なぜ!? マルチ商法の被害が若者の間で増加中・・・

 

この記事では、「モノなしマルチ商法」による被害についてお伝えしています。

「マルチ商法」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?

使い古された商法ですので、今では簡単にひっかからなくなったと言いたい所ですが、実は被害が増えていることが国民生活センターでも多くの被害報告が上がっています。

しかも、その被害対象は高齢者などではなく若者がターゲットにされているようです。

今回は、「進化するマルチ商法」についてお伝えします。

 

そもそも「マルチ商法」ってなに?

警視庁のホームページを確認するとこのように書かれています。

商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られるとして、消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売していく商法です。

→商品・サービスを契約し、次は自分がその商品・サービスの勧誘者となって報酬(紹介料)等を得る商法。

 

つまり、自分がその商品やサービスの契約者でもあり、販売者でもあるということになります。

ちなみに、よく混合される「ネズミ講」とは違うことをご存じでしょうか?

 

「マルチ商法」と「ネズミ講」は違う!?

手法としては、どちらも組織が拡大してゆくシステムです。

ねずみ講の特徴としては、上の階層が下の階層の人の儲けを吸い上げる仕組みになっているビジネス。つまり、最初に始めた人ほど儲かる仕組みになります。

なにより、ねずみ講はマルチ商法と違い「商品の販売が目的ではなく、金品の受け渡しが目的」になっています。

つまり、実体のない金品の受け渡しが目的になっている組織がねずみ算的に拡大してゆくシステムです。

→上の階層が下の階層の人の儲けを吸い上げる仕組みになっているビジネスは、詐欺に発展しやすく法律で禁止(違法)されている。

 

 

ねずみ講の事例

総務省では、メールの儲け話しの事例が紹介されています。

この事例では、ある男性が電子メールを使用した「無限連鎖講防止法違反の疑いで摘発」されています。

「無限連鎖講」とは、ねずみ講のことをいいます。

ちなみに、マルチ商法は「連鎖販売取引」と呼ばれます。

expresswriters / Pixabay

 

さて、この事例では・・・

この男性が送った電子メールは、「記載されている4人の会員に1000円を振り込んだ上で、自分の口座を一番下に書き加えて、多くの知り合いに電子メールを送ってください」という悪質なチェーンメールです。

電子メールには、「たくさんの知人に転送するだけで、いつの間にかあなたの銀行口座には毎日のようにたくさんの人からお金が振り込まれます」という記載がありました。

このように、ねずみ講は商品の販売が目的ではなく、まさしく「金銭の受け渡しが目的」になっていることが理解できるのではないでしょうか?

それでは、今回問題になっているマルチ商法は何が問題になっているのでしょうか?

 

実は、「マルチ商法」は合法!?

先程もお伝えしたように、ねずみ講は非合法です。

ですが、実はマルチ商法自体は合法です。

そもそも、実際に「化粧品」や「健康食品」など実体のある商品を売るわけですから合法ですよね。

とはいえ、知人などから紹介されて自分がいいと思って購入した商品が、他の人にも受け入れられるとは限りませんよね・・・

マルチ商法は、自分自身がその商品の購入者でもあり販売者でもあります。

ただし、在庫を抱えてしまう危険性もあります。

そのため、マルチ商法は「特定商取引に関する法律」により「連鎖販売取引」として厳しく規制されています。

 

マルチ商法の規制?

①取引を行うにあたっての「不実告知」や「威迫困惑行為」が禁止

→不実告知:事業者が消費者と契約を結ぶ際に、重要事項について客観的事実と異なる説明(虚偽の説明)をすること。

→威迫困惑行為:脅迫には至らないが、例えば「買ってくれいないと困る!」といって声を荒げられ、早く帰って欲しいために契約してしまった場合などがこれに当たります。

 

②誇大広告の禁止

→著しく事実に相違する表示や実際のものより著しく優良であるとか有利であると人を誤認させるような表示の禁止。

 

③契約締結までに概要について記載した書面の交付

 

④契約を締結した場合には契約の内容を明らかにした書面の交付

Sozavisimost /Pixabay

 

このように、誰かに商品を販売するためには様々なルールがあるため、そもそもマルチ商法は軽い気持ちで始められるものでもありません。

もちろん、商品を購入してもらえたとしても「クーリング・オフ制度」が設けられているため、場合によっては返品の対応もしなくてはいけません。

とはいえ、若い人が健康食品などを売る姿はあまり想像できませんよね。

それでは、どうして若者の被害相談が増えているのでしょうか?

 

ファンド型投資商品や副業などの「役務えきむ」に関する相談が増加!?

国民生活センターによれば、2014年ではマルチ商法に関する全相談件数は11,119件でした。

内訳は、「商品」に関する相談が8,501件 / 「役務」に関する相談が2,618件でした。

→ちなみに、「役務」というのは「形のないサービス」のことです。

それでは、2014年から「役務」による相談はどれだけ増加しているのでしょうか?

 

2017年には、相談件数が逆転!?

