若い世代で車の所有率は、信じられないほど低くなっていることは聞いたことがあるのではないでしょうか?
例えば、ネットエイジア株式会社が調査した結果「2020年の新成人のマイカー所有率は14.8%」に留まりました。
その原因の多くは、経済的な理由が6割を越えています。
確かに、税金や社会保険料なども上がり続け、雇用形態も変化し続けている現状では、仕方がないのかもしれません。
とはいえ、「いつかは自動車を所有したい!」と思っている人もいるのではないでしょうか?
今回は、自動車保険の基礎知識「知らないと後悔する自賠責保険と任意保険」についてご紹介します。
そもそも「自動車保険」ってなに?
「自賠責保険」と「任意保険」
そもそも、自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」がありますよね。
さて、自賠責保険は自動車損害賠償保障法により定められており、「強制保険」とも呼ばれています。
もしも、加入していなければ車検が通らないだけでなく、そもそも一般道を走行することすらできません。
→1年以下の懲役または50万円以下の罰金 / 違反点数6点が付加(免許停止処分)
*ちなみに、自賠責保険証明書を携帯していない場合は30万円以下の罰金。
とはいえ、そもそも自賠責保険は事故被害者の最低限の救済が目的のため、もしも自分の身体や車に被害を受けたとしても、加入している自賠責保険から保険金がでることはありません。
- 傷害による損害・・・限度額120万円までの治療費などの補償
- 後遺障害による損害・・・限度額4,000万円までのケガによる労働能力の低下や精神的苦痛に対する補償
- 死亡による損害・・・限度額3,000万円までの葬儀費や慰謝料など
当然、限度額を超えてしまえば自己負担になりますし、上記以外の損害が発生した場合も自己負担になります。
→損害賠償が数億円になる場合もあるため、自賠責保険はあくまでも「最低限度の補償」と考える必要がある。
さらに言えば、自賠責保険は対人に対してのみの補償で、物損に対する補償がありません。
とういうのも、自賠責保険は自分自身の損害には補償がないためです。つまり、任意自動車保険に加入することが必要になることはいうまでもありません。
ですが、そんな任意保険で注意しないといけないのが「ノンフリート等級」です。
これが、いわゆる「等級」です。
ノンフリート等級ってなに?
任意自動車保険には、「等級(ノンフリート等級)」というものがあります。
まず、任意保険の等級は契約者の事故実態に応じてリスクを一般的に1~20等級(一部の自動車共済では22等級)に区分されています。
さて、初めて自動車保険を契約するときは6等級から始まりますが、自動車保険を1年間使わなかった場合には、翌年度の契約の等級が1級上がります。
つまり、最短で14年間自動車保険を使わなければ、最も保険料が安くなる20等級になります。
→後述しますが、仮に20等級で割引率が63%になれば、半額以下の割引になるため保険料が大幅に抑えられることになる。
問題は、この「等級」が交通事故などを起こし、自動車保険を使ってしまうと翌年の等級が1回の交通事故につき、3等級もダウンしてしまう点です。
例えば、1等級と20等級では、保険料に雲泥の差があります。(等級が上がる程、割引率が増していく)
→保険料の割増引率は保険会社によって違う。
*例えば、「等級1になってしまうと保険料が1.6倍になり、等級20なら保険料が半額以下になる」といったことが起こる。
さて、そんな等級の割増引率には、「無事故係数」と「有事故係数」というものがあります。
「無事故係数」と「事故有係数」?
大前提として、「無事故係数」と「事故係数」は、6級までは区別されずに同じ割増引率が適用されることになります。
ですが、7級以降は「無事故係数と事故有係数」でそれぞれ割増引率が変わってきます。
価格.comでは、以下のように割増引率のイメージが紹介されています。
《表1 「無事故係数」と「事故有係数」イメージ》
等級 | 無事故係数の割増引率 | 事故有係数の割増引率 |
1等級 | 64%割増 | |
2等級 | 28%割増 | |
3等級 | 12%割増 | |
4等級 | 2%割引 | |
5等級 | 13%割引 | |
6等級(スタート) | 19%割引 | |
7等級 | 30%割引 | 20%割引 |
8等級 | 40%割引 | 21%割引 |
9等級 | 43%割引 | 22%割引 |
10等級 | 45%割引 | 23%割引 |
11等級 | 47%割引 | 25%割引 |
12等級 | 48%割引 | 27%割引 |
13等級 | 49%割引 | 29%割引 |
14等級 | 50%割引 | 31%割引 |
15等級 | 51%割引 | 33%割引 |
16等級 | 52%割引 | 36%割引 |
17等級 | 53%割引 | 38%割引 |
18等級 | 54%割引 | 40%割引 |
19等級 | 55%割引 | 42%割引 |
20等級 | 63%割引 | 44%割引 |
あくまでもこの表は例ですが、このように等級が上がるごとに数%ずつ割引率があがっていきます。
また、始まりの6等級より下がって5等級になったとしても、すぐに保険料が割増になる等級になるわけではありません。
一つ言えることは、安全運転を継続することで等級が上がり、等級が上がれば保険料が安くなっていくことは間違いありません。
ところで、「無事故係数」と「事故有係数」は言葉通りの意味になります。
事故を起こしていない人は「無事故係数」・事故を起こした人は「事故有係数」が保険料に適用されることになります。
この、「無事故係数」と「事故有係数」の差は、例えば20等級を見ればその差がいかに大きいかが分かります。
→表1の場合なら、無事故の20等級なら63%も保険料が割引になりますが、事故を起こして保険を使った人は20等級になっても44%までしか割引になりません。
また、等級の差はさらに大きな影響を与えます。
《具体例》
保険料の割引率:0%=年間8万円で無事故だった場合
- 1等級(64%割増):131,200円
- 20等級(63%割引):29,600円
表1の割増引率の場合、保険料が最大で4倍以上も変わることになります。
保険会社によってこの割増引率は違いますが、同じ等級であっても事故により自動車任意保険を使ったことがあるかどうかで、保険料が大きく変わってきます。
こういった事情があるため、私も含めてドライバーは基本的に「保険を使わないようにできる限り自腹でなんとかしたい」と考えてしまいます。
ただ、これでは自動車保険に入っている意味がないため、本末転倒と言えばそうかもしれませんが・・・
こういった理由から、ドライバーにとって自動車任意保険は最後の手段と言えるでしょう。
とはいえ、必ずしも3等級ダウンするわけでもありませんし、そもそも「ノーカウントになる事故」もあります。
等級ダウンになる?ならない?
