リチウムイオンバッテリーが発火・爆発!? 他の充電池となにが違う?

 

せっかく子どもに買ったノートパソコンやスマホがまさかの「発火・爆発」!?

なんてことになったら、泣くに泣けません。

今回は、「増加するバッテリー爆発」についてご紹介します。

 

そもそもスマホなどのバッテリーはそんなに爆発しているの?

最近ニュースで「スマホが爆発して・・・」なんて言われるのは、リチウムイオンバッテリーのことなんですが・・・

リチウムイオンバッテリーは、従来の電池より「高容量」「軽量」という特徴があります。つまり小型軽量化・高機能化が進むモバイル機器などに搭載され重宝されています。

それでは、ニュースでたびたび取り上げられるスマホなどのバッテリーは、そもそもどれだけの被害がでているのでしょうか?

 

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(nite:ナイト)

ナイトに通知された、ノートパソコン・スマホ及びモバイルバッテリーに搭載されたリチウムイオンバッテリーによる事故情報。

 

事故件数(①ノートパソコン ②モバイルバッテリー ③スマホ)

平成24年~28年の5年間で274件もありました。

  1. ノートパソコン:110件
  2. モバイルバッテリー(充電器):108件
  3. スマホ56件

以外と、スマホよりもノートパソコンやモバイルバッテリーが多いことが分かります。(約2倍)


被害状況別に見ると、全体の約7割が火災等の拡大被害(製品および周囲が焼損等したもの)に陥っています。さらに、事故原因のうち「製品の不具合」:78%ともっとも多くなっています。

つまり、多くの事故は製品の回収や交換などが適切に行われていれば防ぐことができた事故だと考えられています。

 

事故件数の増加

現実問題として、こういった事故は年々増加しています。

  • 平成24年度:19件
  • 平成26年度:48件
  • 平成28年度:108件

平成28年にはとうとう1年で、100件を越えてしまいました。

 

火災の原因は?

  • 回収などのリコール対象製品
  • 落とすなどの衝撃
  • 勝手に分解する

このように、リコール対象製品だけでなく使用者の使用方法や不注意により発火する事故も発生しています。

それでは、どうしてリチウムイオンバッテリーは発火・爆発するのでしょうか?

 

そもそも可燃性の有機溶媒を使用している!?

充電可能なバッテリー(二次電池)

 

水溶性の電解液を使用する場合

  • 鉛蓄電池
  • ニッカドバッテリ
  • ニッケル水素バッテリ

などがありますが、水溶性であるため熱が加わっても出火することはありません。

 

有機溶媒電解液を使用する場合

  • リチウムイオンバッテリー

有機溶剤はそもそも可燃性があります。

 

それでは、具体的になにが原因で発火・爆発したのでしょうか?

 

発火・爆発の事例

先程、火災・爆発の原因を紹介しましたが、それでは具体的にどういった事例があったのでしょうか?

 

①使用者がズボンのポケットにスマホを入れた状態で転倒。

→内部にショートが生じて異常発熱し、焼損。

 

②店頭に置いていたモバイルバテリーから発火し、製品及び周辺を焼損する火災が発生。

→モバイルバッテリーへ充電する際に、充電時に接続してはいけない出力側のジャック部分に他社製の充電器を接続し、過電圧がバッテリーパックに加わって過充電となり発火。

 

③スマホを使用中、製品及び周辺を焼損する火災が発生。

→バッテリーパックは取り外しができないタイプだったが、使用者が分解した際にバッテリーパックを傷つけ、内部ショートして発火。

このように、「衝撃」・「過充電」・「分解」によりバッテリーパックに異常をきたすことで発火や爆発の危険性があります。

 

ただ、「衝撃」とひと言でいっても、例えば・・・

  • スマホを落とす。
  • 鞄に入れたスマホを鞄ごと扉や壁、地面などにぶつける。
  • ズボンの後ろにあるポケットへスマホを入れた状態で座る。

など、誰もが日常的にやっているであろう「衝撃」が原因になることもあります。


当然、これらはスマホの特徴ではなくリチウムイオンバッテリーの特徴です。

つまり、リチウムイオンバッテリーの特徴である、小型軽量化された高機能な電化製品は全て注意しなくてはいけないことになります。

仕事でノートパソコンを持ち歩く人は少ないかもしれませんが、タブレットを持ち歩く人はたくさんいますよね。

モバイルバッテリーは、災害時に重宝するなどいざというときのために、すでに準備している人が多いかもしれません。(モバイルバテリーも安価で軽量化されているため、持っている人が多いでしょう)

スマホにいたっては、持ってない人の方が少ないですよね・・・

つまり、誰もが1つや2つ・3つ・4つ・・・・?