  • 2015年(11,503件):商品ー7,134件 / 役務ー4,369件
  • 2016年(11,367件):商品ー6,513件 / 役務ー4,854件
  • 2017年(11,964件):商品ー5,697件 / 役務ー6,267件
  • 2018年(10,526件):商品ー5,036件 / 役務ー5,490件

 

そして、注目すべき点は「29歳以下の役務に関する相談」が増加していることです。

そもそも、2014年の29歳以下の「役務に関する相談」は、2,618件中859件(3割程度)でした。

ところが、それから年々増加し2018年には、役務に関する相談5,490件中、29歳以下からの相談は2,481件となってしまいました。

つまり、2018年の29歳以下の「役務」に関する相談件数は、2014年の役務に関する全相談件数と同じくらいの相談件数になっています。

それでは、「役務のマルチ商法」について具体的にどういった事例があるのでしょうか?

 

「役務のマルチ商法」ってなに?

国民生活センターによれば役務のマルチ商法は、20代だけでなく20歳未満の若者にまで増加傾向にあることが指摘されていますが・・・

  1. 暗号資産(仮想通貨)
  2. 海外事業等への投資
  3. アフィリエイトなどの儲け話

こういった物を対象に、「人に紹介すれば報酬を得られる」と勧誘され契約してしまった相談事例が寄せられています。

そもそも、事業者の実態や儲け話の仕組みがよく分からないうえ、事業者に「解約」や「返金」を求めても交渉が難しいというケースが多くみられることが影響しています。

つまり、よく分からず「儲かる」という言葉だけを鵜呑みにして、よく分からない商品に契約してしまっている現状があるようです。

まるで、以前問題になった高齢者に保険商品を売付けて大問題になった事件に似ていますが、今回は若者がターゲットにされています。

 

どんな事例があるの?

相談:「配当」や「紹介料」が入ると勧誘され出資したが、仕組みが分からない。

中学時代の友人から「いい話があるから会わないか」という電話があり、レストランで会った。

別の勧誘者も同席し、「海外の不動産に投資をすれば仮想通貨で配当があるので、消費者金融で借金をしても埋め合わせができる。投資者を紹介すれば紹介料を受け取ることができるので、借金の返済は簡単だ」と説明を受けた。

学生だと借金できないので結婚式の費用として借りるように指示され、消費者金融4社から総額約130万円を借金して、代金を友人に手渡した。

しかし、契約書面や領収書は受け取っておらず、セミナーにも参加したが投資の仕組みの説明は全くなかった。友人に解約の連絡をしたところ、半額しか返金できないと言われた。

他にも・・・

  1. マッチングアプリで知り合った男性に勧誘され、株の勉強会に入ったが、儲からない。
  2. カフェで知り合った人に仮想通貨のウォレットのアフィリエイトを勧誘された。

こういった、相談事例があります。

このように、「SNSで知り合った人(知人)」や「友人」からの勧誘が多いようです。

niekverlaan / Pixabay

 

こういったマルチ商法は、「モノなしマルチ商法」とも呼ばれています。

  • 事業者の所在地
  • 連絡先
  • 儲け話の仕組み
  • 解約方法等

などを、よく調べる必要があります。

 

最後に

最近では、「若い内から老後資金を蓄えよう!」といった話しを、ニュースなどでもよく耳にするようになりました。

ただ、そもそも例えば資産形成なら怪しい投資先ではなく、「NISA」や「iDeCo」といった国が定めている制度がありますよね。

うまい話にのるまえに、まずはこちらを見当する方が現実的だと言えるでしょう。

 

また、2022年4月からは成人年齢が18歳に引き下げられることになります。

つまり、親の同意なしに契約ができるようになってしまいます。(「未成年者取消権」が失効する)

高校3年生の多くが、卒業後の2022年4月には18歳成人となりますよね。

現在ではインターネットで24時間いつでもなにかしらの契約できてしまうため、親としては対処しきれないことが現状でしょう。

そのため、学校などでも投資の基礎知識をはじめ、契約についての詳しい説明などを授業として取り入れることが必要になってきています。


残念ながら、日本では生活に直結するはずの金融関係(金融リテラシー)や契約などの知識は、義務教育はもちろん高校や専攻にもよりますが、大学でさえほとんど学ぶことがありません。

そのため、特に最初は独学で勉強するしかありません。

幸い、you tubeなどで学ぶことはできます。とはいえ、視聴するyou tuberは慎重に選ぶ必要があります。

私の場合は、「両学長 リベラルアーツ大学」に、いつもお世話になっています。

 

さて、うまい話はありません。

もしあったとしても、それを他人に教えてしまっては自分の利益がなくなってしまいますよね・・・

例えば、あなたが有用な情報を与えてくれる人にとって、恩を売ることでメリットがあれば話しは別でしょう。

それこそ、あなたが「政治家やその子ども」や「大企業の社長やその子ども」といった立場なら・・・

そうでないなら、最初から「簡単に自分にうまい話しが届くことはない」と考えた方が現実的です。

なにより、親が基本的な知識を身につけないと「子どもと一緒に騙された!」なんて、笑えない状況も起こりえるでしょう。

まずは、うまい話しをしてくる事業者の存在や連絡先といった基本的な情報をはじめとして、「何が分かれば信用できるのか?」その基準を身につけるところから、子どもと一緒に学んでいってみてはいかがでしょうか?


参考

早わかり特商法ガイド 1
http://jdsa.or.jp/wp-content/uploads/2016/09/hayawakari-guide.pdf

比較biz:ビジネスの世界でしばしば使われる役務とはどういう意味か理解しよう
https://www.biz.ne.jp/subject/blog/2006435/

 

 

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