被災後であっても清潔なトイレは確保できる!マンホールトイレを知っていますか?

 

前回、被災したトイレを使うと大変になることをお伝えしました。

それでは、震災などでトイレが使えなくなった場合、私達のトイレ環境はどうなってしまうのでしょうか?

今回は、「マンホールトイレ」についてご紹介します。

 

被災したトイレについては、こちらの記事で紹介しています。

被災したトイレ? 誤った使い方をすると大惨事に・・・

 

被災したトイレ

地震が起こり、配水管などが破損したトイレを使用すると、「水の流れが悪くなったり」・「逆流してきたり」と使えない状態になります。

家のトイレが使えないとなると、例えば災害用の携帯トイレなどがありますよね。

ですが、誰もが準備万端で地震に備えているわけではありません。

そもそも、家族がいれば携帯用トイレも数に限りがあるため、あっという間になくなってしまうでしょう。

そして、トイレが使えない状態が長引けば長引くほど、結局外のトイレを使うことになるでしょう。

ですが、外のトイレも家と同じで被災しているかもしれません。

やっと見つけたトイレが「逆流していて汚水まみれ!」なんてことも普通にあるでしょう。

そんなとき、役に立つのが「マンホールトイレ」です。

 

マンホールトイレってなに?

マンホールトイレは、下水道管路にあるマンホールの上に簡易な便座やパネルを設けることで、災害時であっても迅速にトイレ機能を確保することができます。

  1. すぐに使用可能・・・マンホールの上に便座や囲いを設置するだけ。
  2. 段差がない・・・高齢者や車椅子の方でも使いやすい。
  3. 様式トイレの設置が可能・・・使い慣れたトイレ空間が提供出来る。
  4. 汲取り不要・・・し尿は下水道へ流すため臭いも少なく衛生的に使える。

といった特徴があります。


つまり、マンホールがトイレになるため「マンホールトイレ」と呼ばれています。

災害用トイレ・災害トイレ・防災トイレと呼ばれることもあります。

それでは、どこでも利用することが出来るのでしょうか?

 

マンホールトイレの普及率は?

平成29年(2017年)度末、マンホールトイレを管理している地方公共団体は455団体。

管理基数は3万基を越えています。

数だけで見ると多く見えますが・・・

 

主な地方公共団体(地方自治体)

  • 都(1)・道(1)・府(2)・県(43)→47都道府県
  • 市・町・村
  • 東京23区(特別区)

を指します。


通常、政令指定都市の行政区は地方公共団体(地方自治体)には含まれません。

→一般的に、全国の地方公共団体(地方自治体)数は1797あります。

このことからも、中小規模の地方公共団体ではまだまだ普及が進んでいないことが見てとれます。

 

マンホールトイレの形式は?

とても簡易で、緊急時に活躍するマンホールトイレですが、マンホールの下の構造(下部構造)によって注意点があります。

 

下部構造の形式

①本管直結型

  • トイレ用水を確保する必要がない。
  • 既に設置されているマンホールを使用できる。
  • 下流側の下水道管路や処理場が被災していないことが条件。

*歩道・学校の校庭・公園等に整備されている。

 

②流化型

  • 配水管のし尿を流すための水源と、送水設備が必要。
  • 下流側の下水道管路や処理場が被災していないことが条件。

*学校の校庭・公園等に整備されている。

 

 

③貯留型

  • 下流側の下水処理施設が被災していても一定期間使用できる。
  • 配水管のし尿を流すための水源と、送水設備が必要。
  • トイレの利用者数をあらかじめ想定し、貯留容量に留意する必要がある。

*学校の校庭・公園等に整備されている。

 

このように、「マンホールトイレ」とひと言でいっても、形式により使い方が異なります。

それでは、トイレに行けないことでなにが起こったのでしょうか?

 

トイレに行けないことでなにが起こった?

「トイレがないと生きていけない」と言われますが、実際これまでに様々な影響がでています。

東日本大震災のとき、仮説トイレが避難所に行き渡るまでに要した日数が、4日以上かかった地方公共団体は全体の66%

場所によっては、最高で65日もかかりました。

2ヶ月以上もまともにトイレに行けないなんて、想像できません・・・

そもそも、仮説トイレがせっかく設置されたとしても、し尿の汲取りを行なわなければなりません。

そのため、「バキュームカーが調達できない」・「し尿処理場が被災したといった場合、せっかくの仮設トイレも使用不能になります。

 

トイレへまともに行けなくなったことで起こった人体への影響

  • 脱水(水分摂取や食料を減らした)
  • 慢性疾患の悪化
  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • エコノミークラス症候群

つまり、トイレがまともに行けないことで、災害関連死まで引き起こしてしまいました。

被災後のトイレは、命に直結する問題となるため速やかな設置が求められます。

 

エコノミークラス症候群については、こちらの記事で紹介しています。

さまざまな呼び名がある「エコノミー症候群」~突然死は、災害時だけじゃない!?~

 

 

最後に

被災すると、様々な物が足りなくなります。

清潔なトイレも足りなくなる物の1つと言えるでしょう。

「マンホールトイレを設置すればトイレ問題が全て解決されるか?」といえば、もちろんそうではありません。

ただ、仮設トイレを待つよりもそれぞれがマンホールトイレを設置することが出来れば、少しでも不安の解消につながります。

そもそも、仮設トイレの運搬にさく労力を減らすことが出来るため、別の必要な物資を運んできてもらえることにもつながります。

なにより、1週間も2週間もまともにトイレが行けない環境に、どれくらいの人が耐えられるのでしょうか?

「地震大国」といわれる日本にとって、トイレ問題の解決策は仮設トイレだけでは足りません。ダメだったときのために、複数のプランが必要になります。

その解決策の1つが「マンホールトイレ」といえるでしょう。


参考

国土交通省
http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000502.html

 

 

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