二酸化炭素濃度の測定が主流に? 必要換気量は二酸化炭素で判断!?

 

この記事では、「観光業界の二酸化炭素測定と換気量」について説明しています。

 

前回、「必要換気量」についてご紹介しました。

必要換気量というのは、空気中の汚染物質の濃度を基準濃度以下に保つために必要な換気量のことです。

通常の居室では、その部屋にいる人から発生する二酸化炭素の濃度1,000ppmで決まることが多くなっています。

今回は、そんな換気量がGo Toキャンペーンの安全性の根拠としてあげられている観光事業者のコロナ対策」についてご紹介します。

 

「換気」については、こちらの記事で紹介しています。

感染症も換気が必要? 実は細かい基準が・・・

 

そもそも、換気と二酸化炭素にはどんな関係があるの?

2011年に厚生労働省「節電対策と管理基準への対応 最近の指導事例」のなかで、空気環境と節電対策についての項目で以下のように示されています。

居室内を1,000ppm以下に管理するためには、1人当たりの外気導入量をおおむね30m3/h以上確保する必要がある。
室内に停滞するおそれのある有害化学物質や病原微生物を排除するために、新鮮な外気が必要である。したがって、二酸化炭素の含有率は換気の目安となる基準。

とあります。

 

そんな換気量は、日本衛生技術部会で簡単に計算できるシミュレーターを利用することで知ることができます。

  • 部屋にいる人数
  • 部屋のサイズ
  • 室内での活動状況
  • 換気装置の条件

などを入力することで、屋内の二酸化炭素の濃度を推定し、換気の善し悪しを見積もることができる「換気シミュレーター」をダウンロードすることができます。

参照:日本産業衛生学会

 

つまり、その部屋の二酸化炭素濃度を測定することで必要換気量になっているかを確認することができます。

そして、この換気状態を可視化した実験をしているのが観光バス業界です。

 

換気状態を可視化?

そもそも、一言で「換気」といっても窓などの開口部から外気を取り入れる「自然換気」ばかりではありません。

換気にはもう一つ、商業施設や飛行機だけでなく、今回紹介するバスでも実験動画などで示されている「機械換気」の2通りがあります。

それでは、バス車内のコロナ対策の1つである「機械換気」について見ていきましょう。

 

 

北陸鉄道株式会社の場合

北陸鉄道グループのバスでは、「外気導入固定運転機能」を作動させることで約5分で車内の空気を入れ替える対策がなされています。

結論から言えば、バスに取付けられたこの装置により窓を開ける必要がありません。

  1. 2箇所の空気取り入れ口から新鮮な空気を取り入れる。
  2. 取り入れた空気をエアコンユニットで空気の温度を調整
  3. 屋内の空気吹き出し口から送風(一部、屋内空気を循環)
  4. 屋内に取り入れた空気を隅々までいきわたせながら屋外へ排出

つまり、「コロナ対策をはじめ、感染症対策に特化したバス」と言うことができるでしょう。

それでは、既存のバスでは必要換気量を確保することが難しいのでしょうか?

 

 

みらい観光の場合

みらい観光では、バス車内のエアコンを外気導入モードにし、客席の開閉可能な全ての窓を2㎝開けることで、酸化炭素の濃度を750~790ppmに調整できることが実験で分かりました。

さらに運転席の窓を2㎝開けることで、600~610ppmまで下がった。

 

この方法により、北陸鉄道グループのように新しい設備を導入する必要がなく、必要換気量を確保することができています。

このように、確かに以前は観光バスで新型コロナウイルスによる感染がありましたが、1つずつ対策が進んでいます。

 

対策はバス会社だけ?

朝日新聞デジタルでも記事になっていましたが、公共スペースやライブイベントなどで二酸化炭素濃度を表示させる仕組みが拡がっています。

→例えば、アイドルのライブイベントで二酸化炭素濃度が表示されているモニター設置。

これからは、二酸化炭素を測定する装置が販売されることが当たり前になるかもしれませんね・・・

 

最後に

そもそも、私達が吐く息に含まれる二酸化炭素は空気中に広がっていくため、その部屋の二酸化炭素の濃度で空気の汚染状況を知る方法の1つとなっています。

特に、3密の中でも「密集・密閉状況」では空気の流れもなくどんどん空気が悪くなるということになります。

ただ、当然ですが二酸化炭素濃度が高いから新型コロナウイルスに感染するのではなく、新型コロナウイルスがそこに存在しているから感染します。

とはいえ、インフルエンザなど他の感染症予防にもなるため、必要換気量を維持することは特にこれから寒くなる季節には大切なことだといえるでしょう。

これまでは、商業施設の中でもトップクラスの換気量はパチンコ店でした。そして、そんなパチンコ店を上回るのは飛行機の機内です。

さらに、今ではバス車内やライブなどあらゆる場所での換気量が見直されています。これも、「新しい生活様式」の結果だといえるでしょう。

今後も、新しい生活様式により生活のデジタル化など、これまでとは大きく変わっていくことが予想されますが、生活しやすい社会になるといいですね。


参考

新型コロナウイルス感染症制御における「換気」に関して「換気」に関するQ&A
http://www.shasej.org/recommendation/shase_COVID_ventilizationQ&A.pdf

 

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