「産業革命」というと、なにを思い浮かべるでしょうか?
- 第一次産業革命・・・石炭・蒸気機関を動力源とする軽工業中心の発展
- 第二次産業革命・・・鉄鋼・機械・造船などの重工業・石油資源を利用した化学工業(重化学工業の発展)
- 第三次産業革命・・・機械による単純作業の自動化
産業革命が進んだことで、どんどん人の手が離れていき、機械を中心として大量生産ができるようになりました。
そして、とうとう人の手がいらない時代がそこまできています。
今回は、「第四次産業革命に対応するために進められているSTEAM教育」についてご紹介します。
そもそも「第四次産業革命」ってなに?
冒頭でお伝えしたように産業革命により、工場の機械化(第一次産業)→大量生産(第二次産業)→自動化:オートメーション化(第三次産業)が進められてきました。
そんな産業革命の第4次として、内閣府は大きく分けて2つの技術革新のことを示しています。
❶「IOT:Internet of Things(モノのインターネット)」と「ビッグデータ」
IOTとは、「モノがインターネット経由で通信すること」です。
つまり、これまでになかった「テレビ」や「スマホ」、「家」などありとあらゆるモノをインターネットにつなげていくということです。
例えば、離れたモノの状態を知ることで、例えば扉が開いていることを知ることができます。
また、インターネットでモノがつながっているため、例えば外からエアコンの電源を入れるなどそういった遠隔操作もできるようになります。
さらに、センサーを利用すれば、例えば室内の温度をリアルタイムで確認・操作できるなど、アイデア次第で用途は無限に広がっていきます。
→工場の機械の稼働状況・交通・気象・個人の健康状況まで様々な情報がデータ化。これらをさらにネットワークでつなげてまとめることで解析・利用し新たな付加価値が生まれる。
➋AI
→人の指示を介さなくとも、コンピューター自らが学習することで、一定の判断を行うことが可能。
例えば、ロボット技術もさらに複雑な作業が可能になっており、3Dプリンターを使えば省スペースで複雑な工作物まで製造することが可能になっています。
第四次産業革命への期待
そんな第四次産業革命で期待されていることは、以下の3つがあります。
- 大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供
- 既に存在している資源・資産の効率的な活用
- AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替えなどが可能になる
つまり、大きな変革がすでに始まっていることから、新しい社会に対応するための新しい学習が必要になります。
その学習方法の1つが、今回紹介する「STEAM教育」です。
「STEAM教育」ってそもそもなに?
STEAM教育の目的は、「幅広い分野で新しい価値を提供できる人材を養成すること」です。
STEAMの意味
- Science:科学
- Technology:技術
- Engineering:工学
- Art:芸術
- Matchematics:数学
以上、5つの頭文字を取って作られました。さらに言えば、理数系教育の充実を図る「STEM教育」に、「芸術(Art)」が加えられた造語でもあります。
STEAM教育はなぜ必要?
そもそも、すでに「ブルーカラー労働者」と呼ばれる工場勤務などの肉体労働者の職がAIに奪われてきたことは、多くの方がご存じなのではないでしょうか?
それが、冒頭で紹介した第4次産業革命により「ホワイトカラー労働者」と呼ばれるオフィスで机に向かって働く人の職までもAIに奪われることになり、すでに始まっています。
ハッキリ言ってしまえば、「ほとんどの仕事が人件費などが必要ないロボットに変わる」ということです。
私が書いているこういったブログも、ロボットが書くようになるでしょう。ちなみに、例えば朝日新聞ではすでにそういった取組は始まっています。
これからは、あらゆる業界のライバルはAIということになるでしょう。
ただ、AIとまともに勝負をして勝つことは不可能です。なにしろ、相手は眠ることもなく人間には計り知れないスピードでどんどん成長していってしまうからです。
それこそ、人間では何十年分もの経験を一瞬で取り入れていきます。しかも、疲れることもなくエラーがない限りミスもありません。
これが、目の前(2030年まで)に迫っている現実です。そして、この第4次産業革命時代を生き抜くための子ども達への教育が「STEAM教育」です。
それでは、実際にどういった教育がなされるのでしょうか?
