日本では皮下注射が主流!コロナの予防接種はどこに?

 

この記事では、筋肉注射と皮下注射についてお伝えしています。

 

新型コロナウイルスのワクチンが1年足らずで承認され、日本でももうすぐ開始されることになりました。

厚生労働省によれば、優先順位の高い人から、2月下旬から摂取される予定になっています。

 (1)医療従事者等
 (2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
 (3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方 
 (4)それ以外の方

ということで、一般の私達はまだ先になりそうです。

ところで、そんな注射にはさまざまありますが、新型コロナウイルスワクチンは、インフルエンザワクチンとは違う「筋肉内注射」と呼ばれる方法で接種されていくようです。

今回は、「状況によってかわる注射の種類」についてお伝えします。

 

注射に種類があるの?

実際、私自身も予防接種や点滴などで注射針を何度も刺しています。

それでは、その注射針がどこを刺しているかご存じでしょうか?

実は、状況によって違う場所に刺しています。

 

注射の種類!

そもそも注射は、基本的に検査や治療のために針を使用して、身体に薬物を注入する医療行為ですよね。

ただ、「注射」と一言でいっても、同じ部分に刺しているわけではありません。

基本的には、以下の4種類があります。

 

①皮内注射

皮内注射は、治療ではなく特定の薬物に対する反応(アトピー性皮膚炎・気管支喘息などのアレルギー検査)を調べるために実施されています。

ただ、指す場所は皮膚のすぐ下(表皮と真皮の間の皮内)の部分のため浅く、注射の中では効果があらわれるまでに最も時間がかかります。

 

 

②皮下注射

インフルエンザワクチンや水疱瘡ワクチン、日本脳炎ワクチンなど日本で行なわれる予防接種の多くが、この皮下注射で実施されています。

皮下注射は、皮膚と筋肉の層の間にある、脂肪がおもな皮下組織に薬物を注入する注射のことです。

皮内注射の次に効果が現われるまでに時間がかかりますが、効果が長続きします。

 

 

③静脈内注射

静脈内注射は、静脈に直接薬物を注入する方法です。

最も早く効果が現われる注射の方法で、命に関わるような緊急事態などで用いられます。

ちなみに、点滴も静脈内注射の1つで、普通の注射に比べれば多くの薬物・水分・栄養分を注入することができます。

 

 

④筋肉注射

筋肉注射は、「皮膚表面からもっとも深いところにある筋肉」に薬物を注入する注射です。

筋肉注射なら、刺激の強い薬物でも注入することができます。

→HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンや、B型肝炎ウイルスなどの予防接種に用いられている。


ちなみに、米国ではインフルエンザワクチンなども筋肉注射が当たり前に実施されているようです。

ですが、日本ではほとんどの人が「注射」ときいて思い浮かべるのは皮下注射ではないでしょうか?

というのも、例えば皮下注射なら注射針の角度は30°~45°ですが、筋肉注射の場合は深く刺す必要があるため、皮膚に対して垂直(90°)に刺すことが推奨されているためです。

それでは、どうして日本は多くの予防接種が筋肉注射ではなく「皮下注射」なのでしょうか?

TheDigitalArtist / Pixabay

 

筋肉注射は危険?

そもそも、欧米などで予防接種が筋肉注射で実施されているのは、大きく2つの理由があります。

  1. 抗体産生が良好であること。
  2. 副反応が少ないこと。

つまり、筋肉注射の方が副作用が少なく、抗体も作られやすいことが分かっているため、CDCや諸外国のガイドラインでは筋注によるワクチン投与を推奨しています。

それでは、なぜ日本では筋肉注射ではなく皮下注射が主流になっているのでしょうか?

