夏は熱中症! 「冬は●●●症」 体温低下は身近にある!?

 

この記事では、「低体温症と日常生活の注意点」について説明しています。

 

夏になれば熱中症に気をつけるように、連日テレビなどでも報道されますよね。今年に限って言えば、熱中症よりも致死率が低いコロナの方が取り沙汰されていましたが・・・

それでは、冬になると引き起こされる「低体温症」についてはご存じですか?

「低体温症」と聞くと、例えば「冬山で遭難して・・・・」なんて、特別なこととして考える人もいるかもしれません。

ですが、実は普通に家の中でも引き起こされています。

今回は、そんな「身近な低体温症」についてご紹介します。

 

そもそも「低体温症」ってなに?

人間の身体は、温めすぎても冷やしすぎても命に関わります。さて、そんな私達の体温には「皮膚体温」「深部体温」があります。

 

皮膚体温

皮膚体温は、外気温によって左右されることは皆さんも経験からご存じではないでしょうか?

例えば、冬場に手袋をせずに外出しただけで手は冷たくなりますが、暖かい部屋に入れば暖かくなりますよね。

また、水仕事などをすれば夏でも手は冷たくなります。

このように、皮膚体温は環境に左右されます。

一方、環境によって左右されてしまうと命に関わってくるのが「深部体温」です。

 

深部体温

私達人間は、「恒温動物」だと学校で習ったのではないでしょうか?

「恒温動物」というのは、体温調節機能により環境に関係なく、ほぼ一定の体温を維持できる動物のことです。

さて、夏ならば熱中症に気をつけなくてはいけないですよね。

これは、体内の内臓の熱が上がりすぎて機能不全となるために最悪の場合、死にいたることになるためです。

それでは、低体温症になった場合、私達の身体はどうなってしまうのでしょうか?

 

 

低体温症の原因は?

実は、熱中症が体温が上がりすぎることにより引き起こされるのに対して、低体温症は体温が下がりすぎるために引き起こされます。

そもそも、私達の機能の要となる内臓は体温が下がりすぎることで「内臓を維持するための熱」、つまりエネルギーが作れない状態になってしまいます。

つまり、体温が下がりすぎることで機能不全が引き起こされることになります。まさに、熱中症とは正反対の理由ですがその結果、同じように機能不全が引き起こされることになります。

→冒頭でお伝えした、例えば雪山で遭難して「凍死」と言われますが、つまり低体温症により亡くなっている。

ただ、低体温症は私達の身近にも当たり前に潜んでいます。

 

低体温症は人ごとではない!?

これまでお伝えしてきたように、「夏:熱中症」・「冬:低体温症」の危険があります。

以前の記事でも紹介していますが、確かに熱中症はあっという間に命を奪ってしまい、いつ・どこで・誰がなってもおかしくありません。

 

「熱中症」については、こちらの記事で紹介しています。

「熱中症も高齢者が要注意!」のはずが・・・ 救急搬送と認識の違いとは?

 

それでは、「低体温症が身近にある?」とはどういうことなのでしょうか?

 

低体温症が潜む危険とは?

 

スポーツをした場合

例えば、学生が冬場に部活などで汗をかきますよね。

冬であっても、その気はなくても運動をすると身体の熱が上がります。そのため、深部体温を一定に保とうと汗をかきます。

ここまでは、先程説明した深部体温の調節機能ですよね。

ただ、問題はその汗」にあります。

arembowski / Pixabay

 

もしも、汗を拭かずにそのまま屋外にいれば気化熱により体温を下げることになります。

ちなみに、寒い季節でなくても風が吹いている場所でも、汗によりどんどん体温が奪われることになります。

実際、朝日新聞デジタルによれば2018年に福岡市の高校生徒36人が、体育大会中で「低体温症」や「過呼吸」で救急搬送されています。

このように、実際は「日常生活での低体温症」が多くなっています。

 

 

日常生活の場合

そもそも、体温が35度以下に低下すると「低体温症」と診断されます。

それでは、日常生活で体温が35度以下になることがあるのでしょうか?

