学校でも始まる「新しい生活様式」 感染レベルによってできない教科とは?

 

前回、「教育活動の再開等に関するQ&A」から、文部科学省が発表した学校での感染症対策を紹介しました。

今回は、文部科学省が2020年5月22日に発表したこれまでの対策(上記のQ&Aを含む)をマニュアル化した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~ (2020.5.22 Ver.1)」についてご紹介します。

*2020年5月22日時点の最新の知見に基づいて作成されているため、新たな「情報」や「知見」が見られれば随時更新されることになります。

 

「教育活動の再開等に関するQ&A」については、こちらの記事で紹介しています。

親の判断では休めない! 学校の感染症対策と「出席停止扱い」とは?

 

「学校の新しい生活様式」ってなに?

「学校の新しい生活様式」というのは、基本的な感染症対策を継続することです。

  1. 3密を避ける
  2. マスクの着用
  3. 手洗いなどの手指衛生

これらが、新しい生活様式として挙げられています。

また、臨時休業については「感染リスクを0にすることは不可能」という事実を前提として判断されていくことになります。


例えば、感染者が確認された場合は以下の保健管理体制の構築が進められていくことになります。

  • 地方自治体内での衛生主管部局との連携
  • 学校医・学校薬剤師等との専門科との連携

こうした連携を構築していくことで、これまでのような地域一律の一斉臨時休校ではなく、「感染者・濃厚接触者の出席停止」や「分散登校を取り入れる」といったことを実施されることになります。

つまり、疫学的な評価を踏まえた臨時休業を、個別に実施できるように判断されることになります。

以上が、新しい生活様式の考え方として挙げられています。

それでは、学校において具体的にどういった対応が求められるのでしょうか?

 

新しい生活様式の「実践」とは?

先程、感染防止の3つの基本として「❶身体的距離の確保 ➋マスクの着用 ❸手洗い」を挙げましたが、学校に限らず、具体的には以下の方法が「1人ひとりの基本的感染症対策事例」として挙げられています。

 

❶身体的距離の確保

  • 人との感覚は、できるだけ2m(最低1m)空ける。
  • 遊びに行くなら、屋内より屋外を選ぶ。
  • 会話をするときは、可能な限り真正面は避ける。

 

➋マスクの着用

  • 外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用。

 

❸手洗い

  • 家に帰ったらまず手や顔を洗う。できるだけすぐに着替える。シャワーを浴びる。
  • 手洗いは30秒程度かけて、水と石鹸で丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)

他にも、「移動に関する感染対策」や「日常生活を営む上での基本的生活様式など」、様々な新しい生活様式が示されるようになりました。

学校内に関わらず、以上のことは最低限全ての人が実施しなくてはいけないようです。


ただ、先程もお伝えしたようにこれからの学校は、「疫学的な評価を踏まえた臨時休業を、個別に実施できるように判断される」ため、一律の行動だけでは対応できないことになります。

それでは、学校によって行動基準はどのように変わるのでしょうか?

 

「新しい生活様式を踏まえた学校の行動基準」ってなに?

そもそも、学校の行動基準は地域の感染レベルによって変わっていきます。

 

地域の感染レベル1

生活圏内の状況が、感染観察都道府県に相当する感染状況である地域のうち、レベル2にあたらないもの(新規感染者が一定程度確認されるものの、感染拡大注意都道府県の基準には達していない。引き続き感染状況をモニタリングしながら、「新しい生活様式」を徹底する地域)

 

地域の感染レベル2

生活圏内の状況が、
「感染拡大注意都道府県」に相当する感染状況である地域(特定(警戒)都道府県の指定基準等を踏まえつつ、その半分程度などの新規報告者等で判断することが考えられる。感染状況をモニタリングしながら、「新
しい生活様式」を徹底するとともに、必要に応じ、知事が特措法第 24条第9項に基づく協力要請を実施する地域)及び

②「感染観察都道府県」に相当する感染状況である地域のうち、感染経路が不明な感染者が過去に一定程度存在していたことなどにより当面の間注意を要する地域

 

地域の感染レベル3

生活圏内の状況が、「特定(警戒)都道府県」に相当する感染状況である地域(累積患者数、感染経路が不明な感染者数の割合、直近1週間の倍加時間などで判断する。特措法第 45 条に基づく「徹底した行動変容の要請」で新規感染者数を劇的に抑え込む地域。)

このように、感染レベルが上がる程、危険な地域と判断されることになるため、以下の表のように学校での対応も変わっていきます。

地域の感染レベル 身体的距離の確保 感染リスクの高い教科活動 部活動(自由意志の活動)
レベル1 1mを目安に学級内で最大限の感覚を取ること 十分な感染症対策を行った上で実施 十分な感染対策を行った上で実施
レベル2 できるだけ2m程度(最低1m) リスクの低い活動から徐々に実施 リスクの低い活動から徐々に実施し、教師等が活動状況の確認を徹底
レベル3 できるだけ2m程度(最低1m) 行わない 個人や少人数でのリスクの低い活動で短時間での活動に限定

表のように、レベル1の段階では、感染対策を実施すれば活動制限はありません。ですが、レベル2以上になると徐々に行動が制限されていくことになり、レベル3では「感染リスクが高い教科活動」は実施されなくなります。

それでは、「感染リスクが高い教科活動」とはなんなのでしょうか?

 

「感染リスクが高い教科活動」とは?

「感染リスクが高い教科活動」として、以下の各教科(1~8)が挙げられています。

1.理科における「児童生徒同士が近距離で活動する実験や観察」
2.図画工作・美術・工芸における「児童生徒同士が近距離で活動する共同制作等の表現や観賞の活動」

 

さらにリスクが高い教科活動として、以下の各教科の活動が挙げられています。

3.各教科等に共通する活動として「児童生徒が長時間、近距離で対面形式となるグループワーク等」
4.「近距離で一斉に大きな声で話す活動」
5.音楽における「室内で児童生徒が近距離で行う合唱及びリコーダーや鍵盤ハーモニカ等の管楽器演奏」
6.家庭、技術・家庭における「児童生徒同士が近距離で活動する調理実習」
7.体育、保健体育における「児童生徒が密集する運動」
8.「近距離で組み合ったり接触したりする運動」

3~8の教科活動は、「最も感染リスクが高い教科活動」として挙げられています。

つまり・・・

  • 地域の感染レベル2:1~2の活動から検討し、3~8の活動は慎重に検討していく
  • 地域の感染レベル3:1~8の活動は全て中止。

このように、地域の感染症レベルに応じて教科内容が変更されることになります。

 

最後に

今後、学校での感染症対策は、これまでとは違う「新しい生活様式」が適用されることになります。

ただ、これは学校に限らず私達の日常生活でも同じことが言えます。

今後も、様々な感染症が流行することが予想されます。日本での地震対策は世界でもトップレベルですが、感染症対策はまだまだ進んでいないことが現状です。

これからの感染症対策に期待されています。

ただ、「消毒や手洗いを頻回にする」と言うことは、細菌やウイルスにさらされる機会が減るため自身の免疫機能を低下させてしまう行為です。

本当に気をつけたいタイミングは、こういった対策が甘くなった時でしょう。

新型コロナウイルスどころか、普通の風邪で重症化しやすくなる可能性が高くなるため、油断は禁物です。

 

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