコストを抑えることができました。

決して安い金額ではありませんが、半分近くまで予算を抑えることができているため、成功といえるのではないでしょうか。

古い技術と新しい技術を組み合わせることで、さらに新しいことができる一例だといえるでしょう。

 

緊急防災・減災事業債

さて、今回整備が必要なポケベルの電波による防災無線の記事を書こうと思ったのは、総務省が行なう地方財政の一環として「緊急防災・減災事業債」が実施されているためです。

詳しくは、次回の記事で紹介しますが、この制度は自治体の防災や減災に関する整備費を国がなんと7割も負担してくれるという制度です。

ただし、期限が2020年度までとなっているため、あまり時間が残されていません。

各自治体で、今一度防災について話し合う機会が持たれるといいですが、こればかりは危機感の強い自治体しか動かないでしょう。

毎年のように発生する想定外の災害に備えるなら、今がその時なのかもしれません。

 

最後に

防災を考えると、地震対策1つとっても「免震」技術など、新しい技術に目を向けがちになります。

ただ、埋もれてしまっている素晴らしい技術も日の目をみることを待っているのではないでしょうか?

新しい技術とすでにある技術。

一家に一台ラジオは、少しノスタルジックに感じるかもしれませんが、情報を受け取るための有効なツールの1つです。

情報は、ラジオ1つとっても受信悪化による音割れなどにより、正確に届けることができなければ意味がありません。

私達にできる防災の1つは、震災時に活用できる情報収集の方法を、1つでも身につけておく(「使い方」や「使える状態にしておく」)ことだといえるでしょう。


参考

TBSラジオ:ポケベルサービスが昨日終了 しかしポケベル電波は生き続ける
https://www.tbsradio.jp/414825

京いちにち:京の防災 第9回「ポケベルの電波で防災無線を」
https://www.nhk.or.jp/kyoto-blog/bousai/315669.html

 

 

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