落ち葉でスリップ! 落葉は雪道と同じ!?

 

山登りをしたことがある人なら、落ち葉で転倒したことがある人もいるのでないでしょうか?

特に、雨上がりの濡れた落ち葉は大変危険です。

さて、そんな落ち葉が危険なのは、歩いている時だけではありません。

今回は、「落ち葉とスリップ」についてご紹介します。

 

落ち葉は雪道と同じ!?

明日から、11月になりますが紅葉のシーズンが始まります。

私は写真を撮るために、山登りも兼ねて例えば紅葉やイチョウなどを撮影しに出かけます。ちなみに、出先はいつも三上山(滋賀県の近江富士)です。

ただ、この時期になると落ち葉によるスリップが気になります。そもそも、目的地が山ですので必ず落ち葉が落ちている道を進むことになります。

さて、一般的に「スリップ」と言えば、「濡れたマンホール」や「凍結した路面」を思い浮かべるのではないでしょうか?

ですが、実は山道など落ち葉の多い道では、たとえ気温が高くても雪道のように滑りやすくなります。


そもそも、ほとんどの植物の葉の表面には水をはじくワックスのような油分を含む(クチクラ層)によって、植物を乾燥から守っています。

特に、イチョウは「油分」が多く含まれているため、葉が濡れていなくても注意が必要です。

ちなみに、このクチクラ層は落ち葉となり水に濡れることで次第に分解されていくため、葉から浮き上がっていきます。

水と油が混ざらないことは多くの方がご存じのように、例えば、葉が浮いている水たまりを確認すると油のような物を確認することができます。

つまり、葉はそもそも油分を含んでいるため滑りやすく・雨などが降ればその油分が溶け出し、さらに滑りやすくなるということです。

雪道と同じくらい滑る。

 

さまざまなスリップ事故を引き起こす!

落ち葉によるスリップ事故は、なにも「歩行者」や「自転車」だけではありません。

「バイク」や「自動車」はもちろん、後述しますが「列車」の車輪をスリップさせる原因にまでなっています。

 

「バイク」や「自動車」のスリップ

落ち葉の清掃が必要な理由の1つとして、事故の防止が挙げられます。

→例えば、国土交通省が直轄で管理している主要国道ではパトロールが行なわれている。

そんな落ち葉は、清掃しないとどんどん溜まっていきますよね。

当然、落ち葉を踏むことが危険な理由は先程説明した通りですが、他にも側溝に落ち葉が溜まってしまう危険もあります。

落ち葉で側溝が詰まれば、雨の日にはただでさえ滑りやすいにも関わらず、路上には側溝から流れなかった雨水により道路上に大きな水たまりができることになります。

つまり、落ち葉を放置することは二重・三重の危険が引き起こされることになり、その道を利用する全ての人にとって危険なスポットになってしまいます。

バイクでのスリップについては、こちらで紹介されている動画が参考になります。

 

それでは、最後に電車の車輪までスリップさせてしまう「落ち葉の危険性」について見ていきましょう。

 

列車の車輪がスリップ?

これは、JR傘下の公益財団法人鉄道総合技術研究所の研究チームが発表した「落葉による車輪の空転・滑走メカニズムを解明する」という論文によるものです。

→ネットで、この論文についてのPDFが公開されている。

MichaelGaida / Pixabay

 

さて、そもそも山間線区では秋~初冬にかけて、車輪の「空転」・「滑走」が多発しています。

  • 空転・・・車輪(駆動輪)が1回転しても車両が車輪の1周分の距離を進まなくなる状態。つまり、「空回り」すること。
  • 滑走・・・車輪と軌条の間の摩擦力が低下してしまい、制動時に車輪がロック。そのまま、レール面を滑る現象のこと。

つまり、車輪の状況は違いますがどちらも「スリップした状態」となります。

そして、このスリップの原因がレール面の黒色皮膜が原因であることが分かりました。レールが黒く変色している部分を見たことがある人もいるのではないでしょうか?

実は、この「空転」や「滑走」を引き起こす黒色皮膜の原因が、「落ち葉」であることが解明されました。

それでは、なぜ落ち葉がレールの黒色皮膜に変化してしまうのでしょうか?

 

黒色皮膜のメカニズムとは?

線路内にも、当然、「落ち葉」が落ちていますよね。

その落ち葉が、列車の通過により車輪で踏み潰されレールに付着します。このレールに付着した落ち葉を黒色化するためには、レール面が・・・

  1. 乾燥
  2. 結露
  3. 凍結
  4. 湿潤

この順番で変化していくことで、レールへの黒色皮膜が引き起こされることが、実験の結果明らかになっています。

つまり、レールに付着した踏み潰された落ち葉が、「結露」や「霜」などで水分を吸収。

葉には、タンニンと呼ばれる成分が含まれていますが、それがレールの鉄に反応し黒色のタンニン鉄を含む黒色皮膜が形成されることになります。

*ちなみに、時間経過とともに電車に踏み潰される落ち葉の量が増加することで、黒色皮膜はより厚くなっていくため、放置はできない。


ところで、この順番どこかで見覚えがないでしょうか?

実は、9月頃にはすでにレール面に踏み潰された落ち葉が存在していました。

そして、落ち葉のピークになる10月下旬頃にはレールが黒色皮膜に覆われた状態になります。そして、黒色皮膜は時間経過とともにレールに強固に付着してしまうため早めの対処が必要です。

つまり、黒色皮膜が作られる順番は秋~初冬にかけての日本の気候そのものだといえます。

また、空転・滑走の発生頻度は以下の条件で最も増加します。

  • 早朝(6時~8時)
  • レールが濡れている状態

当然、濡れた落ち葉によっても「空転」や「滑走」は発生しています。

このように、落ち葉は列車にも危険な状態を引き起こしてしまうため、放置することがどれだけ危険か理解して頂けたのではないでしょうか?

 

最後に

例えば、民家では落ち葉は放っておくことで「腐葉土」として再利用することがあるかもしれません。

ただ、腐葉土にするためには適度な湿度や温度、微生物やバクテリアなどの存在が不可欠です。

とはいえ、環境が整っていなければ数年以上かかる場合もあります。そうなれば、落ち葉が病害虫やシロアリなどの温床になりかねません。

また、ご近所さんへ落ち葉が飛んでいくかもしれません。そもそも、家の前の道路に落ちれば事故の危険があることは、これまでお伝えした通りです。

落ち葉を放置しても、あまりいいことはありません。

もしも、腐葉土を作りたいなら「落ち葉を無造作に放置する方法」はしない方がいいでしょう。

まず、水分を含ませてから上にビニールなどの覆いをかぶせておきます。時折かき混ぜてやると、より早く、腐葉土を作ることが出来ます。半年もすれば、ほとんど完熟の立派な堆肥になります。

ということで、どんな環境であっても、大変ですが落ち葉の掃除は避けては通れない作業となります。

 

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