とにかく、誰もがリチウムイオンバッテリーが使われている電化製品をたくさん持っていることになります。

それでは、どんな使い方をすればいいのでしょう?

 

リチウムイオンバッテリーを使うときの注意点!

高温での使用・保管は劣化が早く進み、電池に回復不能な損傷を与える。

→夏の車内など、温度の高い場所に放置する。

など。リチウムイオンバッテリーにとって想定外の熱は発火・爆発の危険があります。


ここからは、「バッテリーが既に損傷している」「社外品や質の悪い充電ケーブル」を使った場合に起こるかもしれない注意点です。

 

高い*セル電圧は劣化を招く

→満充電の状態で長時間放置すると容量が減っていきます。(最近のスマホは、過充電にならないように自動的に給電を停止する仕組みになっている)

*セル(単電池)とは、バッテリーを構成する個々の電池のことです。通常、1個のバッテリーケースの中には複数のセルが接続されて入っています。

 

1C以上での急速充電は負担をかけてしまう

→よく言われる急速充電は、通常の充電に比べて効率が落ちるためその分、熱が発生することになります。

 

豆知識! 「1Cってなに?」

例えば、2,000mAh(ミリアンペアアワー)とあれば、1時間に2A(2,000mA)の電流を流せることになります。

つまり、「1C充電」というのは放電と同じ容量で1時間かけて充電することを指します。

と言うことは・・・

  • 2,000mAhのバッテリーを2Aで充電したら「1C充電」=1時間で充電完了
  • 2,000mAhのバッテリーを4Aで充電したら「2C充電」=30分で充電完了

つまり、急速充電は電池を劣化させてしまうということになります。

ただし、純正品の充電器を使えば問題ないとされています。


とはいえ、充電中にスマホ本体やバッテリーが熱くなる場合は使用を中止した方がいいでしょう。(電源をオフ)

ちなみに、スマホは熱くなってもセーフティー機能が働きます。(約45度で電池が劣化していくため、約42度~43度を保とうとする)

つまり、残りの熱を逃がすために「表示がカクカク」したり「充電できない!」「カメラが作動しない!」なんて異常が起こります。(本当は異常ではなく、セーフティー機能が働いている)

結果、電源をオフにすると放熱が進むので異常が解決する。

 

間違っても、スマホなどを冷蔵庫などに入れて急激に温度を下げないで下さいね!

たとえ防水機能があっても、スマホ内部に結露ができてしまえば腐食・ショートの原因になります・・・

熱くなったスマホは、扇風機を使えば早く冷ますことができます。

 

*ちなみに、2019年2月1日以降はPSEマークが表示されているものでなければモバイルバッテリーなどは販売不可になっています。

 

→PSEマークについては、こちらの記事で紹介しています。

リチウムイオンバッテリーの事故で規制強化!? PSEマークが付いていれば安全?

 

最後に

リチウムイオンバッテリーの火災や爆発は、一歩間違えれば命に関わります。

特に、夜間に火災が発生すれば逃げられないかもしれません。

飛行機内での発火も問題になりましたよね・・・

このように、リチウムイオンバッテリーは危険と隣り合わせであることを再確認した方がいいでしょう。

ちなみに、読売新聞の記事によると「もともとは危険を避けるために内部に保護回路を持っており日本で初めて実用化されたリチウムイオン電池は、これらの回路も国産で高品質の製品を使っていた」とのことでした。

つまり、安全な製品が当初は作られていたようです。


ところが、スマホや音楽プレイヤーなどで電池本体が普及すると、激しい価格競争に巻き込まれ一部の安価な製品のコストダウンのために最小限の機能に集約。安全性も低下したようです。

つまり、「安かろう悪かろう」の状態になった商品があるということです。

PSEマークの義務化がすでに始まっているとはいえ、玉石混交の状態になっていることは言うまでもありません。

「私達消費者の責任」ともいえるかもしれませんが、そもそもすでにかなりお高いスマホが今よりも高ければこれほどまで普及しなかったかもしれませんね・・・

ひょっとしたら、ノートパソコンでこの記事を書けていなかったかもしれません。

これまで行われてきた価格競争の弊害は、これからも様々な形で社会問題化していくでしょう。

それはそれとして、特に子ども達にはケガをさせないためにもいい物(純正品)を買ってあげたいですね。


参考

nite(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2017fy/prs170727.html

経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/act_outline.html

trinity
https://trinity.jp/170150/

TIME SPACE
https://time-space.kddi.com/mobile/20180814/2409

読売新聞:リチウムイオン電池…発火事故急増のワケ
https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20171031-OYT8T50040/2/

 

 

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