牡蠣の「生食用」と「加熱用」は海域で決まる!? 食中毒の原因は? 

 

この記事では、「牡蠣での食中毒は100%防げない!」について説明しています。

 

皆さんが、寒くなると食べたくなる「海の幸」といえばなにがあるでしょうか?

私の場合は、「牡蠣」が冬に食べたくなる海の幸になります、

ただ、実際は食中毒の危険があるためなかなか食べることができませんでした。特に、「生牡蠣」ともなればなおさらでしょう

私が高齢者の福祉現場で働いていた時は、ノロウイルスの心配があったため働いていた10年間で食べたのは、新婚旅行に出かけた時が最初で最後でした。

というのも、ノロウイルスに感染して、もしも職場で流行ってしまえば、利用者さんの命に関わる大問題になるためです・・・

ただ、こんな気になるツイートがありました。

「牡蠣を食べるときは殻に口をつけてズルッとやらず、お箸などで貝柱を外してからパクッと食べた方があたりにくいらしい」というツイートです。

これが本当なら、「これまで我慢していた10年間はなんだったのか・・・」ということになります。

今回は、「牡蠣と食中毒」について紹介します。

 

そもそも、牡蠣はどうして食中毒になる危険があるの?

もちろん、「牡蠣を食べれば食中毒に必ずなる!?」といういわけではありません。

そもそも、牡蠣は「生食用」「加熱加工用」が売られています。

そして、食品衛生法に基づいて「食品、添加物等の規格基準」により・・・

  • 微生物に関する成分規格
  • 採取する海域や加工処理の衛生要件等に関する加工基準
  • 保存温度等の保存基準

これらが定められており、これらの規格基準に適合したものだけが「生食用カキ」として市場に流通しています。

逆に言えば、日本の厳しい基準にも関わらず牡蠣による食中毒が毎年発生しています。


この時点で、ツイートにあるような「殻に口を付ける付けない」の問題ではないことが分かるのではないでしょうか?

そもそも、新鮮な牡蠣であっても生食にすることは注意喚起が行なわれています。

その理由は、牡蠣を食べて食中毒になる原因が殻以外の所にあるためです。

 

牡蠣を食べて食中毒になる原因は?

確かに、新鮮ではない牡蠣を食べればお腹を壊してしまうかもしれません。

ですが、そういうことではなく牡蠣を食べることじたいに食中毒を引き起こす危険性があります。

WolfBlur / Pixabay

 

厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&Aより

そもそも、例えば牡蠣でノロウイルスに感染する原因は「汚染された貝類」または「十分に加熱処理せずに食べた場合」に発生します。

ノロウイルスは、幸い食品の中心温度が85℃以上で1分間以上の加熱をおこなえば、感染性はなくなるとされています。

つまり、仮に汚染されていたとしても加熱することで無毒化することができます。

→「加熱加工用の牡蠣」(検査も消毒もされていない)として売られているのはそのためです。(加熱加工用を生で食べたからといって、必ず食中毒になるわけではない)


どう言うことかといえば、「生食用」と「加熱加工用」牡蠣の違いは、鮮度ではなく指定海域によって決められているためです。

分かりやすく言えば、「保健所が指定した海域で捕れた牡蠣が生食用」・「それ以外で捕れた牡蠣が加熱加工用牡蠣」となります。

*指定海域でなくても、「保健所の規定に従い浄化漕で浄化処理されている」場合も、生食用として販売できる。

それでは、「海域」「汚染された牡蠣」にはどういった関係があるのでしょうか?

 

海域で牡蠣の危険度が変わる!?

そもそも、どうして牡蠣を食べることでノロウイルスに感染するのでしょうか?

さらに言えば、どうして海域の違いで生食にできるかどうかが変わるのでしょうか?

そもそも、保健所は海でなにを調べているのでしょうか?

 

保健所が指定した海域はなにが違う?

東京保健局では、このようにまとめられています。(詳しくは、こちらの厚生労働省の「生食用かき」へ)

  • 海水100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海域で採取されたものであるか、又はそれ以外の海域で採取されたものであって100ml当たり大腸菌群最確数が70以下の海水又は塩分濃度3%の人工塩水を用いたもの。

つまり、指定された海域では大腸菌の数が調べられています。

それでは、そもそもなぜ牡蠣にノロウイルスが検出されるのでしょうか?

 

どうして牡蠣からノロウイルスが検出されるの?

まず、大前提として牡蠣が最初からノロウイルスをもっているわけではありません。

実は、患者の排泄物とともに排出されたノロウイルスは、通常の下水処理では死滅しません。

一方、牡蠣は大量の海水を取り込みプランクトンなどのエサを体内に残し、出水管が排水します。ただ、海水中のウイルスも同じように牡蠣の体内で蓄積されることになります。

「中腸線(ちゅうちょうせん)」と呼ばれる器官に蓄積される。

これが、牡蠣でノロウイルスで引き起こされる原因です。

海域の検査については、例えば三重県の「海域情報」はこのようになっています。

 

三重県の海域情報?

2020年12月2日に第10回の海域情報が提供されています。

それによれば・・・

今週も、浄化前のカキからノロウイルス遺伝子は検出されませんでした。感染性胃腸炎の流行は認められず、降水量は少なく、海水温も高いため、健康被害発生の可能性は低いと考えます。

とあります。

 

 

5要因の判定基準

  1. 感染性胃腸炎の流行
  2. 海域の水温(10℃以下)
  3. 浄化前カキからの遺伝子検出
  4. 降水量(50mm超)
  5. 健康被害の報告

→この5要因の判定基準に基づいて、3箇所(鳥羽海域浦村(安楽島二地を含む)・鳥羽海域桃取・的矢湾)が検査されましたが、問題なかった。

ただし、あくまでも「可能性が低い」と言うことしかできません。

つまり、そもそも100%「生牡蠣」を安全に食べる方法はいまだにありません。

 

「ノロウイルス」については、こちらの記事で紹介しています。

食中毒といえば「ノロウイルス!」 あなたはどこまで知っていますか?

 

最後に

生牡蠣の安全な食べ方はありますが、あくまでも「少しでも安全に食べられる食べ方」です。生食用の牡蠣を買ったとしても、当たるときは当たります。

ただ、問題は自分だけではなく周囲にいる人間全てを巻き込む点です。

しかも、高齢者が感染すれば命に関わります。

個人事業主になってからは、気兼ねなく加熱した牡蠣を食べていますが、それでも100%安全ではありません。

ただ、高齢者現場で働いていたときのような徹底はしなくなりました。

どちらにしても、特に生牡蠣を食べるときはそれなりの覚悟はして食べた方がいいでしょう。もしも、1週間以上の長期休暇がもらえるのなら挑戦してみてもいいかもしれませんね。


参考

島根県:生カキによる食中毒予防
https://www.pref.shimane.lg.jp/life/syoku/anzen/eisei/kisotisiki/namakaki.html

 

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