例えば、「泥酔した男性が冬場に路上で寝てしまい凍死・・・」なんて、報道を聞いたことがあるのではないでしょうか?

ただ、これは誰もが予想できますよね。

ですが、屋内であっても安全とは限りません。

例えば、気温の低い日に十分な暖かさのない部屋で、そのまま寝てしまうとします。寝てしまうわけですから、身体を動かすこともないため低体温症になることがあります。

このように、「寒い場所」は注意が必要になります。

それでは、そもそも低体温症になるとどうなってしまうのでしょうか?

 

低体温症はなぜ危険?

皆さんは、「熱中症」と「低体温症」どちらが危険だと思いますか?

実は、どちらもかなり危険です。

例えば、「熱中症」・「低体温症」の死者数は、2018年はどちらも年間1000人を越えています。

 

2018年の死者数

  • 熱中症:1,581人
  • 低体温症:1,278人

そんな低体温症にも重症度があります。

 

低体温症の重症度?

  • 軽度低体温 32-35 °C
  • 中等度低体温 28-32 °C
  • 高度低体温 <28 °C

このように、重症度が区分されています。

 

さらに、「病院前救護の為の指標」では、ステージ1~5に区分されています。

Stage 臨床症状 深部体温
ステージⅠ: シバリング、意識清明 →深部体温32-35°C
ステージⅡ:シバリング(ー)、意識混濁 →深部体温28-32°C
ステージⅢ: 意識不明 →深部体温24-28°C
ステージⅣ: 明らかな死 (resuscitation may be possible)→深部体温 13. -<24°C
ステージⅤ:Death due to irreversible hypothermia (resuscitation not possible:蘇生不可能)→9-<13.7℃

さて、このように低体温症のステージは進んでいくことになります。ところで、ステージ1に見られる「シバリング」とはなんなのでしょうか?

 

「シバリング」ってなに?

そもそも、シバリングとは「震え」のことで医学的に呼ばれています。

しかもその震えは、1分間に200~250回にのぼる不随意運動(無意識の運動)です。

じっとしている時と比べると、実に6倍の熱を作り出すことができます。

シバリングは、動物としての生命維持装置(生理作用)と言えますが、残念ながら深部体温が約31度を下回るとシバリングが止まり、体温は急激に下がることになります。

つまり、シバリングが維持できなくなるとかなり危険な状態になります。

シバリングが止まるステージ2で、すでに命の危険が高い。

このように、熱中症と同じように低体温症も早急な対応が必要になります。

 

低体温症の早急な対応?

例えば、「熱中症」なら少しでも早く体温を下げる必要があるため、木陰に連れて行ったり・水をかぶせたりと、すぐに体温を下げて救助する必要があります。

一方、「低体温症」の場合は当然ですが温める必要があります。

  • 軽度:身体を内外から温める(暖かい場所へ移動・暖かい飲み物・甘い食べ物)
  • 軽度以上:救急車

 

予防としては、寒い季節は屋内を暖かく保ち、外出時は暖かい服装で出かけるなど、当たり前のことを当たり前にする必要があります。

また、季節に関係なくスポーツ後は汗を拭くことも忘れずに。

JillWellington / Pixabay

 

最後に

低体温症は、高齢者に多いですが例えばスポーツをするなら誰もが注意すべきことでもあります。

実際、第91回箱根駅伝では駒大の選手が低体温症になっています。

特に冬場のマラソンは・・・

  • 気温が低い
  • 風が強い
  • 雨や雪が降っている
  • 体脂肪の少ない痩せた人
  • 痩せて背の高い人

こういった場合は、注意が必要です。

*ジュニアランナーも低体温症になりやすいといわれる。

 

コロナ以降、街中で走っている人達をよく見かけますが、体調管理はしっかりできているでしょうか?

「夏場:熱中症」・「冬場:低体温症」に気をつけて、健康管理には気をつけて下さい。体力維持のために健康を崩してしまっては本末転倒です。

くれぐれも、無理はしない方法で体力維持をするようにして下さいね。


参考

ウェザーニュース:寒いと体が震える“シバリング”が命を守る!?
https://weathernews.jp/s/topics/201902/040145/

 

 

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