新型コロナウイルスの拡散で、多くの特例措置が実施されています。
小学校の休校などもその1つです。
今回は、そういった特例措置の中でも、最近私が済ませた「車検が延長された!?」についてご紹介します。
自動車検査証の有効期限を伸長!?
国土交通省は、令和2年2月28日に新型コロナウイルス感染症対策として、令和2年2月28日~3月31日までの自動車について、全国一律に令和2年4月30日まで自動車検査証の有効期限を伸張しています。
車を持っていない人にとっては、ピント来ないかもしれませんが簡単に言ってしまうと本来なら、有効期限内に車検をしないことは犯罪になります。
そもそも「車検」ってなに?
車検というのは、「継続検査」のことをいいます。この検査は、国が定める検査になるため強制です。
分かりやすくいえば、次の期間内に公道を走ることができるという証明をもらうための検査。
そのため、検査の内容はその自動車が「安全かどうか」・「決められた排気ガス規制をクリアしているか」などが中心に行われます。
→国がその車の保安基準に適合しているかを一定期間ごとにチェックするための検査=車検(継続検査)
- 新車を買って最初の有効期限:満了日は3年
- 2回目以降:2年ごと
- 自家用小型貨物車:2回目以降は1年
*車検証に記載されている有効期間が満了する日までに、必ず行わなければいけません。(車検が満了する1ヶ月前から受けることができる)
このように、厳しく決められています。
「無車検運転」の罰則は?
強制的にドライバーに受けさせる検査ですので当然、車検切れの車(無車検車)を運転すると、重い罰則を受けることになります。
【無車検運行】
- 違反点数:6点
- 罰則と罰金:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
- 行政処分:免許停止
*道路運送車両法第58条の違反・同法第108条の処罰の対象
ちなみに、通常は自賠責保険の保障期間は、車検の1ヶ月後に満了になるように設定されています。つまり、無車検車のほとんどは自賠責保険の保障期間が切れていることになります。
《自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)》
この保険は、自動車損害賠償保障法第1条に基づいて交通事故が発生した時、被害者の対人賠償を担保するために加入が義務づけられた強制保険です。
【無保険運行】
自賠責保険切れ運転の罰則と罰金についても、重い罰則をうけることになります。
- 違反点数:6点
- 罰則と罰金:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 行政処分:免許停止
自動車損害賠償保険法第5条の違反となるため、同法第86条の3の1号の処罰の対象となります。
「無車検運転」と「無保険運行」では、無保険運行のほうが罰則・罰金が重いことが分かります。今回の新型コロナウイルスで延長されているのは、この「車検期間」と「自賠責期間」の延長です。
ちなみに、車検の延長期限がきれていて、なおかつ無保険で運行した場合は、両方の違反がかかることになります・・・
【「無車検運行」と「無保険運行」の両方に違反した場合】
1.違反点数:6点
→道路交通法施行例により、二つ以上の違反行為をした場合は、最も高い違反点数が適用。同じ点数ならその点数が付加される)
2.罰則と罰金:1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金
→刑法併合罪第47条:2つ以上の罪について有効の懲役または禁錮に処するときは、重い方の1.5倍が適用。
→刑法併合罪第48条:2つの罰金の合計以下が科せられる。
3.行政処分:免許停止
ちなみに、自賠責保険も4月30日まで猶予されています。ただ、車検にしろ保険にしろ、伸長されただけで、しなくてもいいということではありません。
しかも、対象者は限定的ですのでまずは、自分が対象者か自動車検査証を確認する必要があります。
さて、それでは車検の伸長について詳しく見ていきましょう。
結局、なにがどうなるの?
本来なら、自動車検査証の有効期間満了後も自動車を使用する場合は、国土交通大臣が行う継続検査(車検)を受けることで、有効期間を更新しなければいけません。
ただ、現在は新型コロナウイルスの感染拡大防止策が最優先されています。
通常なら、特に3月の繁忙期には翌年度に自動車税がかからないようにするために、未使用車や不要車の廃車手続きが殺到するため、ただでさえ車検を実施している陸運局の窓口は大混雑することになります。
ただ、人が集中するということは、政府が予防しようとしているクラスター感染(集団感染)の温床になってしまうことは言うまでもありません。
そういった集中を分散する目的で実施されています。
→クラスター感染(集団感染)については、こちらの記事で紹介しています。
こういった感染リスクを防ぐために、特例措置として道路運送車両法第61条の2の以下の規定を適用しました。
第六十一条の二 国土交通大臣は、一定の地域に使用の本拠の位置を有する自動車の使用者が、天災その他やむを得ない事由により、継続検査を受けることができないと認めるときは、当該地域に使用の本拠の位置を有する自動車の自動車検査証の有効期間を、期間を定めて伸長する旨を公示することができる。
有効期間の伸長内容
《対象車両》
自動車検査証の有効期間が満了する日が、2月28日~3月31日までの自動車全て。
《措置内容》
自動車検査証の有効期間を4月30日まで伸長。
《継続検査の手続き》
対象車両については、4月30日までに継続検査を受検すれば引き続き自動車が利用できる。(有効期間を伸長するための手続きは不要)
《自動車損害賠償責任保険(共済)の手続き(締結手続きの特例措置)》
継続検査を受検するまでに、保険契約期間の終期が到来する保険契約については、継続契約の締結手続きが4月30日を限度として猶予される。
→今回の特例措置のポイントは、対象期間に当てはまる自動車は、「車検だけでなく、車検を受けるまでに自賠責保険が切れてしまっても、車検の時に有効期限までさかのぼって契約すれば問題ない」という点です。
最後に
新型コロナウイルスの影響が、車検にまで影響するようになりました。
ただ、「新型コロナウイルスが4月30日に終息する」という保障はどこにもありません。また、期間が延長されたことで、延長期間内の窓口がこれまで以上に一極集中してしまうことも考えられます。
かといって、終息せずにさらに延長しようにも車の安全性を担保することが難しくなります。そのため、新型コロナウイルスが終息していない場合、さらに伸長しようとしても限界があるでしょう。
例えば、災害なら一部地域に限られます。ただ、今回は私も含めて車を持っている人達全員に関わる話しとなります。
多くの車が安全確認もせずに運行されているとすれば、整備不良によりいつ事故が起こってもおかしくないでしょう。
今後も、新型コロナウイルスの終息が認められない場合は、個別に対応できる車検方法を考えていくしかなくなるかもしれません。
*私の場合は、延長期限内の対象車でしたが、2020年3月7日にディーラーで車検を済ませました。
→新型コロナウイルスの危険性は、集団感染です。ディーラーで混んでいない時間帯を確認して、早めに車検を終了させることをオススメします。(ディーラーに依頼したことで、陸運局への書類も提出してもらうことができました)
参考
国土交通省:自動車検査証の有効期間を伸長します~新型コロナウイルス感染症対策~
→http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000239.html
チューリッヒ保険会社:車検切れの車を運転したらどうなる?無車検、無保険運行の罰金・違反点数
→https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-musyaken-muhoken/
アップル車検:車検とは
→http://www.apl21.com/sp/knowledge/
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