子どもの居場所
共働きの場合、子どもの居場所が気になりませんか?
携帯電話を使えばいつでも連絡は取れますが、実際のようすは分かりません。また、子どもがいつでも電話にでるとは限りません。
そんななか、ニースが高まっている「学童保育」という制度があります。
今回は、検討されている学童保育の規制緩和について紹介します。
学童保育ってなに?
子どもたちに、「適切な遊び・生活の場を与えることでその健全な育成を図ることが目的」に運営される施設。正式名称は、「放課後児童クラブ」といいます。
法律上の名称は、「放課後児童健全育成事業」
*児童福祉法が根拠になっています。
概要
《H28年5月時点》
実施主体は市町村
- 設置場所:市町村が認めれば、小学校だけでなく児童館・保育所・幼稚園・民家・アパートなど幅広い。
- 対象者:共働き家庭など、留守家庭の小学校に就学している児童が対象
*保護者が、疾病、介護・看護、障害などの場合も含まれる。 - 対象人数:概ね40人以下。
*放課後児童クラブは、全国に23,619か所。
(全国の小学校は19,655校)
現状
利用児童は、低学年になるほど増加していますが、どの学年でも待機児童が存在しています。
《平成19年~28年の学童保育の登録児童数》
- 小学1年生~3先生では、674,932人→912,843人に増加しています。
- 小学4年生~6年生では、74,546人→180,242人に増加しています。→H27年に対象児童が6年生まで拡大されたため、高学年の児童数が大幅に上昇しています。
《平成19年~28年の待機児童の推移》
- 小学1年生~3年生では、11,649人→9,957人に減少しています。
- 小学4年生~6年生では、2,380人→7,246人に増加しています。
登録児童は増え続けているため、今後も整備が急がれています。
その一環として・・・
放課後子ども総合プラン
平成31年度末までの目標として・・・
- 放課後児童クラブを新たに30万人分を新たに整備。
- 全小学校区(約2万箇所)で、文部科学省が管轄している「放課後子共教室」と厚生労働省が管轄している「放課後児童クラブ」を一体的または連携して実施。そのうち、1万箇所以上を一体型で実施。
- 新たに開設する放課後児童クラブの約80%を小学校内での実施を目指す。
とされています。
学童保育での仕事内容
1.開設時間
- 平日→原則として1日:3時間以上
- 土・日・長期休業期間等→原則として1日:8時間以上
放課後児童支援員を2人以上配置(1人を除き補助員の代換え可)
2.放課後児童支援員は・・・
①保育士・社会福祉士等の資格を有している。
②都道府県知事が行う研修を修了した者(修了する見込み者も含む)
つまりどの学童保育にも、専門知識をもった人材でなおかつ研修を受けた人が1人は配置されています。
3.業務
- 子どもたちの勉強指導
- おやつ作りや外出
- 書類作成
- 親子への相談業務
挙げればきりがありません。
そして、最も大事な児童の安全を担います。
ボランティアが仮にいてくれたとしても、基本的には指導員が学童にくる子どもたちに責任を負うことになります。
19人程の児童を預かる施設で常勤1人非常勤1人の場合・・・
- 国が設定する運営費は500万円程。
- 補助金と保護者が支払う保育料(平均4000円~6000円)で賄うことになります。
- その中から、児童支援員の給料も支払われることになります。
小学校1年生~6年生までの様々な発達段階の子どもたちの面倒をそれぞれに合わせて安全に見ていく以上、素人では不可能です。
もちろん、遊ぶだけなら誰にでもできるでしょう。子育て経験のあるパパママなら分かると思いますが、自分の子どもたちだけでも手いっぱいになりませんか?
児童支援員は・・・
- 同時に
- 何人もの
- 年齢がさまざま
な子ども達を見ないといけません。つまり、専門的にみるということは個々の子どもたちの変化に気付けるプロの人達ということです。
ただ、10年目のベテラン指導員(正社員)でも手取りは平均16万~17万円がやっと。
*学童保育の場所によって、給料はよくもわるくも様々という現実があるようです。
学童保育にも規制緩和の波が・・・
指導員が2人でもすでにギリギリな状態であることは分かってもらえたかと思います。
ところが、2018年11月19日の地方分権改革の有識者会議で「指導員を1人でも認める」としました。
また、支援員になれる基準にまで緩和案がでているようです。
ひょっとすれば、あなたが簡単に支援員になれる日が来るのかもしれません。
私の場合は、社会福祉士の資格と10年間の介護経験があるので研修を受ければすぐにでもなれると思います。(高齢者分野でこれまで働いていたので)
しかし、私はたった一人で全ての子ども達を見る力も責任をとる力もないことは分かっているので正直やりたくないと考えてしまいます。子ども達の命に責任がもてません。なぜなら、確実に事故が起こることが目に見えているからです。
例えば、あってはいけませんが外出中に一人の子どもになにか事故があったとします。私がその事故の対応をしている間に他の人がちゃんと他の子どもたちの対応ができる保証がまったくありません。おそらく無理でしょう・・・
素人では、やる気だけではどうにもならない限界があります。
もちろん、1人の配置にするかどうかは市町村の裁量(市町村が承認したら)です。
現在、指導員のなりて不足で待機児童が増え続けニーズが高まっています。
どこかで聞いたような状態になっています。
まとめ
保育所の問題もそうですが、人手不足になると規制緩和をする傾向にあるようです。
「規制緩和」と簡単にいいますが、分かりやすくいえば設備投資を少なくするということです。
つまり、
①これまでいた人がいなくなり(他の場所に回されるなど)。
②これまであった物がなくなり(物が撤去・制度が撤廃されるなど)。
③よく分からない人達が参入するということです(企業など)。
「規制緩和」という言葉を最近よく耳にします。ただ、なにが規制緩和されたのかを知らないと、気付けばあなたや子どもたちの居場所が奪われていることになります。実際、すでに始まっていますが・・・
だれも、危険な場所に子どもを預けようとは思いません。ですが、このことを知らないと設備が不十分かどうかも考えずに安易に預けることもありえます。
参考
厚生労働省:放課後児童クラブ関連資料
→https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000184120.pdf
東洋経済:37歳「学童指導員」、年収300万円生活の現実
→https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180713-10000001-mbsnews-l27&p=2
朝日新聞 DIGITAL:学童保育、1人職員を容認 人材不足で基準緩和
→https://www.asahi.com/articles/ASLBJ6HP3LBJUTFK00T.html
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