皆さんは、「eシール」についてご存じでしょうか?
eシールを活用することで、これまで紙でおこなわれていた書類等の企業間のやり取りを電子的に安全におこなうことができるようになります。
今回は、「いよいよハンコ文化が終了目前!?これからのハンコとは?」についてご紹介します。
電子署名とは違うの?
前回、電子契約書として「クラウドサイン」というオンライン上で契約が成立するサービスについてご紹介しました。
これは、オンライン上で一連の契約行為ができてしまう画期的なサービスで、法律的にも認められたハンコ(紙書類)を使わない契約方法です。
→「クラウドサイン」については、こちらの記事で紹介しています。
さて、電子署名の場合はあくまでも紐付けられるのは「個人」ということになります。
ですが、その場合は例えば人事異動があれば当然役職が変わるため、新たな電子証明書の取得が必要になります。
→その人の役職(肩書き)が変わるため、新しく名刺やハンコを作り直すことと同じ。
ところが、eシールが紐付けられているのは、個人ではなく組織そのものに紐付けられる
ことになります。
組織の中の人の入れ替わりは激しいですが、一つの組織が日常的に役割を変えたり名前が変わったりしませんよね。(もしも、そんな会社が当たり前だったら基本的に組織として成り立っていない)
- 電子署名・・・個人が発行する文書(契約書など)
- eシール ・・・組織が発行する文書(経理関係書類など)
分かりやすく言えば、eシールはその会社の「角印」の代わりになります。
ワンポイントアドバイス! 「角印」ってなに?
例えば、会社で働いている方は日常業務で「領収書」や「見積書」「請求書」などを使用されていると思いますが、そういった各種書類をどこの会社が発行しているのかについて、証明する必要がありますよね。
→「⚪△株式会社之印」などと刻印されたものが角印。
つまり、会社の「認印」に当たる物が「角印」であり、eシールはこの角印の役割を担うことができます。
ちなみに、「丸印」は法人の実印に当たる代表者印となります。ただし、民法上は「角印」も「実印」と同じ効力を持つことになるため、「併用しない方がいい」と言われるのはこういった事情があるためです。
そして、これまで1枚1枚各書類に印鑑(角印)を押していたと思いますが、eシールを使用することでそういった作業が必要なくなります。
*大企業1社当たり、10.2万時間/月⇨5.1万時間/月の業務効率化の余地ができると総務省は試算を出しています。
それでは、eシールの役割をあらためて確認してみましょう。
eシールの役割は?
①繰り返しになりますが、eシールは企業が使用している「角印の電子版」に相当します。
→難しく言うと、「電子文書の発信元の組織を示す目的でおこなわれる暗号化の措置」ということになります。
②電子署名(個人名)とは違い、使用する個人の本人確認が不要
→領収書や請求書など迅速に大量に処理しないといけない場合でも、データの発行元を簡便(かんべん)に保障できる。
③他社がデータ発行元の組織を簡便に確認することができる。
→紙でおこなわれていた書類等の企業間のやり取りを電子的に安全におこなうことができる。
→郵送の手間やコストの削減が可能。
このように、ハンコを使うということは書類を扱うことを意味します。
ただ、紙媒体の場合はその書類を「保管」や「郵送」など物理的な対応をとる必要があります。
一方で、データ化してしまえばそういった「手間」も「コスト」も「書類を無くす」といった危険性もありません。
これまでは、最近では様々な詐欺が続発しているため、仮に他社からメールで請求書が送られてきても確証は持てませんでした。
そのため、書類を郵送してもらいその会社の角印を確認する作業が必要でした。
ところが、eシールができたことで請求書等に自社のeシールを付与すれば、メールで他社に送付しても信用してもらうことができるようになりました。
ちなみにこういった、社会全体のデジタル化を進める中でその有効性を担保する基盤として、ネット利用者の本人確認やデータ改ざんなどの防止等の仕組みのことを「トラストサービス」といいます。
つまり、eシールはトラストサービスの仕組みができているため「信用が担保されている」ということになります。
ただ、電子署名は「電子署名法」があるため国の制度や民間においても認定スチームがあります。ですが、eシールはまだ国の制度や民間の認定スチームもありません。
つまり、仕組みとしては存在していますが、残念ながら制度が追いついていない状態です。
とはいえ、すでに「トラストサービス検討ワーキンググループ」で検討が始まっており・・・
eシールの認証事業者に対する国が一定程度関与した基準に基づく民間の認定制度を創設。
が、トラストサービス検討WG最終取りまとめとして挙げられています。
なにより、⼀般財団法⼈⽇本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が、国内初の適格eシールの使用を開始したことを2020年5月14日に発表しています。
最後に
これまでは、ハンコが一番信用できる「物」として利用されてきました。ところが、電子化が進んだことで今度は、ハンコのデメリットが指摘されるようになりました。
このことについては、コロナ禍ですらハンコをもらうために出社しなくてはいけない会社員の問題からも指摘されていました。
このように、善くも悪くも便利に使える物があるのなら、より便利で使いやすい方に私達は流れていきます。そもそも、産業革命はそういったものでどんどん人間の手がいらなくなっていきます。
→現在進行形の「第四次産業革命」については、こちらの記事で紹介しています。
ハンコだけでなく、例えばお金もデジタル化がどんどん進んでいます。「なんでもデジタルにすればいい」とは思いませんが、デジタル化はこれからもどんどん加速していくでしょう。
参考
印鑑の教科書:印鑑とはんこ
→https://hankomori.com/inkanbasic/2016/03/31/kakuin/
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