●この記事では、「特別指定生物とザリガニ」について説明しています。
子どもの頃に捕まえた、「水路や川にいる身近な生き物」といえば何を思い浮かべるでしょうか?
実は、そんな水場に生息しているある生物が「特定外来生物」に指定され、法律により飼育したりすると捕まってしまうことになりました。
その生物というのは、「ザリガニ」です。
今回は、「特定外来生物に指定されたザリガニ」について紹介します。
そもそも、「特定外来生物」ってなに?
そもそも、特定外来生物は「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」により規定されています。
第一条 この法律は、特定外来生物の飼養、栽培、保管又は運搬(以下「飼養等」という。)、輸入その他の取扱いを規制するとともに、国等による特定外来生物の防除等の措置を講ずることにより、特定外来生物による生態系等に係る被害を防止し、もって生物の多様性の確保、人の生命及び身体の保護並びに農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することを目的とする。
→「問題を引き起こす海外起源の外来生物=特定外来生物」として指定することで、その飼養・栽培・保管・運搬・輸入といった取扱いが規制されることになる。
つまり、この「特定外来生物にザリガニが指定された!?」ということです。
ちなみに、日本は「法の不遡及の原則(法令の効力はその法の施工時期以前には遡って適用されない)」が法体系の理念の1つになっています。
そのため、指定される前からすでに飼育していた場合は、6ヶ月以内に申請して許可を受ければ飼い続けることができます。
→2020年11月2日に指定されたため、2021年5月1日までに申請し許可を受ければ引き続き飼育することができる。(認められるのはその個体のみで、繁殖は認められない)
それでは、もしも特定外来生物に指定されたザリガニを飼育した場合、どうなってしまうのでしょうか?
特定外来生物に指定された「ザリガニ」を飼育したら?
まず、大前提として全てのザリガニが指定対象ではありません。
→アメリカザリガニを除く、全ての外来ザリガニが対象。
違反すれば、さまざまな罰則がありますが一般の私達に関係する「飼養関係」と「放出関係」について見ていきましょう。
「飼養」した場合
「飼養」つまり、指定外来生物に指定されたザリガニを子どもが川で捕まえて、家に持って帰ってきたとします。
そして、そのまま飼育を続けたら・・・
→許可なく飼養等をした場合(愛がん(ペット)等の目的)
1年以下の懲役もしくは100万円以下罰金。
「放出」した場合
「放出」というのは、許可なく野外に放ったり・植えたり・撒いたりすることをいいます。
つまり、捕まえてきたザリガニを勝手に放ってはいけません。
→3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金。
キャッチアンドリリースは違反に当たりませんが、生きたまま移動させる行為も「運搬」に当たるため規制されています。
つまり、子どもが指定外来生物を持って帰ってしまった場合、法的な方法としては「殺処分」しかありません・・・
例えば、子どもが夏休みの宿題で特定外来種の観察日記を付ければ、その記録から飼育が知られる可能性があります。
→生き物の飼育は、注意が必要。
*特定指定外来生物は、一般の私達には法律で「放置」・「キャッチアンドリリース」・「殺処分」しか許されていない。
市町村へ連絡する方法もある。
それでは、どうしてアメリザリガニ以外の外来ザリガニは指定外来生物になったのでしょうか?
ザリガニが特定指定外来生物?
環境省では、このように示されています。
- 水草の切断や水生動植物の摂食による水生生物群集への影響
- ザリガニペスト(アファノマイセス菌)や白斑病の運搬による、日本固有の絶滅危惧種のニホンザリガニやその他エビ目への影響
- すみかやエサなどの競合によるニホンザリガニへの影響
ちなみに、アメリガザリガニも外来種であることは間違いなく、「緊急対策外来種」に選定されています。
これは、特定指定外来種のような規制はありませんが、「対策の緊急性が高く、積極的に防除を行う必要がある。」と認められている外来種のことです。
つまり、アメリカザリガニも罰則がないだけで、「基本的には他の外来種のザリガニと同じような対策が望ましい」ということになります。
最後に
今回の記事を書いた理由なんですが、私が住んでいる近所の川にもザリガニが普通にたくさん生息しています。
そして、そんなザリガニを見て興奮するのが4歳の息子だったりします。
最初から飼育するつもりはなかったのですが、「とりあえずどんなエサがあるのかな~」と調べていたら環境省の「2020年11月2日から、アメリカザリガニを除く全ての外来ザリガニが特定外来生物に指定されます」とあり、気になり調べて見ました。
ただ、子どもが捕まえた生き物を殺すことは到底できそうにありませんし、やってはいけないでしょう・・・
子どもの頃は、多くの子どもが生き物に興味をもつ時期でもあります。
本来なら、子ども自身が捕まえた生物の飼育も経験なのですが、気軽にできなくなってきており寂しい限りです。
ただ、法律で規制されてしまっているため、その理由を説明するしかないでしょう。
親が納得できていないことを子どもに説明することは本当に難しいですが、時代の流れなのかもしれませんね・・・
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