ベルマークは戦後の教育を改善するために始まった! 今も必要・・・?

 

おそらく、ほとんどの人が知っている「ベルマーク」。

私の場合なら、小学生の頃に頑張って集めていたことを覚えています。

ただ、今も続くベルマークの現状を知っていれば「集めよう」とは思わなかったかもしれません。

今回は、「素晴らしいベルマークのシステムは、時代に取り残された?」についてご紹介します。

 

そもそもベルマークを集めたらどうなるの?

ベルマークと言えば、お菓子の箱などにベルマークが印字されていて、1点=1円の価値があります。

そうなんです、点数がそのまま「円」に換算されます。(厳密には、1点=ベルマーク預金:1円+財団の運営費:0.25円+運営費にかかる税金:0.025円⇒1.275円

そして、このベルマークが付けている会社は「協力会社」と呼ばれています。


さて、このベルマークは「ベルマーク預金」となるため、集める方からすれば少しずつたまっていく点数を確認することができます。

ただ、このベルマーク預金は現金に換金することはできません。

そんなベルマークの使い方は、年2回発行されるベルマーク教育助成財団が発表している「お買い物ガイド」から欲しい商品を選択することになります。

2020年度前期は、「お買いものガイド №118」(お買い物ガイドに載っていない商品は、ベルマーク財団のお買い物係に相談:TEL 03-5148-7251)

*児童図書だけでなく、空気清浄機といった電化製品までありますが、数万円分もベルマークを集めるとなると買った方が早いでしょう・・・

まとめると、ベルマークは商品との交換ができ、「1点1円の価値」があります。子どもからすれば、確かに集めるのは楽しいと思います。

それでは、誰がどうやって集計しているのでしょうか?

 

ベルマークの集計は苦行!?

そもそも、ベルマーク運動に参加できるのは保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校といった学校単位です。

さらに、2006年には大学や公民館も参加できるようになりました。

→個人の場合は、近くの参加校へ寄付・寄贈マークとして財団に送る。

つまり、ベルマーク集めは「子ども~大人まで全ての人が当事者」と言うことができます。

 

誰がベルマークの集計をしているの?

それでは、活動主体は誰を想定されていると思いますか?

A. PTA( Parent-Teacher Association)

  • Parent(保護者)
  • Teacher(教職員)
  • Association(団体)

「学校といえばPTA」・「PTAといえば学校」・・・

言わずと知れた、保護者と教職員による社会教育関係団体。大人達の団体です。

ちなみに、PTAの結成や加入を義務づける法律的な根拠はなく、基本的に無償ボランティア活動としてパトロールや広報活動などあらゆる仕事をになっています。

そのPTA活動の1つが、今回紹介している「ベルマークの集計」です。

 

ベルマークの集計は地道な手作業!?

「手作業がダメ!」なんて言うつもりはありません。

ただ、その集計があまりにも細かく大量にあるため、完全に「労働(内職)」になってしまっていることが挙げられます。

先程、「ベルマークのお買い物ガイド2020前期」を紹介しましたが、このことから今でもベルマークが使われていることが分かります。

それでは、具体的にどういった集計作業が必要なのでしょうか?

 

 

ベルマークは仕分けが複雑!

さて、学校で集めたベルマークは、PTAが各協賛会社ごとに整理・点数を計算して財団に送ることになります。

そう、各協賛会社ごとに集計しなくてはいけません。

協賛会社は、2020年時点で「イオントップバリュ」や「日新フーズ」など95社があり、それぞれを仕分けしてそれぞれの整理袋に集めていくことになります。(他の会社の整理袋は使ってはいけない)

この時点で、途方もないことが分かるのではないでしょうか?

 

さらに、仕分けは複雑で多岐にわたります。

  1. 名称が似ている協賛会社(日清フーズ・日清食品など)に気をつける。
  2. 2つの番号がある協賛会社(スリーエムジャパンなど)がある。
  3. 会社名は同じ物で、別会社の扱いになる協賛会社(「日本ハム水産のハム・ソーセージ」と「日本ハム水産の冷凍食品」は違うなど)がある。
  4. 脱退しているベルマーク番号(ベルマーク32番:「味の素」の調味料など)は、半年間の有効期間が切れると使えなくなる。
  5. 使用済みカートリッジ(エプソン・ブラザー・キャノン)を回収するとベルマークになる。(インクカートリッジ:5点 / トナーカートリッジ:50点)

