歯への外傷で抜けた歯は「再植」可能!! 歯の状態と注意点とは?

 

皆さんは、歯が欠けたり折れてしまった経験はないでしょうか?

特に、子ども達は部活をしたり普段の生活でも歯を失う場合は意外とたくさんあります。

かくいう私も、小学生の時に友達と遊んでいたとき、石が前歯に当たり欠けてしまいました・・・(今も欠けたままです)

この時はあきらめたのですが、実は元に戻る可能性があります。

今回は、「歯の再生」についてご紹介します。

 

歯の外傷

歯に強い衝撃が加わると、どうなると思いますか?

  1. 特に影響がなかった。→処置必要なし。
  2. 歯が変色した。→しばらくして黒っぽく変色した場合は、歯髄が死んでいる可能性がある。
  3. 歯が「ずれた」・「グラグラ」する。→歯ぐきの中で根が折れている場合もある。
  4. 歯が歯茎にめり込んだ。→根の周りの骨が折れている場合もある。
  5. 歯が欠けた・折れた。→歯の外傷で多く見られるのが、この*歯冠破折(しかんはせつ)
  6. 歯が抜けた。→歯が完全に脱落した状態。

*歯冠:歯茎よりも外に出ている部分。 / *破折:半分折れること。

歯には、このようにさまざまな症状が現れます。

→「症状がない」というのも、ある意味「問題ない」という症状です。

それでは、歯を再生するにはどの程度までが可能なのでしょうか?

 

それぞれの歯の状態

そもそも、歯にとって重要な部分を知っていますか?

歯髄(しずい)   

→歯の中にある神経と血管を含む組織。

つまり、歯髄がなくなると歯には栄養が運ばれない(歯が死んだ状態)のため歯がもろくなります。

 

歯根膜(しこんまく)

→歯の根と骨の間にあるやわらかい膜状の組織。(抜いた歯の根の周りに付着している赤い繊維状のもの

歯根膜は、固定される歯にかかる圧力を吸収するクッションの役割をになっています。つまり、そもそも「歯根膜」がなければ歯は固定できません。

歯に衝撃があった場合、「歯髄」と「歯根膜」の状態が重要になります。そして、その後の対応が再生できるかどうかが鍵になります。

ただ、「歯に衝撃が・・・」といっても様々な歯の状態が考えられます。

 

どんな歯の状態?

2.歯の変色

転倒などで歯を強く打った場合、数ヶ月後に歯髄が壊死することもあります。痛みがなくても細菌の感染を起こすと歯茎が腫れてくることもあり、直ちに受診の必要があります。

 

3.歯がずれた・グラグラする。

軽度の動揺(グラつき)なら、安静にして様子をみます。ただし、大きく歯の位置がずれたり動揺する場合は両脇の歯と連結(固定)し、周りの組織の回復を待ちます。

 

4.歯が歯茎にめり込んだ

◎乳歯の場合◎

→元の位置まで引っ張り出して、周りの歯に固定します。埋入が浅い場合はそのまま経過観察します。

*歯が歯茎にめり込んだ状態を「埋入(まいにゅう)」と言います。

 

◎永久歯の場合◎

  • 生えかけの場合は、萌出力(ほうしゅつりょく:生えてくる力)に期待して経過観察をします。
  • 深く埋入している場合は、元の位置まで引っ張り出して周りの歯と固定します。

*歯が埋入した場合は、歯の周りの骨が折れてしまっていることも少なくありません。歯根膜が傷つけられていると脱落や歯根の吸収など、経過が思わしくないこともあります。

 

5.歯冠破折の状態

◎欠けた部分などが、歯髄まで達していない◎

歯と同じ色の樹脂などで欠けた部分の修復・欠けた歯を元通りに接着できる場合もある。

 

◎欠けた部分が歯髄まで達している◎

歯髄を残せる場合は保護したのち、樹脂などで欠けた部分の修復がおこなわれる。歯髄への損傷が大きい場合は、歯髄を取る治療をおこなう必要があります。

 

6.歯が抜けた

→歯が抜け落ちることを「脱落」といいます。脱落しても、「再植」することができます。

このように歯へ加わった衝撃により、そもそも歯はさまざま状態になることが分かっていただけたかと思います。

さて、ここからが本題です。「再植」するにはどうしたら良いのでしょう?

 

「再植」ってそもそもなに?

さて、「転倒や事故などで健康だった歯が抜けた場合、またくっつけることができる!」と言われると、皆さんはどう思われるでしょうか?

「信じられない!」と考える人が多いかもしれません。ただし、適切な処置をした場合に限ります。

*そもそも、歯の保存液が市販されており学校の保健室で常備されている場合もあります。

 

歯が、「折れたり」・「欠けたり」した場合はどうしたら良いの?

「再植」するためには、先程説明した歯根膜が生きた状態で保存されている必要があります。そのためには、乾燥させないことが重要になります。

脱落した歯を拾い上げて、ティッシュやハンカチでくるんで・・・はいけません!

乾燥させないために、水分を保つ必要があります。

市販液は「歯牙保存液」と呼ばれますが、この液につければ歯根膜の生存率は24時間保つことができるとされています。

→商品名:ティースキーパー「ネオ」

 

注意点は?

  • 学校内ならまずは保健室へ!
  • できるだけ早く、歯をもって歯科医へ受診する。
  • 歯根膜や歯の根元・欠けた部分には触らない。
  • 一応、「牛乳」や「生理食塩水」でも代用可能ですが保存できる時間は短い。(保存液や牛乳など、なにもしていなければ30分以内に「再植」する必要がある)
  • 落ちた歯が汚れていても、水で洗うのはNG!

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

歯へのダメージは状態にもよりますが、知識があれば自分の歯を失わなくてもすむかもしれません。

このように、「歯が抜けた・欠けた=インプラントや差し歯」ではなく自分の歯が戻ってくるかもしれません。

子ども達の歯が折れたり欠けたりした場合は、すぐに牛乳(あれば保存液)に浸けて歯科医で相談してみてはいかがでしょうか。


参考

日本人成人病協会:おいしさの秘密 ~食感~
http://www.japa.org/kk_jyouhou/11/n1108/index.html

一般社団法人 吹田市歯科医師会
http://www.ha-suita.com/qanda/qa_11.html

けがをした!どうしたらいいの?歯の外傷発生時の対応
http://tokyo-ohc.org/wp/wp-content/uploads/2017/12/H29.4keijiban.pdf

 

 

 

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