皆さんは、「#8000」でどこにつながるかご存じでしょうか?
この番号は、「こども医療でんわ相談」につながります。つまり、「子どものもしもに対応」してくれる必要不可欠なダイヤルです。
今回は、「まだまだ知られていない#8000」についてご紹介します。
そもそもどんな事業なの?
「#8000」は、これまで小児救急電話相談事業と呼称されていましたが、現在は「子ども医療電話相談事業(#8000事業)」と呼ばれています。
~目的~
「休日・夜間における小児の症状等に関する保護者等の不安解消等が目的。」
平成16年度より、国庫補助事業として開始。
平成26年度以降は、各都道府県により地域医療介護総合確保基金を活用して地域の実情に応じて実施されています。
令和元年5月1日時点で、深夜0時以降も実施しているのは43都道府県。つまり、ほとんどの都道府県で夜間も実施されています。
どんな相談ができるの?
保護者の方が、休日・夜間の子どもの症状に「どのように対処したらいいのか」・「病院を受診した方がいいのか」など、判断に迷ったときに小児科医・看護師に電話で相談できるものです。
- 頭をぶつけた・・・
- 発熱で・・・
- 嘔吐や痙攣が・・・
など、そんなもしもの時に相談することができます。
全国同一の「#8000」をプッシュすることで、住まいの都道府県の相談窓口へ自動転送されます。そして、症状に応じて適切な対処の仕方や受診する病院等へのアドバイスを受けることができます。
つまり、「どうしたらいいの?」と判断に困った時に相談するための事業です。
本当に緊急の時は、迷わず119番へ!
相談件数は、年々増加中!
少し古いデータですが、平成28年度までの相談件数をご紹介します。
《表1 「#8000全国相談件数(平成16~28年度)」》
表1から見てとれるように、毎年相談件数が増加し続けていることがわかります。
事業は開始された平成16年34,162件→平成28年864,608件。
つまり、約25倍の相談件数になっています。平成28年時点で、1日2,368件も相談があったことになります。(1時間に約100件)
このように、利用者は確実に増えていることが分かります。
さて、そんな「子ども医療電話相談事業」ですが、平成30年2月1日~平成30年3月1日までの28日間で北海道・埼玉県・富山県・岐阜県・広島県の5道県で相談事例情報の収集がなされました。
情報収集で何が分かったの?
全相談件数:6,372件
~道県別の相談件数~
- 北海道ー761件
- 埼玉県ー2,898件
- 富山県ー503件
- 岐阜県ー1,412件
- 広島県ー742件
~曜日~
- 月曜日ー1,042件
- 火曜日ー700件
- 水曜日ー755件
- 木曜日ー766件
- 金曜日ー752件
- 土曜日ー756件
- 日曜日ー1,547件
~時間帯による相談件数の割合~
- 0~16時 ー20.1%
- 16~17時ー2.6%
- 17~18時ー5.5%
- 18~19時ー3.6%
- 19~20時ー22.2%
- 20~21時ー20.8%
- 21~22時ー15.8%
- 22~23時ー11.1%
- 23~24時ー1.5%
5つの道県に限っての調査であるため、地域差はもっと大きくなるかもしれません。
ただ、少なくとも相談件数は、富山県と埼玉県では5倍以上の差があることが分かります。
人口や子どもの数など、さまざまな違いがあるため一概にはいえませんが、地域によってはそもそも「#8000事業」が浸透していないことも考えられます。
曜日・時間帯は、日曜・祝日以外は曜日による相談件数の差はほとんどなかった。そして、時間帯については18~23時に相談が集中していることが分かります。
ただし、夜間帯も2割以上の方の相談があるため、必要不可欠であることが分かります。
医師の助言にはどんなものがあったの?
医師の助言は、残念ながら74.6%が未記入・助言なしが25.1%でした。そのため、残り約1%の助言を紹介します。
- 何かあれば受診することを勧めた。ー32.5%
- 翌日に受診することを勧めた。ー25.4%
- すぐに病院に行くように勧めたー19.9%
- 受診する必要はないー12.6%
- 119番を勧めたー0.6%
このようになっていました。
この事業は、子どものもしもに迷ったときに相談する窓口です。「何かあれば受診することを勧めた」というケースが最も多いため、親の判断はおおむね正しいことが見てとれます。
ただ、「すぐに病院を勧めた」「119番を勧めた」というケースもあるため、素人判断が危険なケースがあることも示されています。
ちなみに、相談内容は、「発熱」が最も多く、「嘔気・嘔吐」、「頭部以外の外傷」が続きます。
最後に
#8000事業は、土日・祝日も関係なく、いつでも子どもの医療的な相談ができるダイヤルです。
ただ、毎年のように相談件数が増加していることや周知徹底が勧められていることから、今後もさらに相談件数が増加することが予想できます。
そうなれば、すでに大変な相談件数になっていることから、必要な回線数や相談対応者数も検討していく必要があるでしょう。
さらにいえば、相談対応時間は3~5分未満が多かったですが、中には20分以上も要した相談もありました。つまり、一概に相談件数だけで決めることは難しくなります。
#8000は、医師や看護師につながる相談事業です。私達親にとっては、心強い事業ではあります。ただ、その反面、医師や看護師が休める体制も同時に整備していかなくてはいけないことは、言うまでもありません。
参考
日本医師会:子ども医療電話相談事業
→https://hayabusa.gifu.med.or.jp/c5/files/3615/2635/3823/7a5d532bd6549daa5edcd5efeb44883b.pdf
群馬県:子ども医療電話相談事業(#8000)
→https://hayabusa.gifu.med.or.jp/c5/files/3615/2635/3823/7a5d532bd6549daa5edcd5efeb44883b.pdf
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