●この記事では、著作権法の改正による「規制対象の拡大」について説明しています。
ネット上では、さまざまな動画がありますよね。
最近では、漫画アプリも普及しyou tubeで漫画がアップロードされていることもあります。
ただ、そんな動画の中には違法にアップロードされたものもあるようです。
今回は、「2021年1月1から施行される改正著作権法」についてご紹介します。
そもそも「著作権」ってなに?
漫画や映画、絵画など世界中にはさまざまな「作品」がありますよね。私の場合なら、このブログや写真販売をしているためその写真も「私の著作物」になります。
そういった、自分の考えや気持ちなどを作品として表現した物を「著作物」といいます。
そして、著作物を創作した人を「著作者」といいます。
ここまではいいですよね。
さて、「著作権」というのは著作者に対して法律によって与えられた権利のことをいいます。つまり、著作権の目的は著作者の努力に報いることで、文化を発展させていくことが目的です。
著作者を守る?
ここで1つ、事例を紹介します。
2019年に、「漫画村」と呼ばれる人気漫画を無断で掲載していた海賊版サイトの運営者が逮捕されました。
罪状は、著作権法違反です。
この漫画村では、某有名漫画の画像ファイルを漫画村のサーバーに保存し、誰もがダウンロードして閲覧できる状態にしていました。
→その結果、被害総額は約3200億円と試算されている。(約6億2千万人が閲覧し、9割以上が日本国内からの接続)
アップロードしただけで多額の損失が発生!?
さて、誰もが見れる状態でアップロードされているわけですから、一見すると誰にも迷惑がかかっていないように見えるかもしれません。
さらに、サイト運営者としても広告費が入ってきます。
問題は、その作品を作った「著作者」やその作品を掲載している雑誌など、実際にその著作物に関わっている「各種関係者」に多大な損失がでる点です。
例えば、「こういう作品があって、もっと広めて!」という意図で、作品の一部を紹介することは当たり前におこなわれていますよね。
スーパーなどでおこなわれている、「試食」や「試飲」のようなイメージが分かりやすいのではないでしょうか?
ですが、例えば試食で商品をそのままもらえることはありませんよね。あくまでも、少しだけお試しができるだけです。
漫画も同じで、その作品を全て無料で公開することはないですよね。そんなことをすれば、どんなに素晴らしい作品を作っても作っても買ってもらうことができなくなります。
言うなれば、無料で全て渡してしまうことは「いきすぎたマーケティング行為」ではなく、ただのボランティア活動になってしまいます。

なにより、本来ならその著作物により発生する利益を受け取る権利は、基本的に著作者やその関係者になると思いますが、これでは関係のない第三者に利益が流れていくことになります。
そうなれば、最悪、漫画の打ち切りや、そもそも新しい作品が出てこなくなる可能性まであります。
*「百科事典」1つとっても、どういう項目をどのような順序で載せるかという編集者の創造性が発揮されるため著作物(編集著作物)。
→新聞や雑誌なども同じ。
それでは、この著作権法がどのように変わるのでしょうか?
改正著作権法とは?
「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」が、第201回通常国会において、令和2年6月5日に成立しました。
それにより、同年6月12日に令和2年法律第48号として公布されました。
具体的な改正内容は、以下のようになっています。
1.インターネット上の海賊版対策の強化
- リーチサイト対策
- 侵害コンテンツのダウンロード違法化
2.その他の改正事項
(1)著作物の円滑な利用を図るための措置
- 写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大
- 行政手続に係る権利制限規定の整備(地理的表示法・種苗法関係)
- 著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入
(2)著作権の適切な保護を図るための措置
4.著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化
5.アクセスコントロールに関する保護の強化
(3)その他
6.プログラムの著作物に係る登録制度の整備(プログラム登録特例法)
それぞれの説明をすると細かくなってしまうため、この記事では、2021年1月1日から始まる「侵害コンテンツのダウンロード違法化及びアクセスコントロールに関する保護の強化など著作権の適切な保護を図るための措置」について見ていきましょう。
*もう一つの、「リーチサイト対策」のリーチサイトというのは、他のウェブサイドで違法にアップロードされた著作物等へのURLといった情報を提供するウェブサイトのこと。
→著作権を侵害しているコンテンツへアクセスさせるためのリンク集など。
改正著作権法では、なにが変わるの?
これまでも、違法にアップロードされた著作物のダウンロードは、たとえ「私的目的」であったとしても、ダウンロード規制の対象になっていました。
ただし、その対象は「音楽」と「映像」に限られていました。
ですが、改正されることでその範囲が「著作物全般」に拡大されることになります。
→漫画・書籍・論文・コンピュータープログラムなど・・・
全てが規制対象になるの?
実は、規制対象になる場合は限られています。
大前提として、「違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合のみ」とされています。
- スクリーンショットを行う際の写り込み
- 漫画の1コマ~数コマなど「軽微なもの」
- 二次創作・パロディ
- 「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」
こういったダウンロードは、規制対象から除外しています。
さらに、刑事罰についても特に悪質な場合に限られるため、正規版が有償で提供されている著作物を反復・継続してダウンロードされている場合に限られています。
このように、「海賊版対策としての実効性確保」と「国民の正当な情報収集等の萎縮防止」のバランスを図る観点から規制対象は定められています。
ちなみに、違法にアップロードすれば10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科となっているため、日本では諸外国と比べても厳格に処罰されることになります。
そして、違法にアップロードされた物をダウンロードする行為は、すでに2012年10月1日から刑事罰化され、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれが併科されることになります。
この対象が、音楽や映画だけでなく「著作物全般」になったため例えば、漫画コンテンツの違法ダウンロードも禁止されることになりました。
訴訟や逮捕は突然?
そもそもの話しになりますが、著作権はあくまでも個人の権利です。
つまり、権利侵害による「権利行使」や「告訴」の有無は、基本的に著作権者の判断に委ねられることになります。
最後に
「違法アップロード」と一言でいっても、どれが違法か合法なのかは正直判断が難しいのではないでしょうか?
今後は、セキュリティー対策としてサイトにアクセする前に違法サイトかどうかの注意表示が必要になってくるでしょう。
→正規の音楽配信識別マークには、「エルマーク」付けられている。
注意点としては、「違法にアップロードされたことが確実である」と知りながら行うダウンロードのみが、違法となる点です。
ただ、例えば訴えられた場合にこれをどうやって証明するのでしょうか?
ちなみに、政府広報オンラインではこのように示されています。
Q 違法に配信されている音楽や映像を視聴したら、違法ですか?
A 違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音・録画が伴わないため違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。
つまり、例えば「違法にアップロードされたyou tubeの動画をみるだけでは、刑罰の対象にならない」とされています。
確かに、違法にアップロードされた映像を見ただけで逮捕されるようなことがあれば、そもそもyou tube自体の存続が難しくなるでしょう。
とはいえ、それを決めるのは裁判所です。
というわけで、「視聴するときは自己責任!」といわれるのは、こういった理由があるためです。何事も絶対はないためご注意下さい。
参考
文化庁:令和2年通常国会 著作権法改正について
→https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/
みんなのための著作権教室
→http://kids.cric.or.jp/intro/01.html
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