そもそも、自動車任意保険の等級ダウンは以下の3つに分類されています。
❶3等級ダウン事故
- 他人を死傷
- 他人の車や物を壊した
- 自分の車を壊した
- 1等級ダウン事故・ノーカウントダウン事故に該当しない事故
これは、事故1件につき3等級下がるのですが、2等級以下になるとそもそも保険会社から自動車保険の加入を拒否される可能性が高くなるでしょう。
→事故有係数の適用期間は、3年間
保険会社としても、保険料が上がるとはいえ事故を起こしやすい人(赤字になる可能性が高い人)を加入させようとは思いませんよね・・・
➋1等級ダウン事故
- 盗難
- 落書き
- 飛び石
などによる車の破損。
つまり、損害は自分だけの車で被害者害がいない事故です。これも、事故1件につき1等級下がることになります。
→事故有係数の適用期間は1年間
ただし、表1から分かるように安易に任意保険を使ってしまうと、等級が下がり翌年の保険料が上がるため注意が必要です。
あくまでも、翌年の保険料と修理費用の差で安い方を選択する必要があります。
このように、事故有係数は1度事故を起こせば永遠に適用されるわけではなく、3等級ダウンなら3年間・1等級ダウンなら1年間という期間限定の係数(ペナルティー)だということになります。
それでは、事故を引き起こしているにも関わらず、「ノーカウント」。つまり、なぜ等級に影響がない場合があるのでしょうか?
❸ノーカウント等級
- 自分や家族のケガ
この事故で、保険金を受けとったとしても等級が下がることはありません。当然、無事故として扱われるため翌年度の等級も1等級上がることになります。
例えば、あなたが交通事故を起こしたとします。
その結果、あなたや家族がケガをしたものの、相手に損害を与えることも自分の車が傷付くこともない場合です。
そもそも、自動車保険の主な目的は「他人の損害へのリスク」と「自動車損壊のリスク」を助けることにあります。
そのため、自分や家族、同乗者のケガ等に対する補償(人身傷害補償など)は、自動車保険に傷害保険・医療保険などをプラスしたという位置付けになります。
早い話しが、「自分や家族、同乗者などのケガは自動車保険本来の目的とは違う、プラスアルファの補助的な補償となるため、等級にはそもそも関係ない」ということになります。
つまり、仮に交通事故を引き起こしたとしても本人達のみのケガの場合で任意保険を利用したとしても、等級に影響はありません。
例えば、ノーカウント事故の事例は以下のものがあります。
- 車同士の事故で怪我。相手が任意保険に入っておらず支払い能力がなかった(無保険車傷害保険のみ使用)
- 単独事故を起こし、自分の怪我の治療にかかる保険金のみを受け取った(人身傷害保険のみ使用)
このように、自動車任意保険は使うと確かに等級が下がる場合が多いですが、等級が下がらない場合もあります。
あなたが加入するまたは加入している任意保険を確認して、もしもの時に上手に使えるように準備しておかないともったいないことはいうまでもありません。
最後に
任意保険は、どうしても「使うともったいない!」と考えてしまいがちです。
ですが、せっかく保険料を支払っているわけですから、必要な時は賢く利用しないと、とてももったいないことが理解できたのではないでしょうか?
次回は、最近の自動車任意保険には基本的に付属している「ロードサービス」についてご紹介します。
こちらも、等級には影響しないためもしもの時は迷わず使えるように、契約内容の確認をあらかじめしておくことをお勧めします。
参考
チューリッヒ保険会社
→https://www.zurich.co.jp/car/useful/grade_inheritance/
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