あなたは、車を運転されているでしょうか?
もしも、あなたがドライバーなら、「信号機のない横断歩道を渡ろうとしている人」を見かけたらどうしますか?
当然、道路交通法の観点からすれば、必ず止まらなければいけません。
ただ、実際は全国的にみると横断歩道の手前で止まる車はかなり少ないようです。
今回は、そんな「信号機のない横断歩道で止まる車が最も多い県!」についてご紹介します。
そもそも横断歩道を渡ろうといる人を妨害したら?
「横断歩道を渡ろうとしている人?」に気付いたとしても、止まれないことは実際にあります。
ただ、その理由は必ずしもドライバー側の責任ばかりとはいえません。
例えば、「横断歩道を渡ろうとしている?」と思いきや・・・
「たまたま横断歩道の前で友達などを待っているだけの学生で、ドライバーからすると渡るかどうかが分からない」なんてことがあります。
つまり、ドライバーからすれば本人達が横断歩道を渡るのかどうかが分かりません。
実体験としては、減速しながらいつでも止まれる状態で横断歩道に近づいていくも、本人達は渡ろうとするそぶりもなくスマホを見ていたりします。(スマホを見ながら横断歩道の前で友達を待っているだけなど)
その結果、ドライバーは「たまたま横断歩道の前にいるだけ」と判断します。
特に学生の場合は、この判断が正しいことを多く経験しています。
ただ、もしも本当に横断歩道を渡ろうとしていて、それを妨害してしまった場合は、罰せられることになります。
警察庁より
○ 罰則等
・横断歩道等における歩行者等の優先
罰 則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
反 則 金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
基礎点数 2点
・横断歩道のない交差点における歩行者の優先
罰 則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
反 則 金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
基礎点数 2点
この罰則からもわかるように、実は横断歩道でなくても条件がそろっていれば、歩行者は横断歩道がなくても道路を横断してもかまいません。
→その条件については、次回ご紹介します。
それでは、本題の「歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車」は、どこの県が最も多かったのでしょうか?
県によって全く違う!
JAFによれば、2019年の結果はこのようになっています。
全国平均で見ると、「歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車」は17.1%(1660台)しかありませんでした。
つまり、ほとんどの車が横断歩道にいる歩行者を無視していたことが分かります。
ただし、2018年と比較すると2019年は8.5ポイントも増加しているため、前年は1割も止まっていなかったことが分かります・・・
さて、そんな「歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場面で一時停止した車」についてですが、都道府県別に見ると全く違う結果が出ています。
ベスト3県
- 長野:68.6%
- 静岡:52.8%
- 兵庫:43.2%
ワースト3県
- 福井:10.4%
- 熊本:11.0%
- 滋賀:11.3%
この結果から分かるように、「ベスト1」と「ワースト1」を比較すると、長野県は約7割・福井県は約1割の車が「歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場面で一時停止した車」の割合
になります。
つまり、長野県が「歩行者が横断歩道を渡る場面で一時停止する車が一番多い県」という結果になりました。
ちなみに、私が住んでいる滋賀県は残念ながら、2019年の調査でワースト3位になっていました・・・
確かに、走行中に横断歩道で渡ろうとしている歩行者を無視して、行ってしまう車を見かけることもあります。
ただ、それ以上に、歩行者を優先して止まっている車もたくさん見かけるのですが、残念な結果に終わっています。
*「貨物などのトラック」や「バス」などは一般車両よりも確実に停車して、横断歩道を渡ろうとしている歩行者を優先している場面をよく見かけますが・・・
それでは、なぜ横断歩道の横断者を無視して走り去る車が多いのしょうか?
ドライバーが一時停止しない理由とは?
信号機のない横断歩道に関するアンケート調査(2017年6月)より
- 自車が停止しても対向車が停止せず危ないから⇒44.9%
- 後続から車がきておらず、自車が通り過ぎれば歩行者は渡れると思うから⇒41.1%
- 横断歩道に歩行者がいても渡れるかどうか判らないから⇒38.4%
つまり、冒頭で私が体験していたように、「横断歩道を渡るかどうか分からない」と答えた人が約4割もいました。
そして、上記の1・2を確認すると歩行者を考えての結果だったことが分かります。
ちなみに、4.「一時停止した際に後続車から追突されそうになる(追突されたことがある)から」が33.5%と次に多い回答でした。
もちろん、「警察が取り締まっていなかった(6.4%)」・「なにも考えていなかった(5.2%)」という回答も少ないですがありました。
ただ、理由の多くは「歩行者の安全を考えた結果の行動」・「歩行者の意思表示のわかりにくさ」・「ドライバーが追突されないためなどの危険回避」が挙げられています。
さらに、「先に横断歩道があるか分からない(7.6%)」という設備的な問題も指摘されていました。
こういった結果からは、少なくとも多くのドライバーが自分勝手な理由で「歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場面で一時停止しなかったわけではない?」ということが分かるのではないでしょうか。
ただ、歩行者からすればドライバーはかなり危険な存在のようです。
ワンポイントアドバイス! ~歩行者とドライバーでは視点が違う!~
これは、ドライバーの視点と歩行者の視点が違うことも原因だと言えるでしょう。
ドライバーには、通行車線の道路状況が分かりますが、歩行者からは死角になる場所があります。
その場合、自分(ドライバー)が止まってしまうと、例えば後ろから追い抜いてきた車が歩行者と事故を起こしてしまうことがあります。
私の場合なら、運転席から歩行者などに「クラクションとジャスチャー」で危険を知らせることもあります。
ただ、残念ながら歩行者はなにに対するクラクションかすぐには分からないため、気付くまでに数秒かかります。(歩行者に「急かされている!?」と思われたら本末転倒です)
この場合、法律を無視して「歩行者を守る」か、法律を守って「自分(ドライバー)を守る」か、という究極の選択を迫られることになりかねません。
そもそも、全ての人が道路交通法を守ればこんな究極の選択に迫られることもないですが・・・
それでは、歩行者からみたドライバーについて見ていきましょう。
ドライバーは歩行者の横断を妨害する!?
