食品表示の改正は、遺伝子組み換え表示も例外じゃない!?

 

この記事では遺伝子組み換え表示の任意表示の改正についてお伝えしています。

 

食品表示には、さまざまな表示が記載されています。

ただ、そんな食品表示はどんどん変わっています。

今回は、変化する食品表示のなかでも「新しく変わる遺伝子組み換え表示制度」についてご紹介します。

 

「遺伝子組み換え表示」ってそもそもなに?

いつの頃からか、食品表示を確認すると「遺伝子組み換えでない」なんて表示が記載されるようになりましたよね。

→消費者庁では、平成23年9月に遺伝子組換えパパイヤを表示義務対象品目に追加し、同年12月から完全施行された。

遺伝子組み換え食品の危険性については、諸説あるのでここではおいとおいて、それでは「遺伝子組み換え表示制度」について見ていきましょう。

そもそも、遺伝子組み換え表示制度には「義務表示」と「任意表示」があります。

さて、そんな「食品表示」として記載しないといけない「遺伝子組み換え食品」は・・・

別の生物の細胞から取り出した有用な性質を持つ遺伝子を、その性質を持たせたい植物等の細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質を持たせる技術を用いて開発された作物及びこれを原材料とする加工食品

つまり、人間にとって都合がいいように遺伝子操作された作物のことです。

当然、それらを原材料として使われた加工食品も「遺伝子組み換え食品」となります。

*ちなみに、遺伝子組み換え表示については「平成27年内閣府令第10号(食品表示基準)」に定められている。

それでは、そもそも「表示義務」となっている遺伝子組み換え食品とはなんなのでしょうか?

 

義務表示は、「8農作物」とそれらを原材料にした「33加工食品群」

8農作物

  1. 大 豆(枝豆及び大豆もやしを含む。)
  2. とうもろこし
  3. ばれいしょ
  4. なたね
  5. 綿 実
  6. アルファルファ
  7. てん菜
  8. パパイヤ

つまり、これらの作物やこれらのを原料にした「納豆」や「ポテトスナック」など33加工食品群については、表示義務が定められています。

 

表示方法は・・・

  • 「大豆(遺伝子組換え)」
  • 「大豆(遺伝子組換え不分別)」

例えば、こういった表示がなされることになります。

Kurious / Pixabay

ちなみに、「不分別」というのは「遺伝子組み換え農産物」と「非遺伝子組み換え農産物」が分別されていないという意味です。

さて、「遺伝子組み換え表示の義務表示」についてはこれまで通りです。

新しく変わるのは、「任意表示」についてです。

 

任意表示が変わる!?

これまでの、任意表示では「分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品」に対して・・・

→「遺伝子組換えでないものを分別」・「遺伝子組換えでない」といった表示が可能だった。

*「任意」というのは、この表示を「しても・しなくてもどちらでもいい」という意味。

この任意表示が2023年4月1日から改正食品表示基準として新しく施行されます。

 

新しい任意表示?

①「分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品」に対して・・・

適切に分別生産流通管理された旨の表示が可能になる。

例えば・・・

  • 「原材料に使用しているトウモロコシは、遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています」
  • 「大豆(分別生産流通管理済み)」

といった表示ができるように変わります。これが、5%以下の混入の場合です。


②「分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められる大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品」

「遺伝子組換えでない」・「非遺伝子組換え」といった表示が可能になります。

つまり、分別生産流通管理をして、遺伝子組み換えの混入が「5%以下か?」・「混入がないか?」でさらに表示が細かくなることになりました。

ところで、「分別生産流通管理」とはなんなのでしょうか?

 

「分別生産流通管理」ってなに?

分別生産流通管理は、「IPハンドリング:Identity Preserved Handling」と呼ばれるものです。

これは、「非組換え農産物」と「組換え農産物」がきちんと分けられて生産流通されたことを証明する根拠となっています。

というのも、実は作物ごとに流通マニュアルが定められているためです。

この流通マニュアルに書かれている方法で「生産」・「流通」・「加工」の各段階において分別を管理し、さらに分別されていることを証明書によって確認されています。

geralt / Pixabay

さて、そんな流通マニュアルでは、非遺伝子組換え農産物を分別生産流通管理するために・・・

  • 「農機具」・「カントリーエレベーター」などの施設
  • 「輸送用のトラック」や「貨車」
  • 加工に用いる設備

など、それぞれについて、「非組換え専用」にするか、「共用」する場合には前もってクリーニングするように定められています。

つまり、この「分別生産管理」によって食品の遺伝子組み換え表示は決定されています。

 

最後に

さて、ここまで遺伝子組み換え表示とその改正について紹介してきましたが、気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そもそも私達は、遺伝子組み換え食品を確実に口にしています。

なぜなら、「遺伝子組み替えでない」と記載されていたとしても5%以下は混入していてもおかしくないからです。

 

2023年4月1日からは、確かに「遺伝子組み換えでない」と記載されていれば、本当に混入していないということになります。

ですが、2023年4月1日からは「分別生産流通管理を・・・」といった食品表示記載があれば、5%以下の混入はありえるという意味になります。

このように、今回の改正では2023年4月1日からは、使用した原材料に応じて2つの表現に分けられることになります。

ですが、そもそも「しょうゆ」や「植物油」などは、最新の技術によっても組換え DNA 等が検出できないため、表示義務はありません。(任意で表示をすることは可能)

さらに言えば、家畜のえさには表示義務がなく、遺伝子組換えの餌を食べて育った家畜の「肉」・「卵」・「牛乳」・「乳製品」などの畜産品も表示を免れています。

食品表示は万能ではないため、その意味を理解していないと意味がないことが理解できるのではないでしょうか?


参考

遺伝子組み換え研究推進室
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/gmogmo/FAQ/7/7-6.html

 

 

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