皆さんは、自転車保険の義務化が進んでいることをご存じでしょうか?
それでは、どうしてそこまで自転車事故による保険にこだわるようになったとおもいますか?
確かに、車なら理解できますが・・・
今回は、「なぜ、自転車保険の義務化が進められているのか?」について国土交通省が発表している「事故件数」と「損害賠償の判例」などからご紹介していきます。
*自転車保険の必要性について、検討するきっかけにしてみてはいかがでしょうか・・・
そもそも、自転車事故は全体でどれくらいあるの?
「自転車関連事故件数」は、平成19年と平成29年で比較すると約半数まで減少しています。とはいえ、そもそも自転車関連の事故件数がかなり多いことがわかります。
図1 自転車関連事故件数
平成29年:自転車事故の全体件数は、約9万件もありました。(1日:約250件も発生)
ちなみに、平成26年までは自転車関連事故の全体数が10万件を越えておりあまりに多すぎます。そして、平成19年にいたっては、17万件越え!というとんでもない数字になっています。
*平成29年の自転車関連事故をみると、「自転車 対 自動車」が76,036件(84%)と圧倒的に多くなっており、車との事故が多いのですが・・・
さて、このなかで「自転車 対 歩行者」・「自転車相互(自転車 対 自転車)」の事故件数はどれだけ含まれていると思いますか?
「自転車 対 歩行者」・「自転車相互」による事故件数は?
図2にある、平成29年の「自転車 対 歩行者」・「自転車相互」の合計発生件数は、図1と比較すると約半分となっています。
まずは、全体の自転車関連事故の割合から、どれだけ「自転車 対 歩行者」「自転車相互」による事故が減ってきたのか紹介します。
図2 「自転車 対 歩行者」・「自転車相互」の事故件数
どの年も「自転車相互」の方が事故が多いですが、平成29年度では差が縮まってきていることが分かります。
それでは、自転車関連事故のなかで、「自転車 対 歩行者」+「自転車相互」による事故の割合はどのように変化していったのでしょうか?
自転車事故関連の全体からみる「自転車 対 歩行者」+「自転車相互」による事故の割合
- 平成19年・・・約4.1%
- 平成20年・・・約4.5%
- 平成21年・・・約4.4%
- 平成22年・・・約4.3%
- 平成23年・・・約4.5%
- 平成24年・・・約4.5%
- 平成25年・・・約4.7%
- 平成26年・・・約5%
- 平成27年・・・約5.1%
- 平成28年・・・約5.4%
- 平成29年・・・約5.9%
つまり、自転車事故全体で見ると「自転車 対 歩行者」+「自転車相互」の事故件数が、平成29年度時点で、約6%事故件数が増加しています。(10年で約2%増加)
→パーセンテージが増加しているのは、自転車関連事故の全体数が急激に減っていきましたが、「自転車 対 歩行者」・「自転車相互」の事故が、平成19年と比べても減ってはいますが緩やかにしか減少していないためです。
つまり今後も、「対 歩行者」「対 自転車」との事故が増えていくことが予想されます。
まず、これが自転車保険の「義務化・努力義務」が進められている背景の1つといえるでしょう。
次は、自転車保険が必要な理由を「保険」の視点(責任割合)から見ていきます。
責任割合ってなに?
事故の状況にもよりますが、基本的に事故を起こした場合「どちらがより悪いか?」という話しになります。
当然、「より悪い方」に責任があることになるため、その割合(責任割合)の大きい方が賠償額の負担が大きくなります。
*事故の状態によっては、逮捕されます。
それでは、それぞれの責任割合について見ていきましょう!
責任割合
信号機のない交差点で、自転車事故が発生した場合
- 自転車 対 歩行者=85:15
- 自転車 対 自転車=50:50
- 自転車 対 自動車=20:80
*歩道上で「自転車 対 歩行者事故」の場合は、自転車が基本的に100%の責任となる。
つまり、責任割合は事故の場所や状況などによっても変わりますがこれが基本だと覚えておくといいでしょう。
責任割合は、自身のケガも大変ですが、それ以上に歩行者にケガをさせてしまうと損害賠償が大変なことになることを意味しています。
自転車保険が進められている理由の2つ目は、この「責任割合」だといえるでしょう。
そして、3つ目の理由が衝撃的な高額賠償判例です。
自転車事故により、高額賠償が出された裁判例
❶平成15年9月30日(東京)
歩いていた女性(38歳)が交差点で自転車(男性)にひかれ死亡。
→自転車に乗った男性に賠償額:6,779万円
➋平成19年4月11日(東京)
歩いていた女性(55歳)が、信号無視の自転車(男性)にひかれ死亡。
→自転車に乗っていた男性に賠償額:5,438万円
❸平成20年6月5日(東京)
自転車に乗っていた男性(24歳)が、通行違反をしてきた自転車(男子高校生)と衝突した結果、後遺障害が残った。
→自転車に乗っていた男子高校生に賠償額:9,266万円
❹平成25年7月4日(神戸)
歩いていた女性(62歳)が、無灯火の自転車(11歳)にひかれ後遺障害が残った。
→自転車に乗っていた小学生に賠償額:9,521万円
❺平成26年1月28日(東京)
歩いていた女性(75歳)が、信号無視の自転車(男性)にひかれ死亡。
→自転車に乗っていた男性に賠償額:4,746万円
これが最大の理由(3つ目)ですが、損害賠償の額が大変なことになっています。
もし、子どもが自転車で相手をケガどころか「後遺症」や「死なせてしまったら」金銭的にもとんでもないことになります。そのため、自転車保険が「義務化・努力義務」の自治体が増えています。
「子どもが自転車で事故をした場合」とお伝えしましたが、最後に平成29年の「年齢層別交通事故件数」を見ていきましょう。
→自転車の違反についてはこちらの記事で紹介しています。
年齢層別交通事故件数
年齢別の自転車による交通事故はこのようになっています。
図3 平成29年 年齢階層別事故件数
どの年齢層であっても、事故は発生しています。(N=15,281件)
ですが、16~19歳の自転車による事故だけが2500件を越えています。つまり、高校生による自転車事故が多く発生していることが分かります。
ちなみに、19歳未満の自転車による事故率は全体の37.6%となっています。つまり、子ども達の自転車による事故件数がかなり多いことが分かります。
*図3より、平成29年の19歳以下による自転車事故件数は、5,757件。(1日:約16件も子ども達の自転車事故が発生している)
最後に
自転車保険が自治体で進められているのは・・・
- 「自転車 対 歩行者」+「自転車相互」による事故件数が全体の割合から増加している。
- 「自転車 対 歩行者」の責任割合は、自転車の方が高い。
- 損害賠償に1億円ほど必要になることがある。(高額判決が増えている)
- 平成29年の自転車事故は、19歳以下の子どもだけで全体の約38%を占める。(1日:約16件も発生)
こういった理由が考えられます。もちろん、子どもだけでなく私達親も人ごとではありません。
自転車保険にはいろいろありますが、損害賠償が付いている自転車保険を選ばないと意味がないので、ご注意下さい。自転車保険については、こちらの記事で紹介しています。
参考
国土交通省 :自転車事故の損害賠償に係る現状について
→http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/bicycle-dgs/pdf01/04.pdf
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