皆さんは、痛み止めを服用することはありますか?

ここでいう痛み止めとは、処方してもらうものではなく薬局などで手軽に買える痛み止めのことです。

受診する時間がなかったり、そもそも受診費用もバカにならなかったりと理由は人それぞれでしょう。

そのため、つい手軽に買える痛み止めを習慣的に買ってしまう人がたくさんいます。

今回は、そんな「痛みと薬」についてご紹介します。

 

そもそも「痛み」は放っておくといけないの?

皆さんは、さまざまな痛みがあることを経験から知っていますよね。

例えば私の場合は、高齢者介護の現場で10年間働いていたことで、腰や膝など関節の痛みをはじめ、20代で使いすぎにより一時的に右肩が上がらない状態になりました。(服を着るのも困難な状態に何度もなりました。)

このように痛みは、種類(「関節の痛み」と「頭痛」の違いなど)や痛みの程度など、人によってそれぞれまったく違います。

それでは、そんな痛みを放っておくとどうなるのでしょうか?

実は、痛みは記憶されます。

 

「急性の痛み」のメカニズム

「切ったり」・「ぶつけたり」・「熱い物に触ったり」・「血行が悪くなったり」と、痛みの種類は様々です。

  1. 「痛み」は、各種受容体(センサー)がその痛みの刺激を電気信号に変換し「痛みを伝える神経」が興奮。
  2. 痛みは「傷付いている」という信号になるため、傷付いた組織からさまざまな物質が作られる。
  3. 傷付いた組織から作られた物質も他の受容体を介して、「痛みを伝える神経」を興奮させる。
  4. 「痛みを伝える神経」は、信号を脊髄に送る。
  5. 脊髄では、電気信号を化学物質(神経伝達物質)に変える。
  6. 次の神経に送られる。(この神経情報を出力する側入力される側の接触する場所が「シナプス」と呼ばれる)
  7. 脳の色々な場所に信号を送り、痛みとして感じる。

 

それでは、「痛みが記憶される!?」とはどういうことでしょうか?

私の痛みを例にお伝えします。

私の関節の痛みはいわば職業病ですので、慢性的に痛みがありました。その痛みがピークに達すると、右肩が上がらなくなったり、時には足が動かなくなることまでありました。

つまり、慢性的な痛みが長く続いていたことになります。

 

「慢性的な痛み」のメカニズム

①中枢性感作・・・シナプスでの痛み信号伝達物質が強くなった状態。

例えば、スポーツ選手は繰り返して練習することで上手くなっていきますよね。

神経も同じで、刺激され続けることでその信号を伝達しやすくなります。

 

  • シナプスが敏感になる

→痛みが続くことで、神経伝達物質が放出されやすくなるため少しの刺激で痛みが生じる。

  • シナプスに痛み専用のセンサーができる

→色々な信号を痛みとして感じるセンサーができてしまうため、触るだけでも痛みを感じてしまう。

*私の痛みの場所は、いつも同じ(腰・膝・右手首・右肩でした)

 

②痛みを脊髄神経が覚える

通常の痛みは、脳の海馬へ送られます。

ところが情報刺激が繰り返されるために、長期間増強現象(神経伝達の増強が長時間起きる)ことで発生します。

つまり、いつまで経っても痛みが治まらず、痛いことが普通の状態になります。

*私の場合は、いまだに腰の痛みがあり、また右膝をかばってしまいます。

 

③筋肉への影響

筋肉に痛みの原因が発生すると、脊髄への神経反射で筋肉が緊張します。

そして、筋肉の緊張が高まった場合も痛みの原因物質ができるため、神経反射でさらに筋肉への緊張が高まります。

この悪循環が続くと、痛みの原因が治ったとしても筋肉の緊張が続くことになります。

つまり、いつまで経っても「コリ」が続くことになります。

*実際、私は福祉の現場を離れて2年以上が経ちますが、いまだに「コリの場所」(右肩甲骨の当り)は同じです。


このように、痛みは記憶されてしまうためあらゆる手段を使って痛みを抑える必要があります。

つまり、痛みを忘れる時間が必要になります。

そのため、痛みを忘れるためには例えば「痛み止め」が有効だといえるでしょう。

とはいえ、痛み止めをはじめ薬には注意が必要です。

guvo59 / Pixabay

 

「大人」と「子ども」の薬の違いは?

そもそも、薬には「大人用」と「子ども用」がありますよね。

ドラッグストアに行くと、例えばさまざま「痛み止め」が当たり前のように売られています。

ですが、大人用の薬が飲めるのは15歳以上です。

15歳未満の人は、「小児用」や「ジュニア用」等と書かれた子ども用の薬を選ばなければいけません。

これは、体格の問題ではなく内臓機能で判断する必要があるためです。

 

薬の効き方

  1. 口から飲んだ薬は、小腸で吸収される
  2. 肝臓を通るときに一部~大半が代謝により効き目を失う
  3. ちょうどよい量の薬が、血液にのって全身をめぐる
  4. 役目を終えた薬はまた肝臓で代謝
  5. 排出

つまり、消化吸収される機能を考慮して薬は作られています。

この、「代謝・排出に関わる肝臓や腎臓の働きが大人並みになる!」とされている目安の年齢が15歳です。

*子どもが大人の薬を飲んでしまう(用法を守らない)と、肝臓での代謝が上手くいかず血液中の薬の量が多くなりすぎ、副作用を引き起こす可能性が高くなります。

薬が毒になる。

ちなみに、子どもが服用すると危険な(子ども向きでない)薬もあります。

そのため、用法用量を守る必要があります。

 

《子どもには使えない成分の例》

  • 湿布薬:「フェルビナク」という成分→15歳未満
  • 湿布薬:「インドメタシン」という成分→11歳未満
  • 目薬 :「プラノプロフェン」という成分→7歳未満

それぞれ、年齢に達していないと使用することができません。

このように、飲み薬だけではなく湿布薬であっても「薬」です。

薬が毒にならないように、用法用量は守って正しくお使い下さい。

そもそも、子どもの場合は自分の判断で市販の薬を購入するのではなく、小児科へ受診して下さいね!

痛み止めについては、次回の記事でご紹介します。

 

最後に

最近では、インターネットでも手軽に薬が買えてしまうようになりました。

ですが、薬についての知識をどれだけの人が正しく認識できているのでしょうか?

痛み止め1つとっても、効き方が違います。

よく、「薬は受診してから処方してもらって下さい!」と言われますよね・・・

別の人に効果があった薬が、あなたにも有効とは限りません。

特に市販の薬は、あなたのために調整された薬ではなく、対象者なら誰もが服用できる薬です。

市販薬を購入するときは、せめて専門知識のある薬剤師に相談してから選ぶ必要があります。


参考

大日本住友製薬
https://www.ds-pharma.co.jp/sukoyaka/resolution/vol3.html

整形外科やましな医院
https://yamashinaiin.com/pain

 

 

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