タクシーはマスクを付けないと乗車拒否される? 実は、限定的な認可!

 

前回、東大の研究チームが新型コロナウイルスに対するマスクの効果について世界で初めて実験した結果を紹介しました。

そんなマスクですが、タクシー乗車に必須になりそうです。

今回は、「国土交通省が発表したマスクをしていないお客さんの乗車拒否はOK?」について紹介します。

 

「マスクの効果」については、こちらの記事で紹介しています。

世界初、新型コロナウイルスを使った実験! マスクの効果は?

 

タクシーの乗車拒否?

そもそもの話しですが、タクシーは基本的に乗車拒否はできません。

本来なら、「マスクをしていないから!」なんて乗車拒否の理由になりませんし、なにより違法行為です。

 

道路運輸法

第十三条 一般旅客自動車運送事業者(一般貸切旅客自動車運送事業者を除く。次条において同じ。)は、次の場合を除いては、運送の引受けを拒絶してはならない。
一 当該運送の申込みが第十一条第一項の規定により認可を受けた運送約款(標準運送約款と同一の運送約款を定めているときは、当該運送約款)によらないものであるとき。
二 当該運送に適する設備がないとき。
三 当該運送に関し申込者から特別の負担を求められたとき。
四 当該運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
五 天災その他やむを得ない事由による運送上の支障があるとき。
六 前各号に掲げる場合のほか、国土交通省令で定める正当な事由があるとき。

これらは、「運送引受義務」と呼ばれるもので、タクシー運転手は基本的にお客さんから乗車を求められたら断ることができません。

→同法第98条 100万以下の罰金が課されることになります。

ただ、上記の1~6だけをみると、天災など想定外のことが引き起こされた場合しか、乗車拒否できないように見えますよね。

そこで、いくつか具体的な事例を紹介します。

 

合法的に乗車拒否できる具体的な事例は?

  1. 安全のために乗務員から指示されたことに従わない
  2. 定員がオーバーしている
  3. 危険物を所持している
  4. 乗車禁止エリア
  5. 泥酔者・不潔な格好で他の旅客の迷惑となるおそれのある者
  6. 営業区域外~営業区域外へ運送を依頼(出発地・目的地のどちらかが、営業区域でなくてはならない)
  7. 高速料金を支払うように客から求められた
  8. 乗車時に暴力や威嚇された
  9. 賭博場・売春宿などへの案内を求められる

他にも、「積雪にも関わらずチェーンがない」など、乗車拒否ができるケースがあります。

StockSnap / Pixabay 

*当然、「迎車中」や「回送中」はお客さんを乗せることはできない。(タクシーが、「空車」になっていることを確認する)

ただ、どれも「お客さんの安全確保」や「タクシーのルール」、「その他の違法性」があるような場合に対して、乗車拒否が認められています。

簡単に言ってしまえば、「タクシーに乗れる人は、お客さんとしてマナーを守ってくれる人」が大前提ということになります。

 

国土交通大臣の許可が認可!?

これまで説明してきたように、タクシー運転手は基本的に「お客さん」であれば乗車拒否は禁止されています。

とはいえ、新型コロナウイルスの状況下でマスクをしていないお客さんが乗車してくれば、確かにタクシー運転手も気になってしまいますよね。

実際、都内の一部タクシー事業者からマスクをしていないお客さんの乗車拒否ができるように、運転約款に規定するように申請があがっていたようです。

 

そこで、国土交通省は2020年11月4日に「条件を満たせばがマスクをしていないお客さんの乗車拒否が認められる」と発表がありました。

①運転手がマスクを着用していない理由を丁寧に聞き取った上で、

②病気など正当な理由がない場合に限り、マスクの着用をお願いすることを基本とし、

③それでも正当な理由なく、マスクを着用しない者についてのみ乗車をお断りする

つまり、「正当な理由なくマスクをしないお客さんに対してのみ、お願いしてもマスクの着用をしないお客さんを乗車拒否しても違法にならない」ということになりました。

間違ってはいけないことは、「マスクを装着しないとタクシーに乗れない」ということではない点です。

こういった報道が出ることで、極端な解釈をしないようにご注意下さい。


ちなみに、先程紹介した「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款」の1つにこんなものがあります。

第4条 当社は、次の各号のいずれかに該当する場合には、運送の引受け又は継続を拒絶することがあります。

(11)旅客が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による一類感染症、二類感染症若しくは指定感染症(入院を必要とするものに限る。)の患者(これらの患者とみなされる者を含む。)又は新感染症の所見のある者であるとき。

新型コロナウイルスは、「指定感染症」ですのでこの第4条(11)に当てはまります。

ただ、乗車拒否できるのはこれまでその患者さんや感染疑いのある人に限定されていました。

つまり、今回のマスク着用はさらに拡大解釈したものといえるでしょう。

前回の記事でも紹介しましたが、マスクは感染していない人ではなく、感染した人が着用した方が効果が高くなることが、新型コロナウイルスでも同じことが証明されました。

ですが、マスクを着用したからといって過信することはできないため、感染予防はしていく必要があります。

 

最後に

マスクが一種の「通行手形」のようになっています。

ですが、ウイルスを吸い込む側(感染していない人)は、布マスクをしても6~8割は吸い込んでしまうことが冒頭で紹介した実験で分かっています。

これは、50㎝離れた状態で普通に呼吸をしている場合での話しです。

→外科用マスクを使っても約5割は吸い込んでいた。

ところが、吐き出す側(感染している人)がマスクを着用すれば拡散防止効果は、布マスクであっても6~8割と約2倍に格段に上がりました。

つまり、感染している人がマスクを付けることで布マスクであっても、最大8割のウイルスを拡散防止できていることが分かりました。

 

また、マスクは全ての人がしなくてはいけないわけでもありません。

そもそも、アレルギーなどでマスクを着用できない人がいますし、小さい子どもでは窒息の危険まであります。

まずは、正しい知識を身につけて、正しく着用できるようにしていきたいですね。


参考

シェアしたくなる法律相談所:タクシーに乗車を断られた…運転手の拒否行為は違法?
https://lmedia.jp/2017/02/16/75767/

 

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