「STEAM教育」って結局なにをするの?
先程、「これまでのように文系や理系に別れることではない」ことをお伝えしました。どういうことかというと、STEAMの5つの領域を自由に行き来できる人材を育成していくことになります。
端的に言ってしまえば、残念ながらこれまでのようなペーパーテストで高得点が取れる人材に、価値はあまり見いだされなくなります。
これからの必要な人材とは、「問題を解決に導き、想像する力を育んだ人材」のことです。
→俗に言う、「指示待ち人間」は必要ありません。今の学校は、この指示を聞くだけの人材を大量生産していくいわゆる「全体主義的な教育方針」が色濃く残る教育方法です。
つまり、「日本でこれまで誰も経験したことがない新しい学習をやっていく」ことになります。そんなSTEAM教育は、各国では様々なことがすでに実践されています。
文部科学省では、以下のような各国の取組が紹介されています。
各国の取組み
- イギリス・・・初等学校では教科横断的トピック学習が多く、活動的学習が取り入れられている。
- ドイツ ・・・対面型一斉授業からの脱却。個人に対応した授業を推奨。週単位での学習計画による学習の個別化。プロジェクト方式の学習等の展開。
- フランス・・・教科書横断的な学習や調べ学習が推奨。
このように、他にも多くの国が「教科書横断的な学習」というものを取り入れています。
それでは、この「教科書横断的な学習」とはなんなのでしょうか?
教科書横断的な学習?
経済産業省では、このような日本の事例が紹介されています。
「数学✕音楽」や「数学✕芸術」、「科学✕エンジニアリング✕スポーツ」など、横断的な学習の組み合わせは想像次第でいくらでもあります。
例えば、「スポーツ✕数学」では、「ゴルフでどこにボールを打つ?」といった課題に取り組むこともあります。
そして、一番重要なことは「失敗すること」です。何百・何千と失敗を繰り返していくことで、成長していくことに価値が見いだされています。(そもそも、正解がないため「失敗」や「成功」とは別の考え方が身につくことになる)
ちなみに、中には「走れメロス」に登場するメロスの全力を検証するなんて課題もあります。
失敗することが前提の教育を、私はこれまで受けたことがありません。むしろ、失敗すると怒られた経験しかありません。テストの点数が一番分かりやすいのではないでしょうか?
このように、STEAM教育は口だけでなく実力が伴った人材育成のための教育方法として、政府の全省庁が取り組んでおり、これからの新しい教育方針として期待されています。
最後に
これまでは、「和を乱さない集団としての個人」が尊重されてきましたが、これからはそもそもこのやり方では生き残れなくなります。
なぜなら、大規模工場が残っていたとしても働くのは「人」ではなく「AI」だからです。
また、株式投資でさえAIがどんどん進出していますが、そもそも集団で活躍できる場所は基本的にAIの主戦場になっていきます。
つまり、「私には、なにができるか?」を突き詰めていく必要があります。
そして、現代は「society 5」と呼ばれる新しい社会に突入しています。
- Society 1.0:狩猟社会
- Society 2.0:農耕社会
- Society 3.0:工業社会
- Society 4.0:情報社会
これは、産業革命により社会が進歩した証拠でもあります。今までなら、基本的に個人よりも集団で動いた方が確かに合理的でした。
ところが、集団でしなくてはいけない仕事は、基本的に全てAIがするようになっていきます。
そのため、これまで以上に個人の実力がシビアに問われる時代となることから、その準備として期待されている教育方法が「STEAM教育」です。
ところで、Society 5.0は、内閣府ではこのように示唆されています。
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
「超スマート社会」とも呼ばれます。
「古い世代」と言われないように、勉強を続けてその勉強を生かすこと(「インプット」と「アウトプット」)をしていかないと、すぐに取り残されることになるでしょう。
明治時代の変遷とは、比べものにならない文明開化がすぐ目前にまで迫っています。
参考
あそぶ!天才プログラミングの学校
→https://playprogramming.school/curriculum/steam
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