など、「ベルマークの仕分け」と一言でいっても、経験が必要な内職になります。

特殊なルールとしては、例えば「瓶入りの三矢サイダーの王冠」にはベルマークが付いていますが、王冠は送らずに整理袋に王冠の点数を書き込むルールになっています。

他にも、「不明のマーク」は同じ種類を集めて封筒に入れて「不明マーク」と書いて財団へ送るなど、様々なルールがあります。


そうして、会社ごとに仕分けしたベルマークをさらに点数ごとに仕分けし、小数点を間違えないように計算してベルマーク財団へ送ることになります。

この作業を、PTA(ほぼお母さん達)が学校の備品を購入するために、何十年も代替えをしながらこなし続けています。

今回の記事を書いた理由は、このベルマークの仕組みが時代に取り残されていると感じたためです。とはいえ、やりがいを感じている人もいるでしょう。

ただ、仕事を休むなど無理をし過ぎてしまっているお母さん達もいます。

それでは、そもそもベルマークができた理由をご存じでしょうか?

 

なぜ、ベルマークは始まったの?

ベルマークは1957年(敗戦がら10年以上経過)、荒廃した国土は復興しましたが教育環境はまだまだ不十分な状態でした。

そこで、特に復興が遅れていたへき地の学校の先生達から、「劣悪な環境をなんとかして欲しい!」という声が朝日新聞社に寄せられたことがきっかけでした。

→「鉄棒の柱は腐り、試験管もフラスコもない」・・・

そんな、今からでは想像もできないような環境でした。なんな中、1960年に子ども達のために「ベルマーク運動」が始まりました。

2020年2月時点では、約2万7,000団体が参加しています。(小学校:72%・中学校:61%が参加)

2019年度は、4億1028万点のベルマークが集まっています。

 

ベルマークの仕組みをおさらい!

  1. ベルマークが付いている協賛会社の商品を購入。
  2. ベルマーク運動に登録参加しているPTAや公民館などがベルマークを集める。
  3. PTAなどが、ベルマークを整理・計算し、財団に送る。→1点1円でベルマーク預金
  4. ベルマーク預金を使って、学校に必要な設備・教材を協力会社から購入(交換)。
  5. 購入金額の10%が、ベルマーク財団に寄付される。
  6. 寄付は、へき地の学校・特別支援学校・被災した学校・アジアの子どもを助けるNPOなどの支援などに使われる。

このように、誰もが協力できるボランティア活動として広まりました。


ただ、そもそもベルマークは本当に必要な物がそろわない時代に始まった運動です。

2020年になり、ITが進み「専業主婦」という言葉が死語になりつつあります。

夫婦共働きが進んでいる現在、税金や社会保障費がどんどん上がり、夫婦で働かないと家計が苦しい家庭もたくさんあります。

そんな中、これほど複雑なベルマークの仕分け作業を、仕事を休んで何時間もかけてしないといけないのであれば、「苦行」でしかないでしょう。

仕組みとしては、確かに素晴らしいと思います。

ただ、今にあったやり方が求められているのは、切実な願いからではないでしょうか?

 

最後に

そもそも、「ベルマークで学校の備品などを準備しないといけない!」というのは普通に考えればおかしいと思いませんか?

また、「教育として子ども達にやりがいを持って欲しい」とか「PTAの共同作業としてチームワークを育む」など、そういった目的があったとします。

ですが、その方法はベルマークでなくてもいいでしょう。

また、そもそも楽しんでベルマークを集めている子ども達は、この集計作業のことを知らないのではないのでしょうか?

まさか、自分のお母さんが何時間も自分たちが集めたベルマークの集計に、仕事を休んでまで時間をとられているとは思いませんよね・・・

今回、調べるまで私も知りませんでした。

続けるのならもっと簡略化しないと、お母さん達の負担がますます増えることになってしまいます。

実際、すでに「ウェブベルマーク」と呼ばれるネットショッピングでベルマークがもらえる取組がおこなわれています。

→「楽天」や「ヤフー」など、いつものネットでの買い物の際に、ウェブベルマークを経由するだけでベルマークポイントが自動加算されていきます。


個人的には、ベルマークは残っていて欲しいと思いますが、もっと簡略化できないとこの活動は自然消滅していくかもしれません。

ちなみに、この記事では子どもに買ったチョコボールのベルマークを写真に貼り付けていますが「0.5点」です。

さて、⚪千点・⚪万点も集めようと思ったら、どれだけの人数がどれだけの時間を費やして、しかもボランティアで仕分け作業をすることになるのか想像もできません。

ですが、この約60年間ずっと継続されてきた作業です。

さすがに、見直す時期にきているのではないでしょうか?

 

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