 

日本独自の事情が影響・・・

実は、そもそも日本でも以前は筋肉注射が主流でした。

ところが、薬剤筋注投与による大腿四頭筋拘縮症が社会問題になった時代がありました。

最初は、昭和21年(1946年)に初めて東大の整形外科から大腿四頭筋拘縮症の報告からでした。

その後、昭和40年代後半からは、当時の解熱薬や抗菌薬の筋肉内注射により、約3,600人の大腿四頭筋拘縮症の報告が相次ぐこととなりました。

ただ、その原因は「組織への障害度の高い薬剤の頻回な注射」「2つの薬剤の混合注射」など、注意が必要な危険な使われ方が、当たり前のように実施されてきたことが原因だったことが分かっています。

なにより、そもそも筋肉注射とワクチンの予防接種とはなんの関係もありませんでした。つまり、日本で皮下注射が主流になった要因は、筋肉注射の危険性に焦点が当てられてしまったことが指摘されています。

ただ、ルールに沿ったワクチン接種をしている限り、実は筋肉注射の方が皮下注射よりも安全で効果が高いため、諸外国では筋肉注射による予防接種が主流となっています。

それでは最後に、筋肉注射が原因と考えられている日本で社会問題になった「筋拘縮症」について見ていきましょう。

 

「筋拘縮症」ってなに?

筋拘縮症の原因は、筋肉注射だと言われています。

筋肉注射を打つことで・・・

  • 物理的な筋肉への刺激・注射液による刺激により、筋肉が破壊される。
  • 破壊された部分が線維化。
  • 運動機能に障害が生じる。

このように、考えられています。

ただ、この原因は先程説明したように、当時は手軽な方法として間違った筋肉注射がなされていたためです。


ちなみに、筋肉注射はどこにでもできるわけではなく、それぞれ筋肉注射を実施した部分に症状が現われることになります。

  • 大腿四頭筋拘縮症
  • 三角筋短縮症
  • 上腕三頭筋短縮症
  • 殿筋短縮症

これらの部分が多くなります。

MatthewKitka / Pixabay

つまり、代表的な拘縮症の1つが大腿四頭筋の筋拘縮症ということです。

もしも、筋拘縮症になると障害された筋肉部分が硬くなり、運動障害を引き起こしてしまいます。

例えば、大腿四頭筋拘縮症では、うつ伏せに寝て膝を曲げるとお尻が浮き上がるいわゆる「尻上がり現象」が引き起こされます。

基本的には、どの筋拘縮症でも手術が必要で運動障害は改善されますが完治はしません。場合よっては、再手術も必要になるようです。

昔は解熱のために筋肉注射が当たり前のようにおこなわれ、国や製薬会社を相手取った訴訟が引き起こされていたようです・・・

 

最後に

普通は、実際に注射されている私達でさえ注射針がどの部分に刺さっているかなんて分からないですよね。

実体験としては、看護師さんに点滴針を手の甲に何度も刺される経験(最高5回のやり直し)もしています。

その一方で、一発で成功させる看護師さんもいらっしゃいますよね。

このように注射にも種類がありますが、コロナワクチンは多くの人にとってなじみがない「筋肉注射」という方法がとられることが指摘されています。

→海外では筋肉注射での予防接種が当たり前で、皮下注射による実験結果が不明なためとか・・・

そもそも、海外で作られたワクチンです。その国の安全基準でワクチンは作られるため、接種による実験なども「筋肉注射が当然!」として実証されているでしょう。

ともあれ、皮下接種が主流の日本では、コロナワクチンの予防接種はいつもとは違うことを理解しておいた方がいいでしょう。


参考

吉澤整骨院:筋拘縮症って何?
http://seikotu76yosizawa.blog.fc2.com/blog-entry-333.html

感染症TODAY:「ワクチンの筋肉内摂取に関する小児科学会の見解」
http://medical.radionikkei.jp/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-151216.pdf

日本感染症教育研究会
http://www.theidaten.jp/data/public_comment/pc7.pdf

ちっくん相談室
https://chikun.jp/pain/various.html

 

 

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