「信号機のない横断歩道を渡ろうとしたところ、横断者はこんなことを体験していました。
- 通過する車が途切れるまで渡れなかった(一時停止してくれる気配がなかった)⇒67.9%
- いつも車が通り過ぎるまで待つので、不快や危険な思いをしたことがない⇒21.8%
- 車が一時停止せず衝突しそうになった(または衝突したことがある)⇒19.0%
- ドライバーが歩行者と意図的に目を合わせない(こちらを見ない・確認しない)⇒15.3%
- 子供が手を挙げて渡ろうとしていても、無視されていることが多い⇒13.8%
- 横断歩道を渡ろうとしたら、クラクションを鳴らされた⇒13.1%
- 車が停止するのではなく、逆に急加速してきた⇒9.8%
つまり、横断者が横断歩道を渡れなかった理由は、そもそも「車は一時停止する気配がなく、横断者を無視した」が、約7割
だったことが分かります。
問題としては、そのドライバーは最初から止まる気がないため・・・
- 「衝突」
- 「手を挙げた子どもすら無視」
- 「クラクションを鳴らされる」
- 「急加速」
- 「ドライバーが歩行者と目を合せない」
という、上記で紹介した横断者の危険な体験に、少なからず繋がってしまっているであろうことが予想できてしまいます。
横断歩道での歩行者の事故は約3割!?
横断歩道は、歩行者が優先です。
ですが、そんな横断歩道で歩行者の3割が事故に遭遇しています。
⇒「信号では右折・無信号では直進」での事故が多発している!
過失割合は状況によって変わるが・・・
過失割合というのは、自動車事故で損害賠償額の比率を分かりやすくしたもので、そもそも過失割合がどちらか一方が100%になることはあまりありません。
そして、過失割合の「多い方が加害者」・「低い方が被害者」となります。
交通弁護士ナビより
ちなみに、信号機のない横断歩道で車と歩行者が事故を起こした場合、状況によって過失割合はこのように変わります。
- 通常の横断歩道→ 車:歩行者=100:0
- 歩行者からは容易に衝突を回避できるが、車からは歩行者の発見が困難な場合→ 車:歩行者=85:15
- 横断歩道の付近 → 車:歩行者=70:30
このように、歩行者と自動車による事故で、しかも横断歩道上だったとしても、車から歩行者の発見が困難な場合は歩行者の過失も認められる場合があります。
「横断歩道の付近」なら3割は歩行者の過失になるようです。
このことからも、車と歩行者との事故であっても、過失割合100%の難しさ
が分かるのではないでしょうか?
とはいえ、やはり横断歩道上で事故に遭遇するかどうかで大きく変わるため、やはり歩行者は横断歩道を渡る必要があります。
最後に
横断歩道での事故は約3割もあるため、想像以上に「多い」と感じたのではないでしょうか?
ただ、そもそも横断歩道を横断しようとする人がいるのなら、車は一時停止をしなくてはいけません。
にもかかわらず、全国平均では約17%しか停止していませんが長野県は約7割の車が停止しています。
つまり、長野県では車は10台中7台は止まってくれることになります。
とはいえ、特別な対策をしているわけではなく、それが当たり前として育ったことが大きな理由のようです。
「郷に入っては郷に従え」と言いますが、長野県で生活するだけで「歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止すること」が当たり前の体験として積み重ねることができるのかもしれません。
確かに、当たり前のこととして生活の一部になっているなら、自然とできるようになるのかもしれませんね。
ただ、逆に言えば「別の県に引っ越したときに一時停止しなくなる!?」ということにもなります。
最後は、「個人が安全運転を心がけるのか?」・「警察のパトロールや監視カメラを増やすのか?」のどちらかになるかもしれません。
あなたはどちらを選択しますか?
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